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神々編
46.返却に伺いました!
しおりを挟む一心と共に神の領域についた私は、とりあえず大声で呼んでみた。
…こっちは神々の居場所も知らないからな。出てきてくれないと手の出しようが無い。
「おーい自称女神!武器返せ!!」
「マスターの武器の返却に伺いました!出てきて武器の返却を願います!」
一心が返却と言っているが、地上にいることが出来ないだろう自称女神に返却はできない。
それを知っていて煽っていく。
「自称女神!さっさと来いやゴラァ!」
「ビビッてんじゃねーぞオラ!」
完全に暴力団対応の私に比べて、
「ご不在ならばどなたかご報告を!」
「マスターがお待ちです!お早くお願いします!」
「武器の返却に伺いました!」
あくまでも敬語のまま叫ぶ一心。
…………でも、私は知ってる。
「さっさと来ませんかねぇ。」
「マスターを待たせるなど…。」
ボソボソと恐ろしいことを笑顔で言っていることを!
ウチノムスココワイ
「拷問が適切ですかね。」
「新薬の実験体が欲しいんだよね~。」
「ならばそのように。」
もはやめんどくさくなったので、自称女神の処遇を話しながら叫ぶ。
しばらくたって、あちらも無視の限界だったようで出てきた。
「ああもう!うるさいわよ人間のくせに!私の邪魔をしないでちょうだい!」
言葉の全てを無視して、一心が捕らえ私が首に剣を当てる。
驚き状況すら判断できていない自称女神に、笑顔で言う。
「叫んでいた通り、武器の返却に伺いました。」
「そんなもn……」
反論しかけた自称女神にかぶせて、どす黒い笑顔だと自信が持てる顔で言う。
「私の武器はどこに?」
「ひっ」
容赦も情も「仮面」も一切放り出して、震える自称女神に聞く。
「どこ?」
ゆっくりと聞くと、恐怖が突き抜けた様で震える体を自ら抱きしめて呼んだ。
私達が待ち望んだものを。
「番人様、お助けください。どうか、どうか、番人様。お助け、お助けください。」
何度もすがるように呼ぶその声に満足して、一心に地上から入ることができないように結界を張ってもらう。
その間に私は自称女神に洗脳スキルで洗脳を試す。
あともう少し、というときに視界に影がささる。
影は迷わずに自称女神にかざしていた私の手を掴み、握りつぶした。
「私の眷属に、何をしている?」
ゴキャッという不快な音に反応して、一心が向かってくる。
あくまでも優雅に、早足だ。
「人間と異界の魔術具だな。人間ごときがここで何をしている。」
無表情だが眉間にしわを寄せた真っ白な長髪の男が影の主だろう。
殺気立つ番人には営業スマイルで対応する。
「先日かの女神に私の武器を奪われまして。返して欲しくば異界の魔獣を倒せと言われ、苦労して倒しこの場に来たものの武器を返却してくれないのです。私の武器の場所、ご存じでしょうか?」
少し大げさに問いかける。
「なぜ人間ごときの質問に答えなければならぬ。不愉快だ、出ていけ。」
……なんと言うか。神らしい傲慢さと人間らしい自己中心的な考えの元答えられた感じだな。
出て行けといった言葉通り私達を出ていかせようとしたらしいが、何の影響もない。
一心に渡された紙を見てほくそ笑みたいところを我慢していると、さっきの私達といい勝負をしそうな大声が聞こえた。
「なぜだ!」
「番人様?いかがされましたか?」
「英知、其方はこの場にて神力が使えるか!?」
「お待ちを………。」
…………時間かかりそうだな。ほっとこ。
静かになった二人を置いて、一心と二人罠を仕掛けまくる。
しばらくたってふと見ると、青ざめる自称女神が。やがて大声で叫んだ。
「使えませんわ!どうなっていますの!」
多分 神力=強制退出 だろうけど、とりあえずうるさい。
嫌な空気事ぶった切るように、声をかける。
時間かけさせんなや。めんどくさいな~もう。
「あの――!武器の返却をお願いいたしますー!」
「うるさい!」
ヤケクソ気味に雷が落ちた。
「キャ―――――――――(棒)」
「うわぁ――――――――(棒)。」
ワザと二人で受け、スキルで気配と姿を消して様子をうかがう。
さて、何か話してくれるといいけど………。
……?
「一心、回避!」
「!っ。」
ちょっとは自分たちの予想を話してくれると思ったので隠れたが、落雷が続くとは聞いていない!
あぁあ―!!!せっかくの罠!
「……………………!……………………………!……!」
ドカン!やバリバリバリ!なんていう音が響いていては、当然声はかき消されてしまう。
っていうかそろそろ突撃したい。でもまだ我慢だ。せめて録音してから…。
「マスター、ニアから連絡です。音声の証拠がとれたと。」
「いよっし!」
待ちに待った言葉を前に待てるはずもなく、スキルを外して番人と自称女神に突っ込む。
後ろから一心がナイフを投げつけ、先制の攻撃を放つ。
「きっさま!人間ごときが!我らをなんと心得る!知識の番人を務める神と、英知の女神ぞ!」
私たちが攻撃の態勢に移ると理解した番人は、不敬だと詰る。
「知ったことか!私の邪魔をする阿呆は私の敵だ!」
「神に向かって無礼な!神の怒りで死ね。」
暴言に暴言を返して言葉の応酬は終わる。
それと同時に神対人間の戦いの幕は、雷が降り注ぐ中上げられた。
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