71 / 205
神々編
閑話 舞台裏1
しおりを挟む「ではマスター、行ってまいります。」
そういうニアを見送って、こちらも準備を進める。
録音と罠各種はニアに任せたので、こちらはシャドウの準備だ。
「一心、シャドウは何体欲しい?」
「そうですね……。マスターと予備にもう一体いただけますか?」
「かまわないよ。」
「武器は何を持たせましょうか。」
「そうだねぇ、倉庫ナンバー7,8投げナイフ、投げナイフ入れ。」
ポイッと一心に倉庫から取り出した武器を投げる。
「これでこっち作って使わせとけ。地味―な嫌がらせ。」
投擲用とはいえ小さいナイフを、一心の手にある長剣へと変化させる。
フェイク。
友人に頼んで作ってもらった、手持ちの柄と同じくらいの刃しかないこの剣は変化する。
長剣にも、扇にも、鞭にも、斧にも変化し、それぞれの武器として使用できる優れものだ。
………構造どうなっているだろう、これ。すっっっごい気になる。
一心が持つ片手剣(この前取り戻したやつ)の偽物をフェイクで作り、シャドウに渡す。
「外見をマスターに。」
渡すと同時に呟いた言葉通りに、シャドウの一人は外見を私へと変化させた。
………ゲーム内で作ってもらったとはいえ、便利過ぎやしないか?
一心から受け取ったマイクを通して、呟く。
(「準備オッケー?」)
私の声は私の姿をしたシャドウの口から放たれる。
「……どうなっているか理解できない気がするから聞かないけどさ、過ごすぎん?」
「私とニアの合作ですよ?不可能があるとでも?」
…………うちの子すごいけどちょっとコワイ。
「というか家、盗聴されていたよね。」
「されていましたね。ああご安心を、すでに破壊済みです。」
「いやそういうことじゃなくて……。」
「マスター、予定時間を過ぎました。こちらも突入しますよ。」
き り や が っ た こ い つ !
「はぁ、了解。私は称号死神で行くけど2人は?」
「私は悪魔で、ニアは魔術師で行くそうです。」
「武器、大鎌もらってくよ?一心は本物の片手剣持っていって、ニアはレイピア持ってたよね?シャドウは偽片手剣でいいの?」
「十分ですよ。」
シャドウを私の影に隠して、大鎌をいったん消す。
隣からするガリガリする音を不思議に思い、見ると向こうと目があう。
「申し訳ありません、ご不快でしたか。人間でいう握力の制限を外していました。普段は必須ですが、戦闘においては必要ありませんから。」
「気になっただけだから、大丈夫。んじゃ、行きますか。」
「仰せのままに、マスター。」
そうして突入した後の事……。
「うるさい!」
「キャ―――――――――(棒)」
「うわぁ――――――――(棒)。」
ヤケクソ気味に雷が落ちたときに、私はシャドウと入れ替わって姿を消した。
(「じゃあ後はよろしく。」)
「一応お気をつけて、マスター。」
「ご武運を。」
既に最高神と話した後、私の姿をしたシャドウのサポートのために戻ってきたニア。
姿を消すときに使用するよう指示したのは「隠密スキル、嗤うもの。」
任意の味方には見えるようにできるが、敵には姿も声も聞こえない優れもの。
スキルレベル10(1∼10)でやっと取れるスキルだが、取る価値はある
…………正直、レベル10にするには地獄を見ることになるけど。
まぁ、それは適当に投げ捨てて。
一心とニアに番人と自称女神を足止めしてもらっ
あ、自称女神が倒された。
ニアを通して自称女神が足元に運ばれてきた。目線の先には自称女神。
(どゆこと?)
口の動きでニアに話しかけると、予想通りの答えが返ってきた。
「向こうにいるのはシャドウです。自称女神に変化させました。」
(予備のシャドウが役に立ったってことか。これ連れてっていいの?)
「かまいません。戦闘の邪魔になるだけですので、助かります。」
(じゃあ、もらっていくね。)
予想外のお土産が出来た。
自称女神を盾のように持ち、番人から見えない場所まで移動して姿を現す。
「おーい起きて、自称女神さーん。」
ザワザワとうるさくなる神々を無視して、自称女神を叩いて起こす。
「………?ちょ、何よこれ!」
「あ、起きた。じゃあ、レッツラゴー!!」
理解が追い付いていない様子の自称女神を、そのまま盾として連れていく。
「どけどけどけーぇい!死神様のお通りだー!」
「きゃああああああ!!」
門番らしき神に正面から盾をぶつけると、気絶してしまった。
……両方。
「えー、使えないなー。」
仕方がないので、自称女神に軽量化の魔法をかけて、浮いた体を結界の中に閉じ込める。
これで、邪魔にはならないだろう。
「倉庫ナンバー9、デス。」
呟きと同時に現れた大鎌を構えて、戦闘には似合わない、ゆったりとした歩みで敵に近づく。
ついでのように
「死神スキル、死神の鎌。」を使った。
鎌、デスは称号死神のためだけに作られたような武器だ。
普段別の称号を付けて使っても、正直役に立たない。
それがどうした。称号を変えた途端ステータスは目をむくほど上昇する。
他に加えて、1割の確率でで即死させる攻撃を10割、つまり確実に即死させるようになることや、死神スキルの範囲を倍にしてくれる。
…………………これ、ゲームの運営側が設計してだした武器なんだよ?
友人が作った武器は本当に自由に作れるからチート量産されてるけど、これは、無課金者が2年遊んでたら手に入っちゃった武器だよ?!だめでしょこんなの!
ガチャがあるゲームじゃなかったけどさ!集金させなきゃでしょうが!
まぁ、まとめると。……運営君たち、ゲームバランスって知ってる?
「うわぁあああ!」
「助けてくれぇ!」
「騎士は!騎士はどうした!」
そんなことを考えながら、サシュッとサクッと人形を量産している今日この頃。
犯人の顔にはニッコリ笑顔。ゆったりと歩く姿はまるでお貴族様。
…………サイコパスじゃないよ。死神だよ。
ゆったり歩いているのは、歩かないと死神の鎌が使えないからだよ。
ギャアギャア言われながら逃げられていくとさ………。
一応女性である私もさ……。
追いかけてサクッと殺したくなるよね!
歩くのが嫌になってきたので死神の鎌を使うことを諦めて、手刀で首切っていく。
「いやっふー!!」
ようやく全力で走れるので、歓喜の声を上げて走り抜ける。
人形たちが振り返って死んでいくのは気にしない!だって全力で走ることで生まれる、この解放感を感じていたいから!
「イェーーイ!」「フゥ――!」
そんなことをしながら突き進む私。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
スコップ1つで異世界征服
葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。
その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。
怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい......
※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。
※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。
※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。
※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる