異世界情報収集生活

スカーレット

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神々編

47.神二人対人間三人

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自称女神に魔法でちょっかいを出しつつ、番人に攻撃していく。

相手の戦闘スタイルは、魔法と魔法。

こちらは前衛後衛で分かれているので攻撃はしやすい。しかし、いつかの透明な壁に阻まれて攻撃は通らない。

高笑いをして勝ちを確信しているようだが、知っていることを対策しない馬鹿とは違って、私の息子は天才だ。

「ふっ。」

一心が人蹴りすると、途端に透明な壁は粉々に砕け散った。
キラキラと舞い散る壁だったものを利用して、光魔法を反射させる。

「っう、うっとおしい!」

自称女神の短い詠唱の後に風が巻き起こり、壁の欠片は吹き飛ばされていった。

「しかし、それが彼女の最後の魔法となった。………なんてどうでしょう?」

はっきりと聞こえた一心の呟き。驚愕によってできた一瞬の隙をついて、自称女神の首を狙う。

真っ黒な笑顔で笑う一心。同じ色をしたローブを纏いて舞い踊るは私。
だんだんと異常なほど軽くなる自身の重みを感じながら。

振りかぶった大鎌を思い切り振りぬいて、自称女神の首を落とす。
それと同時にこちらに向かってくる一心の姿が見えた。

………間に合ってよかった。予定時間は稼いだ。

称号変更は補正のために5秒以上は必ず意識を失う。

でも、今回の称号変化にはそれだけの価値がある。

ちょっとの間、一心に戦闘を任せてしまうな…。
そんなことを考えているとき、私の意識はブツリと切られた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一心視点


糸が切れてしまったマリオネットのように崩れるマスター。

番人にナイフを投げて時間を稼ぎ、マスターをゆっくりと抱きかかえて大きく後ろに下がる。

「マスター、無茶だけは2年たっても治りませんか。」

思わずこぼれた言葉にフッと一人笑い、反射の結界の中にマスターを入れ地面に横たえる。

「さて。マスターの武器を奪った罪、マスターのお手をわずらわせた罪、マスターの怒りを買った罪、マスターの無茶の原因となった罪。」

そこでいったん区切り、うっとうしい前髪をかき上げて馬鹿な二人を嘲笑うあざわらう
マスターによく似たこの顔で、マスターには絶対に見せない残酷ざんこくな顔で。

贖えあがなえ。」

相手がわめいていることを無視して、近くにある無数の透明な糸を思い切り引く。

ニアの手によって張り巡らされたこの糸は私たちが協力した合成金属でできている。そのため、私の人間離れしたこの力で思い切り引いても問題はない。

計算し尽くされたこの空間は、逃げ道が存在しない。

となれば番人がとる行動は一つ。ヤケクソのスキル攻撃。

「おのれおのれおのれ!人間ごときがぁああああ!」

番人は叫び予想通りの雷スキルを使い集中攻撃を行う。
マスターからお借りしたこの装備があるので無傷で済んだが、番人のプライドは傷つけたらしい。

「人間に作られた魔術具ごときが、私に逆らうな!」

特性の糸をバチバチと雷が光る剣で切り捨て、私と向かい合う。

私もマスターからお借りした「片手剣」を構え、スキルを交えての切り合いを始める。

番人が強力なスキルを連発する中、私はスキルを極力使わずに時折ナイフを投げて惑わす。しかし、ニアの鑑定結果では防御も攻撃力も最高値。

この小さなナイフでは傷一つ付けられはしない。

まぁ、神相手なので妥当でしょう。
ですが人間を元に作られたその体では、攻撃になりもしないこのナイフでも避けてしまうでしょう?
反射と言うのですよ、ご存じで?

徐々に距離を詰められ、にたりと笑う番人の顔が見える。

私は小馬鹿にするように、分かりきっていることを聞かれた時のように笑い、瞬き一つ後に似合わぬ緊迫した声で呼ぶ。

「マスター!」

無言で剣を構えて対応するのは、言わずもがなでしょう。

信頼通りに番人の剣を受け止める背中は、どうしようもなく頼りがいのある人間に見えた。

……いえ、感傷に浸っている暇などありませんね。作戦通りに行きましょう?我らがマスターのために。

マスターが先日取り返したばかりの「片手剣」と腕が一つになるかのごとく、乱舞が始まる。
片手剣スキルを使い、時に皇帝スキル「威厳」を用いて動きを止めさせる。

「スイッチ!」

そんなマスターの後ろでナイフを投げる私にも、声はかかり信頼を返す。

あまり得意ではないのですが、マスターのお望みとあらば!
自力で剣道や上官殿、マスターの動きを見て学んだ剣さばきで攻撃しては受け流していく。

しかし、実戦経験が全くない私ではあまり引き受けてはいられない。

「っスイッチ!」

マスターを呼び、後ろでナイフを投げ続ける。複製スキルで増やしてはいるが、攻撃力が圧倒的に足らない。
マスターもそれは理解しているのだろう。怒り狂っている番人を更に煽っていく。

「ほらほらどうした!人間ごときの剣すら受け流せないのか!皇帝スキルも効いてるようだしなぁ!」

「ほざけ!」

大きく後ろに下がり、自称女神に回復スキルを使用して私たちに向かわせる。
マスターが首を落としてなお、死んではいなかったのは神だからと言わざるを得ない。

そんな人間離れの女神の上司はスキルの準備をしているようだ。

「魔術スキル、火矢。」

淡々と呟いて魔術スキルを連発する自称女神。
よけつつチラリと様子を見て、こちらの予想通りになっていることを確認する。

二人で時間を稼ぎつつマスターにニアの報告と合わせて得た情報を伝え、ひたすらにその時を二人で待つ。

より確実にするためにありったけのナイフを投げ、マスターは自称女神の魔術を反対の属性で消滅させていたその時。

待ち望んだその時は来る。

「神の力で死ねること、光栄に思うがいい。」

天井が眩しいほど光り、神々も私たちも光に包まれた。

「死ね。」

そう宣言され落ちてくる巨大な剣を見て笑い、我が主は叫んだ。

「チェックメイト!」
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