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ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)
91.寝たい
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声を荒げるほど元気がある女性は、なおも叫び非難する。
「あなた!助けに来たなんて嘘でしょう!」
「依頼で助けに来た。」
「嘘よ!」
「今傷を診てもらっている女性がいるだろう?最初に助けの声を上げた女性だ。彼女の主に依頼された。」
「えっ……………………?」
数秒の沈黙が流れた。どうやら、それなりの信頼があったもよう。
「それが本当だとしても!よ!それをいいことに連れていい様にする気でしょ?!」
「いや?今女に困っていない。」
「で、でも!連れて行こうとしたじゃない。」
(めんどくさい事この上ないな。………まぁ、大声を出す元気があるだけいいのか?)
「この部屋にも残るほど媚薬を飲まされたのであれば、体の外に媚薬の成分を出さないといけない。体にはずっと残るからな。依頼には健康な状態で連れて来いとあった。だから、家にある蒸気風呂(サウナ)を使ってもらえばより早く体の外に媚薬成分を出せる。だから、家に来てもらえば早く仕事が終わって都合がよかった。」
「なら、その依頼主が酷いことをするかもしれないじゃない?!そんな奴の元に連れて行く気?!」
「それが依頼だからな。……そんなことを聞く暇があったら、そいつの機嫌をどうにかして欲しいんだが?」
「………………。」
無言で睨んでいる女性って、たいてい怒っていることが多いんだよね。めんどくさいので、対応は丸投げさせてもらおう。
「何言ってる………?ちょっと!?何よこれぇ!!」
「それ以上の無礼は聞くに堪えなかったから、実力行使に移行しただけよ。今すぐにその口を閉じなさい。」
どこに隠し持っていたのか、取り出した小さなナイフで脅す女性。
「そこまで。」
正直殺してくれて構わないが、こっちも都合があるので止める。
「依頼内容は、全員を健康かつ命の危険が無い状態で連れてくることだ。そいつを殺されては、依頼を達成できん。依頼を達成した後に殺してくれ。」
「分かったわ。ああ、私はビアよ。」
「知ってる。依頼主に教えられたからな。傷は?」
「重症なのは後2人よ。」
「分かった、そちらを向いても?」
「ええ、こっちに一人いるわ。」
傷をさっさと治して、自由に出れるように牢獄を完全に破壊する。
(この壁一つ壊しておけばいいか。)
ガラガラと崩れ落ちた壁を見せて、各自の意思を確認する。
「さて、もう一度聞く。依頼主に届けた後、治療の為に家に来るのであれば治療は早く済み、元の生活により早く戻れるだろう。来ないのであればそのまま依頼主の共に置いていく。選べ。」
(………………誰も声も手も上げないか。まぁ、どちらも信用できないのであれば、当然だな。)
「分かった、ではこのまま依頼主の元に届ける。動けるものは自力で動いてついてこい。他の者を運ぶ余裕がある物は、動けないものを抱えて付いて来てくれ。」
よろよろと立ち上がる者と、立ち上がり他者を抱えて前を見据える者。
「あの、ちょっといい?」
「なんだ?」
「…………洋服、借りていいかしら。」
「………………」
(忘れてた。全員ほぼ裸じゃん。)
仕方ないので、近くのカーテンを切り落として服にする。簡易的なものだが、ないよりましだろう。
「…………あなたの手、どうなっているのよ?」
「手刀って言うらしいぞ、これ。………………………………便利だぞ?」
「………はぁ。早く人数分作って頂戴。依頼主の前に裸体の彼女たちをさらさせる訳にはいかないでしょう?」
「へーへー。人使いが荒すぎねぇか?まったくよ。」
片っ端からカーテンを引きちぎり、丈の長いシャツへと変えていく。
「……手慣れているのね。」
「まぁ、な。ほれ、着とけ。」
服を放り投げて、全員着たことを確認してもらう。どうやら女性陣が自力で全員移動できそうなので、案内を始める。
(そういやどうやって依頼主に送るか。………ふむ、転移でもさせるかな。)
影による転移、乗り物を作って運ぶ………。どれがいいかな。
この家の入口まで移動し、影による転移で移動することにした。まだ、完全に元気なものは少ないしな。
「では、ここに魔法で空間を捻じ曲げて、依頼主の元につなげる。ビア嬢には最初に移動してもらい、状況の説明を頼みたい。」
「ええ、分かったわ。」
突然現れた真っ暗の空間の中に、躊躇もなく足を踏み入れるビア嬢。
(もう終わるだろう。………眠い。)
「……………」
未だに睨みつける女性を無視して、あくびをする。
(ついてきたくせになにやってんだか。…………これくらい許してくれよ。こちとら寝てないんだよ!)
ふと元の世界で寝ていた時のことを思い出し、兄弟子と師匠の顔が思い浮かぶ。
……拝啓師匠 ふかふかお布団が恋しくなった今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。こちらは爆睡したい思いでいっぱいです。寝たいです。前の様に扉前で護衛してください。
ちょっとだけ、師匠に会いたくなった早朝だった。
「あなた!助けに来たなんて嘘でしょう!」
「依頼で助けに来た。」
「嘘よ!」
「今傷を診てもらっている女性がいるだろう?最初に助けの声を上げた女性だ。彼女の主に依頼された。」
「えっ……………………?」
数秒の沈黙が流れた。どうやら、それなりの信頼があったもよう。
「それが本当だとしても!よ!それをいいことに連れていい様にする気でしょ?!」
「いや?今女に困っていない。」
「で、でも!連れて行こうとしたじゃない。」
(めんどくさい事この上ないな。………まぁ、大声を出す元気があるだけいいのか?)
「この部屋にも残るほど媚薬を飲まされたのであれば、体の外に媚薬の成分を出さないといけない。体にはずっと残るからな。依頼には健康な状態で連れて来いとあった。だから、家にある蒸気風呂(サウナ)を使ってもらえばより早く体の外に媚薬成分を出せる。だから、家に来てもらえば早く仕事が終わって都合がよかった。」
「なら、その依頼主が酷いことをするかもしれないじゃない?!そんな奴の元に連れて行く気?!」
「それが依頼だからな。……そんなことを聞く暇があったら、そいつの機嫌をどうにかして欲しいんだが?」
「………………。」
無言で睨んでいる女性って、たいてい怒っていることが多いんだよね。めんどくさいので、対応は丸投げさせてもらおう。
「何言ってる………?ちょっと!?何よこれぇ!!」
「それ以上の無礼は聞くに堪えなかったから、実力行使に移行しただけよ。今すぐにその口を閉じなさい。」
どこに隠し持っていたのか、取り出した小さなナイフで脅す女性。
「そこまで。」
正直殺してくれて構わないが、こっちも都合があるので止める。
「依頼内容は、全員を健康かつ命の危険が無い状態で連れてくることだ。そいつを殺されては、依頼を達成できん。依頼を達成した後に殺してくれ。」
「分かったわ。ああ、私はビアよ。」
「知ってる。依頼主に教えられたからな。傷は?」
「重症なのは後2人よ。」
「分かった、そちらを向いても?」
「ええ、こっちに一人いるわ。」
傷をさっさと治して、自由に出れるように牢獄を完全に破壊する。
(この壁一つ壊しておけばいいか。)
ガラガラと崩れ落ちた壁を見せて、各自の意思を確認する。
「さて、もう一度聞く。依頼主に届けた後、治療の為に家に来るのであれば治療は早く済み、元の生活により早く戻れるだろう。来ないのであればそのまま依頼主の共に置いていく。選べ。」
(………………誰も声も手も上げないか。まぁ、どちらも信用できないのであれば、当然だな。)
「分かった、ではこのまま依頼主の元に届ける。動けるものは自力で動いてついてこい。他の者を運ぶ余裕がある物は、動けないものを抱えて付いて来てくれ。」
よろよろと立ち上がる者と、立ち上がり他者を抱えて前を見据える者。
「あの、ちょっといい?」
「なんだ?」
「…………洋服、借りていいかしら。」
「………………」
(忘れてた。全員ほぼ裸じゃん。)
仕方ないので、近くのカーテンを切り落として服にする。簡易的なものだが、ないよりましだろう。
「…………あなたの手、どうなっているのよ?」
「手刀って言うらしいぞ、これ。………………………………便利だぞ?」
「………はぁ。早く人数分作って頂戴。依頼主の前に裸体の彼女たちをさらさせる訳にはいかないでしょう?」
「へーへー。人使いが荒すぎねぇか?まったくよ。」
片っ端からカーテンを引きちぎり、丈の長いシャツへと変えていく。
「……手慣れているのね。」
「まぁ、な。ほれ、着とけ。」
服を放り投げて、全員着たことを確認してもらう。どうやら女性陣が自力で全員移動できそうなので、案内を始める。
(そういやどうやって依頼主に送るか。………ふむ、転移でもさせるかな。)
影による転移、乗り物を作って運ぶ………。どれがいいかな。
この家の入口まで移動し、影による転移で移動することにした。まだ、完全に元気なものは少ないしな。
「では、ここに魔法で空間を捻じ曲げて、依頼主の元につなげる。ビア嬢には最初に移動してもらい、状況の説明を頼みたい。」
「ええ、分かったわ。」
突然現れた真っ暗の空間の中に、躊躇もなく足を踏み入れるビア嬢。
(もう終わるだろう。………眠い。)
「……………」
未だに睨みつける女性を無視して、あくびをする。
(ついてきたくせになにやってんだか。…………これくらい許してくれよ。こちとら寝てないんだよ!)
ふと元の世界で寝ていた時のことを思い出し、兄弟子と師匠の顔が思い浮かぶ。
……拝啓師匠 ふかふかお布団が恋しくなった今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。こちらは爆睡したい思いでいっぱいです。寝たいです。前の様に扉前で護衛してください。
ちょっとだけ、師匠に会いたくなった早朝だった。
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