異世界情報収集生活

ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)

56．今後の計画

今日は久しぶりの情報収集に来ております！！
まぁ、ちょっと前に阿呆を殴ったり新薬の実験をしたりしたけど

「やっぱり外の空気はいいねー♪」
気配を消して、大きく息を吸い込む。

うん。気持ちが晴れるね。最近馬鹿の相手ばっかりだから滅入っちゃうね！
ま、それはどっかに放り捨てて、と。

今いるのは一番精霊の事を理解している国、ライミリ精霊信仰国(以後ライミリ国)。

以前暇なときに仕掛けておいた盗聴器は、余すことなく情報を一心に伝え、私の元にまとめられてきた。
得られた情報は多いが、重要なのは２つ。

１国王陛下は一人息子の王太子(次期国王)を大切に思っている。
２王太子は魔力過多症に悩み、爆発から守るために他者を遠ざけている。

魔力過多症が分からなかったので、今日傍にいるイアに聞いてみればどうやら物騒な病気らしい。

「人間の最大量をはるかに超えて魔力を持って生まれてくる子供がまれにいる。その者たちがそろって発症するのが魔力過多症。要は、制御できる魔力を超えて魔力を持っているから制御が一部きかなくなって、無理に制御を続けることで爆発する。生まれつきで人間にはどうしようもない。」

「ふーん。『人間には』どうしようもないの？」
「治療には魔力を吸収する黒精霊石が必要だからな。それも１つや２つでは足りぬほど。」

哀れだが仕方あるまい、とイアは続けた。

「ダーネスに言えば出してくれるかな？」
「出してくれると思うぞ？我ら精霊王とウィール様しか作れないとはいえ、簡単に作れるからな。ただ、嫌な顔はするかもしれん。姫以外の人間にくれてやる義理はないからな。」

…………こういう時、精霊王たちは精霊妃にしか興味がないのだと実感させられる。

だが、「ならしょうがない」と利用しない人間ではないし、「これで大金が……！」と考える人間でもない。

そんな私が選択する手札は、今回は利用しないという札。

黒精霊石が必要になるのは、「魔力を吸収する性質があるから。」でも、その性質を持つのは私が数万個単位で持っているものにも該当する。

ゲームの世界で魔物を倒すと高確率でドロップしたアイテム。黒魔石。

この世界では貴重なようだが、私からすればどうでもいいものだ。

しかし、物の価値は相手の価値によって決まる。

さらに、溺愛している自分の息子を救った精霊妃なら、国王の心証が悪くなることはないだろう。
後ろ盾として、使わせてもらおうかな。

ひとまず頭に浮かんだ計画を共有するために、肉などの食料を買うために街にいるニアと合流しに向かった。

もちろん！こんなことを考えている間にも情報たーっぷりもらったけどね。

そんな私は、合流するために街を歩いた。