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神々編
45.邪魔はさせない
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私の武器に、私の大切な子どもたちを守る力。
奪わせるわけにも、おいそれと渡すわけにはいかない。
たとえ、神を敵に回しても。
おそらく、自称女神が泣き縋ったのが知識の番人だろう。
邪魔な私に『神』に逆らった罰として力を制限させ、実行するためにそれらしい言い分をつけて目的を果たした。
私が、人間が自分の部下を雑に扱ったことを許せなかったか?
称号や装備を整え、一心に神々の居場所を聞く。
「おそらく、以前マスターが落ちてきた場所から侵入できるかと思います。候補は3か所。神様が以前もらしていた情報から神々の領域は繋がっていると予想されます。」
「了解。上空から侵入してみよう。」
「一心兄上、おそらくは神の領域でもスキルの使用が可能かと予想されます。よって隠密スキルを使用していくことを推奨いたします。」
「ニア、その根拠は。」
すかさず一心が根拠を求める。その顔は無表情に見えるが、相当にお怒りのようだ。
同じく怒りを感じているニアは、やや厳しく見え……なくもない顔で告げる。
「神様を鑑定スキルで鑑定したところ神の威光、神の鉄槌などのスキルが確認できました。また、直接戦うマスターと一心兄上は雷属性の耐性防具を準備してください。確認したスキルの半数以上が雷属性でした。」
「分かった、雷属性か………気をつけよう。」
雷属性のスキルは素早く威力が高いことが多い。まぁ、死神よりは遅いだろうけど買わせるかギリギリかな。
「マスター、おそらく称号『死神』を取った時よりかは楽な戦闘になると思いますが、それでも敵は神です。油断は一瞬もできませんよ。」
「ああ、分かってるよ。大丈夫。」
……………私の力は、美しい者達と我が子を守るための力。
引き寄せて、守り切ってここまで来たこの幸せを、邪魔するものは許さない。
決意を新たに、準備を進める。
「一心、精霊王達に頼んでウィール様に神様の足止めを。ニア、ボックスから最上級のポーションと復活のポーションをありったけ一心に渡して。ニア自身は隠密スキルが使える称号にして、隠密スキル補正のかかる装備で固めて。」
歩いて見つけた精霊達に留守にすることを伝え、リビングにて軽く食事をとる。
食事が並べられる中、ニアに指示を出す。
「一心用に斧と投擲用のナイフを大量に用意して。私は大鎌で戦うから剣はニアが装備。レイピアは使いづらいなら私が持ってく。ニア、装備時のニアの隠密スキルはどこまで上がる?」
「最大の10まで上がりました。」
「了解。魔力ポーション大量に使っていいから、隠密スキルの『嗤うもの』は常時使って。」
「かしこまりました。」
一心が作った毒無しの料理をたいらげると、食後の胃を休めるために少し休む。
私たちが準備に急かされる間にも時間は着々と進み、予定を狂わせる。
常時発動している索敵スキルに引っかかる存在に気付いた私達は、彼から逃げるように出発した。
情報とアイテムがぎっしり詰まった家ごと、ダーネスに預けて。
神様視点~~~~~~~~
言いようのない不安があった。
何か見えない恐ろしいモノに見張られているような。不吉な予感。
それになんだか最高神様の様子もおかしかった。何か、何かに従っているような。
友人でもあるウィールに相談したが、
「千利は強いから、大丈夫だよ」
としか言ってくれない。
時間が経過するごとに嫌な予感は増すばかりだったので、無理矢理切り上げて千利の家の入口に向かう。
空間魔法の中にあるが、精霊王達が開けてくれるだろう。
「千利はいるかい?」
一刻も早くその姿を見て安心したくて、地の精霊王に話しかける。
「姫はいないわよ?お出かけですって。」
心のどこかで「やっぱり」と思うが、もどかしさをぶつけるように質問を繰り返す。
「ニアと一心は?」
「姫様とついて行きました。」
「どこに何をしに?」
「わたくし達には教えてもらえなかったのです。」
「予想できる場所は?」
「……今日は三人一緒で、珍しいので分かりませんわ。いつもだったら、情報を集めるときはほとんど一人で行動されますの。」
「っ…………。家に!家に入れてもらえないだろうか。」
一縷の望みをもって聞く。家の中の予定表か何かに書いてあるかもしれない。
急に地の精霊王の影から出てきた闇の精霊王。
驚きつつも、首をかしげる地の精霊王を放置して同じように聞く。
確か、空間は闇の精霊王の領域、きっと家に入れてくれる!
だが、答えは非情なもの。
「姫に一切誰も入れないように言いつけられている。」
「そんな……………。」
何とか頼み込むも、「姫に言いつけられている」と言われ、入れてはくれなかった。
「いったい何をする気だい……?千利………。」
精霊王達以外の精霊と会話が出来ず、千利が行く場所の検討すらつかない私にはもう、嘆くことしかできなかった。
………………こんな今の私の祈りは、最高神様に届くのだろうか。
「最高神様に祈りをささげる。我が願いは最高神様の目覚め、我が世界の精霊妃、人間千利の幸福。」
……………せめて、無事でいてくれ。
そんな思いを最高神様に届けたくて、祈る。
最高神様がおかしくなった事も治るように。千利をおかしな状態のまま、殺しては欲しくない。
正気に戻った時、お嘆きになるのはあなたでしょう?だからどうか、いつもの貴方に戻ってくださいませ。
「………………………………。届いてくれ。」
魔力を込め、なぜか今は入れない僕らの領域に飛ばす。
どうか、二人とも無事でいてくれ。
奪わせるわけにも、おいそれと渡すわけにはいかない。
たとえ、神を敵に回しても。
おそらく、自称女神が泣き縋ったのが知識の番人だろう。
邪魔な私に『神』に逆らった罰として力を制限させ、実行するためにそれらしい言い分をつけて目的を果たした。
私が、人間が自分の部下を雑に扱ったことを許せなかったか?
称号や装備を整え、一心に神々の居場所を聞く。
「おそらく、以前マスターが落ちてきた場所から侵入できるかと思います。候補は3か所。神様が以前もらしていた情報から神々の領域は繋がっていると予想されます。」
「了解。上空から侵入してみよう。」
「一心兄上、おそらくは神の領域でもスキルの使用が可能かと予想されます。よって隠密スキルを使用していくことを推奨いたします。」
「ニア、その根拠は。」
すかさず一心が根拠を求める。その顔は無表情に見えるが、相当にお怒りのようだ。
同じく怒りを感じているニアは、やや厳しく見え……なくもない顔で告げる。
「神様を鑑定スキルで鑑定したところ神の威光、神の鉄槌などのスキルが確認できました。また、直接戦うマスターと一心兄上は雷属性の耐性防具を準備してください。確認したスキルの半数以上が雷属性でした。」
「分かった、雷属性か………気をつけよう。」
雷属性のスキルは素早く威力が高いことが多い。まぁ、死神よりは遅いだろうけど買わせるかギリギリかな。
「マスター、おそらく称号『死神』を取った時よりかは楽な戦闘になると思いますが、それでも敵は神です。油断は一瞬もできませんよ。」
「ああ、分かってるよ。大丈夫。」
……………私の力は、美しい者達と我が子を守るための力。
引き寄せて、守り切ってここまで来たこの幸せを、邪魔するものは許さない。
決意を新たに、準備を進める。
「一心、精霊王達に頼んでウィール様に神様の足止めを。ニア、ボックスから最上級のポーションと復活のポーションをありったけ一心に渡して。ニア自身は隠密スキルが使える称号にして、隠密スキル補正のかかる装備で固めて。」
歩いて見つけた精霊達に留守にすることを伝え、リビングにて軽く食事をとる。
食事が並べられる中、ニアに指示を出す。
「一心用に斧と投擲用のナイフを大量に用意して。私は大鎌で戦うから剣はニアが装備。レイピアは使いづらいなら私が持ってく。ニア、装備時のニアの隠密スキルはどこまで上がる?」
「最大の10まで上がりました。」
「了解。魔力ポーション大量に使っていいから、隠密スキルの『嗤うもの』は常時使って。」
「かしこまりました。」
一心が作った毒無しの料理をたいらげると、食後の胃を休めるために少し休む。
私たちが準備に急かされる間にも時間は着々と進み、予定を狂わせる。
常時発動している索敵スキルに引っかかる存在に気付いた私達は、彼から逃げるように出発した。
情報とアイテムがぎっしり詰まった家ごと、ダーネスに預けて。
神様視点~~~~~~~~
言いようのない不安があった。
何か見えない恐ろしいモノに見張られているような。不吉な予感。
それになんだか最高神様の様子もおかしかった。何か、何かに従っているような。
友人でもあるウィールに相談したが、
「千利は強いから、大丈夫だよ」
としか言ってくれない。
時間が経過するごとに嫌な予感は増すばかりだったので、無理矢理切り上げて千利の家の入口に向かう。
空間魔法の中にあるが、精霊王達が開けてくれるだろう。
「千利はいるかい?」
一刻も早くその姿を見て安心したくて、地の精霊王に話しかける。
「姫はいないわよ?お出かけですって。」
心のどこかで「やっぱり」と思うが、もどかしさをぶつけるように質問を繰り返す。
「ニアと一心は?」
「姫様とついて行きました。」
「どこに何をしに?」
「わたくし達には教えてもらえなかったのです。」
「予想できる場所は?」
「……今日は三人一緒で、珍しいので分かりませんわ。いつもだったら、情報を集めるときはほとんど一人で行動されますの。」
「っ…………。家に!家に入れてもらえないだろうか。」
一縷の望みをもって聞く。家の中の予定表か何かに書いてあるかもしれない。
急に地の精霊王の影から出てきた闇の精霊王。
驚きつつも、首をかしげる地の精霊王を放置して同じように聞く。
確か、空間は闇の精霊王の領域、きっと家に入れてくれる!
だが、答えは非情なもの。
「姫に一切誰も入れないように言いつけられている。」
「そんな……………。」
何とか頼み込むも、「姫に言いつけられている」と言われ、入れてはくれなかった。
「いったい何をする気だい……?千利………。」
精霊王達以外の精霊と会話が出来ず、千利が行く場所の検討すらつかない私にはもう、嘆くことしかできなかった。
………………こんな今の私の祈りは、最高神様に届くのだろうか。
「最高神様に祈りをささげる。我が願いは最高神様の目覚め、我が世界の精霊妃、人間千利の幸福。」
……………せめて、無事でいてくれ。
そんな思いを最高神様に届けたくて、祈る。
最高神様がおかしくなった事も治るように。千利をおかしな状態のまま、殺しては欲しくない。
正気に戻った時、お嘆きになるのはあなたでしょう?だからどうか、いつもの貴方に戻ってくださいませ。
「………………………………。届いてくれ。」
魔力を込め、なぜか今は入れない僕らの領域に飛ばす。
どうか、二人とも無事でいてくれ。
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