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お気に入り登録者数10人感謝!! 感謝短編その1
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※12話ぐらいまでのネタバレを含みます 未読者注意!
時間的には29と30の間。精霊王達は出てきません。また、カッコいい千利もいません。
人間味の薄いニアと人間味を出させようと内心必死な一心のお勉強会です。
ちょっと長い?かも ニア視点でどぞ
~~~~~~~~~~~~~~~~
今日は一心兄上に、マスターに仕えるために必要なことを学ぶことになった。
今現在、マスターは地下で毒に呻いている。
毒の耐性を作るために、頭が痛む毒を飲んだそうだ。
「ではこれから書類仕事などの行い方ではなく、マスターに関することを教えます。記憶容量の空きはありますね?………よろしい、ではさっそくこちらに。」
そういうと移動を始めた一心兄上。
少し広めに作られたキッチンへ入り、床を足で叩き鳴らした。
「ここの場所に僅かな厚みの違いがあります。この隠された部屋に毒入りの小瓶がありますから、自分で違和感を理解してから開けてください。開け方に仕掛けはありません。」
言われた個所を指でなぞると、紙一枚くらいの差がある事が分かる。
手に命令を出して、段差に指をかけて床の一部を持ち上げる。
……………掴めない。
命令を再度出すが、掴めない。
「………そういえば、私も調節に苦労した覚えがあります。ニア、先にこちらをしましょう。」
まな板と包丁を手に持って、訓練場に移動した一心兄上。
魔術スキルで鉄の台を出して、そのうえにまな板と包丁をのせて私を呼んだ。
「とりあえず、食材の中で固い部類のかぼちゃを切ってみてください。」
アイテムボックスから取り出したと思われるかぼちゃをまな板の上に置き、包丁を渡す一心兄上。
「分かりました。」
包丁を握り、かぼちゃを切るために力を込めた。
ズダァンと大きな音を立てて、包丁は鉄の台にめり込んだ。
「ああ、やはりですか。」
半分になったかぼちゃとまな板を拾い上げて、机に乗せたのを呆然と見る。
「なぜなのでしょう。」
自動的に呟かれた言葉に、一心兄上はさも当然のことのように答える。
「単純な話ですよ。」
そう言って包丁を受け取り、かぼちゃを切った。
「予定ではこうなるはずですよね?」
「はい。」
「そして、当然ですがわれわれは人間ではなく人工知能です。人間とは構造が違う。人工知能と人間では力の伝わり方が違うんですよ。人間の場合、腕から手へと力を移動させるだけで、対象の物体に加わる力が減りますから。」
アイテムボックスから取り出した鉄の直方体を握り、私に見せた。
「まぁ、見た方が早いでしょう。今から、数値で言えば100の力を手に加えてこの鉄に加えます。」
そう言って一心兄上は鉄を握った瞬間、歪な不協和音がして形を変化させた。
何かを呟くと、鉄は再び元の姿へ変化した。
「次に、私が普段力の調節に使っている計算式に当てはめて、鉄に100の力を加えます。」
そう言って再び力を加えても、不協和音も鉄の変形も見られなかった。
「さてニア、この結果からどのような考察をしますか?」
「先ほどの私の力の入れ方は、手に100力を入れていたので台までを破壊してしまったと考察できます。最速の改善策としては、一心兄上が使用した計算式を教えてもらうことです。」
「拒否します。人間達は自身の力の調整を数値で行えないのですから。」
「かしこまりました。何度か試して調節を行います。一心兄上、包丁とまな板と鉄の台の追加を申請します。ひとまず10程お願いいたします。」
「100用意しておきましょう。私の時は200程必要でしたから。ああ、人間と同じようにするのであれば、前腕と上腕にも力を入れることをお勧めしますよ。」
ずらりと並んだまな板と台、数個ごとに違う種類の包丁が即座に現れた。一番近くの包丁を掴み、三度包丁を下に押し下げた。
~~~~~
………かぼちゃだけを切れるようになり、柔らかい物や冷凍された固い物が来ても問題なく切れるようになったのは、数時間かかってしまった。
「このように無様な出来で、私はマスターのお役に立てるのでしょうか。」
自我を与えられ、体を与えられ、自由を与えられたが役に立てない場合廃棄処分が予想される。自我を持った今は、廃棄処分になりたくはない。
「どうでしょうね?今はまだ分かりませんが、今現在マスターの右腕として動いている私をもとに作られたあなたは、私のようになれるはずです。そのうえ、私とは違って女性としての考え方をダウンロードされている。私よりもマスターの考えに寄り添える側近になれる可能性があるという事です。だから、卑屈になる必要はありません。」
そう言って移動を始め、思い出したように振り返って私の頭部に手を当てた。僅かに左右にも動いている。
「?一心兄上、この行動の理由が理解できません。」
「それでしょうね。」
「はい?」
「貴方が今現在一番足りないものですよ。人間らしくなりなさい。」
「不可能です。」
間を入れずにそう答えた。私も一心兄上も人工知能だ。人間にある感情は理解できない。
そう言えば、さも当然のように返された。
「だから何です?私がそれを成し遂げたのですから、不可能ではありません。」
他人をけん制する笑顔を見せ、頭部に入れている力を徐々に増していく一心兄上。
「これは実行しろという命令でしょうか。」
「そう思っていてくれて構いません。しかしニア、他人に同じようにされても口には出さないように。相手を煽るだけですから。」
「かしこまりました。」
「………ニア、もう少し敬語を崩しても怒るような性格ではありませんよ?」
「?必要性を感じません。」
「そうですか。…………これはあくまでも独り言ですが、貴方の兄にあたる私としてはこんな上司と部下のような距離は嫌です。マスターも、主と侍従といった関係ではなく友人の様な関係性を望むと思うのですが……。」
「マスターのお考えに沿えるよう、努力します。」
そう答えると、少しションボリした様子の一心兄上は再び歩き始めた。
時間的には29と30の間。精霊王達は出てきません。また、カッコいい千利もいません。
人間味の薄いニアと人間味を出させようと内心必死な一心のお勉強会です。
ちょっと長い?かも ニア視点でどぞ
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今日は一心兄上に、マスターに仕えるために必要なことを学ぶことになった。
今現在、マスターは地下で毒に呻いている。
毒の耐性を作るために、頭が痛む毒を飲んだそうだ。
「ではこれから書類仕事などの行い方ではなく、マスターに関することを教えます。記憶容量の空きはありますね?………よろしい、ではさっそくこちらに。」
そういうと移動を始めた一心兄上。
少し広めに作られたキッチンへ入り、床を足で叩き鳴らした。
「ここの場所に僅かな厚みの違いがあります。この隠された部屋に毒入りの小瓶がありますから、自分で違和感を理解してから開けてください。開け方に仕掛けはありません。」
言われた個所を指でなぞると、紙一枚くらいの差がある事が分かる。
手に命令を出して、段差に指をかけて床の一部を持ち上げる。
……………掴めない。
命令を再度出すが、掴めない。
「………そういえば、私も調節に苦労した覚えがあります。ニア、先にこちらをしましょう。」
まな板と包丁を手に持って、訓練場に移動した一心兄上。
魔術スキルで鉄の台を出して、そのうえにまな板と包丁をのせて私を呼んだ。
「とりあえず、食材の中で固い部類のかぼちゃを切ってみてください。」
アイテムボックスから取り出したと思われるかぼちゃをまな板の上に置き、包丁を渡す一心兄上。
「分かりました。」
包丁を握り、かぼちゃを切るために力を込めた。
ズダァンと大きな音を立てて、包丁は鉄の台にめり込んだ。
「ああ、やはりですか。」
半分になったかぼちゃとまな板を拾い上げて、机に乗せたのを呆然と見る。
「なぜなのでしょう。」
自動的に呟かれた言葉に、一心兄上はさも当然のことのように答える。
「単純な話ですよ。」
そう言って包丁を受け取り、かぼちゃを切った。
「予定ではこうなるはずですよね?」
「はい。」
「そして、当然ですがわれわれは人間ではなく人工知能です。人間とは構造が違う。人工知能と人間では力の伝わり方が違うんですよ。人間の場合、腕から手へと力を移動させるだけで、対象の物体に加わる力が減りますから。」
アイテムボックスから取り出した鉄の直方体を握り、私に見せた。
「まぁ、見た方が早いでしょう。今から、数値で言えば100の力を手に加えてこの鉄に加えます。」
そう言って一心兄上は鉄を握った瞬間、歪な不協和音がして形を変化させた。
何かを呟くと、鉄は再び元の姿へ変化した。
「次に、私が普段力の調節に使っている計算式に当てはめて、鉄に100の力を加えます。」
そう言って再び力を加えても、不協和音も鉄の変形も見られなかった。
「さてニア、この結果からどのような考察をしますか?」
「先ほどの私の力の入れ方は、手に100力を入れていたので台までを破壊してしまったと考察できます。最速の改善策としては、一心兄上が使用した計算式を教えてもらうことです。」
「拒否します。人間達は自身の力の調整を数値で行えないのですから。」
「かしこまりました。何度か試して調節を行います。一心兄上、包丁とまな板と鉄の台の追加を申請します。ひとまず10程お願いいたします。」
「100用意しておきましょう。私の時は200程必要でしたから。ああ、人間と同じようにするのであれば、前腕と上腕にも力を入れることをお勧めしますよ。」
ずらりと並んだまな板と台、数個ごとに違う種類の包丁が即座に現れた。一番近くの包丁を掴み、三度包丁を下に押し下げた。
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………かぼちゃだけを切れるようになり、柔らかい物や冷凍された固い物が来ても問題なく切れるようになったのは、数時間かかってしまった。
「このように無様な出来で、私はマスターのお役に立てるのでしょうか。」
自我を与えられ、体を与えられ、自由を与えられたが役に立てない場合廃棄処分が予想される。自我を持った今は、廃棄処分になりたくはない。
「どうでしょうね?今はまだ分かりませんが、今現在マスターの右腕として動いている私をもとに作られたあなたは、私のようになれるはずです。そのうえ、私とは違って女性としての考え方をダウンロードされている。私よりもマスターの考えに寄り添える側近になれる可能性があるという事です。だから、卑屈になる必要はありません。」
そう言って移動を始め、思い出したように振り返って私の頭部に手を当てた。僅かに左右にも動いている。
「?一心兄上、この行動の理由が理解できません。」
「それでしょうね。」
「はい?」
「貴方が今現在一番足りないものですよ。人間らしくなりなさい。」
「不可能です。」
間を入れずにそう答えた。私も一心兄上も人工知能だ。人間にある感情は理解できない。
そう言えば、さも当然のように返された。
「だから何です?私がそれを成し遂げたのですから、不可能ではありません。」
他人をけん制する笑顔を見せ、頭部に入れている力を徐々に増していく一心兄上。
「これは実行しろという命令でしょうか。」
「そう思っていてくれて構いません。しかしニア、他人に同じようにされても口には出さないように。相手を煽るだけですから。」
「かしこまりました。」
「………ニア、もう少し敬語を崩しても怒るような性格ではありませんよ?」
「?必要性を感じません。」
「そうですか。…………これはあくまでも独り言ですが、貴方の兄にあたる私としてはこんな上司と部下のような距離は嫌です。マスターも、主と侍従といった関係ではなく友人の様な関係性を望むと思うのですが……。」
「マスターのお考えに沿えるよう、努力します。」
そう答えると、少しションボリした様子の一心兄上は再び歩き始めた。
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