異世界情報収集生活

スカーレット

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ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)

84.第一回作戦会議 2

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「その結果、王妃が誑かされて伯爵家も調子にのったんじゃ世話ないんじゃないの?」

「…………返す言葉もない。」

無言のままションボリしているヤドゥールに、書類を束で投げる。

「これでも受け取って元気出せや。ホイっと。」

「………使っていいのか?」

渡したのは横領の証拠を片っ端から集めたもの。中には宝物庫にある品物を勝手に売った記録も含まれている。

その証拠になる買い取った方の名前もあるし、本人もきっちり締め上げて自白剤を飲ませてあるから、引き渡せば証拠を話してくれることだろう。


訝しげに書類を見るヤドゥールにニコリと笑って、質問の答えとは違うことを言う。
「情報屋をご贔屓ごひいきに♪」

「やはりか……。何をやっているんだ本当に!」

ヒクリと顔をひきつらせた後、やや大きめの声で言ったヤドゥール。

苦笑の顔を見せた殿下とレイピストにニッコリと邪気のない笑顔を見せる。情報屋どうぞご贔屓に~♪

「今回はこの伯爵家3つと王妃を潰せばいいの?渡した書類で伯爵家の派閥の家はいくつか巻き込めるけど。」

「十分です。こちらとしては、いったいお礼として何を要求されるか戦々恐々としておりますが。」

その言葉に軽く一心を見て、一度保留にしてもらう。

「そう言えば、今回の件は隣国を巻き込むことなりますが、国としてよろしいので?」

「かまいません。隣国の国王ルイフェストルクとは友人であり、手紙で事情を伝えたのでおそらく出席したいと返信が来るでしょう。精霊妃様は…」

「小鳥美。」

「…小鳥美様は反対派閥への罰をどのように考えているのか聞いてもよろしいですか?」

隣国が来て、ニアの回復にも時間がかかる。神様は間に合うか分からない。そして、私と一心は舐められている。

「そうですねぇ……………………………。」



「……マスターが考え込まれたので、マスターが報告し忘れた事を報告します。まず、夜会の夜にロウ伯爵令嬢によってマスターが誘拐されます。正確にはロウ伯爵家によってですが、それも含めてご了承ください。」

「はっ?」

「続いて、夜会に出席するときですが、ロウ伯爵が堂々と緑のドレスを纏って上級精霊を引き連れて現れます。身分の順番からしてマスターよりも早いので、先に自分が精霊妃だという噂を流してマスターを誘拐し、夜会に来ないのは偽物だからだと糾弾するつもりだそうです。なお、クィラッツ伯爵家とミーロト伯爵家はこれを知っています。」

「いやいやいや待て、待ってくれ一心殿。」

「お断りします、頭に叩きこんでください。続いて、マスターがあなた方に渡したレシピ『シュークリーム』が夜会にて出されますが、クィラッツ伯爵が毒を自作自演します。毒を持参していますので、夜会会場に入る前に検査して、阻止してください。」

「待ってくれ一心!」

「俺たちも情報過多だ!待ってくれ!」


………今回の夜会は、私が誘拐されることから始まる。傷物だと糾弾される隙を与えないように相手に誘拐されて、堂々と夜会に出席するか。どうせ誘拐されて連れていかれる先はロウ伯爵の王都にある別荘の地下だろう。
………ちょうどいいや、反撃したって許されるだろうし、別荘壊して来よう。

夜会では確か、毒が騒がれるんだっけ?騎士達には頼んで仕事してもらおう。後は緑のドレスを着た者が来るから糾弾して私は偽物に仕立てられる、と。

ふむ………。


「最後に。マスターの手を必要以上に煩わせないようにお願いします。今回マスターの手を借りっぱなしのような失態続きならば、今後の付き合いを考えさせていただきますので、ご了承ください。こればかりは、譲れませんので。ご報告は以上です。」

………ウィール様は貴族からの信頼も厚いので、利用して。味方に引き入れたい公爵達とは顔合わせして、援護してもらうか。精霊妃として行動すれば、多少は公爵も動いてくれるだろう。それでも動かなかったら敵対している家の情報や菓子で釣るか。

ああ、めんどうだ。他人なんて勝手に生きて勝手に死ねばいいのに。

でも、ニアはそんなバカみたいなやつらに見下されて傷つけられて……。
………………そんな馬鹿には一心やニアを巻き込んだこと、どう後悔させてやろうか。

ニタリと一人笑うと、一心が肩を叩いた。


邪魔するような息子じゃないんだけど。

「…………ああ、忘れていましたよ。」

「「「………。」」」

絶句からいち早く戻ってきたレイピストが頭を振って何かをはらった後、こちらを見て声を出した。
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