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神々編
44.神様の目的
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そのままギャアギャアと騒いで移動した結果。
「………………言い訳はあるのかな?」
「「……すいませんでした。」」
二人そろって正座してます。
「なんで僕まで……。千利、巻き込まないでくれよ。」ボソッ
「神様が叩くからでしょうに。私こそ巻き込まないでくださいよ。」ボソッ
ボソボソと責任を擦り付け合っていたらブリザードが吹いた。
「うるさいよ?まさか私に聞こえていないとでも?」
ヒュォオオオオオなんてもんじゃない暴吹雪が私達に降りかかる。
「「すいません。」」
「まったく、で?千利はいいとして一緒に騒いでいるのは何でだい?神様?」
何も言わずに沈黙を通す神様に、ウィール様は本題を促した。
「……千利の戦闘能力がこちらの予想以上だったので制限するようにと上位神たちにいわれましてこちらに参りました。」
そういったとたん小精霊を始めとした精霊達が殺気立った。
下級精霊と小精霊達は世界樹ウィール様の感情に同調する。
つまり、彼らが殺気立つ=ウィール様の激怒を表す。
「ふぅん?君たちのミスで精霊妃が20年も遅れて、この世界自体が疲弊したというのにまた君たちが精霊妃を制限するのかい?君たちのせいで20年かけて教えることを1ヶ月で学んだ千利に、君たちがまた、千利に苦労を強いる、と?」
覚悟をしていたのか、はたまた予想していたのか冷静な声で淡々と返す神様。
「その通りです。千利の戦闘能力はこの世界の均衡を崩します。そのために、こちらが用意した制限装置をつけさせてもらいます。これは、最高神様の命令です。」
そのまま私の腕を乱暴にをつかみ、腕輪を付けた神様。
銀の重々しいそれは自身の存在を隠すように透明になり、消えた。
ふと見れば、痛々しい神様の顔と、怒りが突き抜けている様子のウィール様。
なんて顔してるんですか、神様。女である私よりもなよなよしてどうするんです?
ザワザワと怒りを表す世界樹。
神様に攻撃しようと力をためる精霊達。
自身の意志ではないことがすぐに分かってしまう顔をした神様に、問う。
「神様、これは最高神様が言い始めたことですか?」
戸惑いながらも、答える神様。
「?いや、今回のことは他の神が言いだして、最高神に進言したはずだよ。」
「その神の名は?」
「神に名前はないんだけど、確か………知識の番人だったはずだよ。それがどうかしたかい?」
僅かな情報だったが、理解はした。
納得はする訳無いので、行動を起こすんだけどね。
神様のためにその疑問を無視して、一心を呼び出す。
「一心。」
影移動を使い控える一心。ニアも一緒だ。
「今後の予定を変更だ。やることが出来た。一週間でけりをつけるつもりなので、そのつもりで動け。」
重要だと、意義は認めないと伝えるために、命令口調で伝える。
しっかりと悟った一心とニアは「マスターの仰せのままに。」と言って戻っていった。
そのまま二人に向き合い、退出の許可を願い出る。
了承したウィール様は、心配そうに言う。
「何をするつもりか知らないけど、気を付けるんだよ?」
「大丈夫ですよ~ウィール様。死にゃーしませんよ。じゃあ、また来ます。」
「待つんだ千利!」
手を振り歩き出した私に、語気を強めて呼び止める神様。
「何をする気だ。」
神様の口に指を当て、ニッコリとした笑顔で答える。
「あなたが知らなくていいことです。その方が、幸せでしょうし。」
何か言われないように、私は影移動で戻った。
「千利!」
最後になるだろう心配する声に、少し心が温まることを感じる。
…………。
殺し合いたくはないなぁ。
そんなことを考えてから、笑顔を消して一心たちに向き直る。
「何をお考えで?マスター。どうあっても私達はお供しますが。」
「う~ん。とりあえず、精霊王達は消音の結界張って出てくれるかい?」
少し青ざめたラトネスが、恐る恐る聞く。
「やはり我々は信用なりませんか…?」
飄々とした様子を出して返事をする。
「違う違う!ウィール様に知られたくないんだよ。」
「なるほど、それならばわしらは出ておりましょう。御用がありましたら、お声がけください。」
「ありがと、フォルじい。」
彼らを見送った後、一心が再び口を開く。
「その腕輪は制限装置のようですが、いかがされました?」
「最高神様の命令によって、神様につけられた。………うん。やっぱり外せないね。継ぎ目すらない。」
ガチャガチャと動かすが、びくともしない腕輪。
躊躇わずに上半身裸になり、命じる。
「切れ。」
「はっ。」
短い言葉の後には、一心が自分の体から出した刃により腕は消えていた。
普段からつけている死神の称号には、死体を利用した回復スキルがついている。
その効果によって復活した腕には、もう腕輪はない。
腕輪があった時に感じた倦怠感や握力の低下、魔力操作の異常を調べても、もう異常は出ない。それらを確認した後、私は考えを実行に移すことを決める。
…………上げた顔はきっと、隊長としての私の顔になっているだろう。
人を殺すことを躊躇わない、冷酷無比な者の顔に。
「私はこれから、神を殺しに行く。目標は自称女神と知識の番人と呼ばれている神。その二つの死体を土産に最高神に交渉する。これらを念頭に置いたうえで、情報と戦闘の準備をせよ。戦場に立つのは私と一心。後方援護をニア。覚悟はいいな。」
二人は非情な主に跪いた。
「………………言い訳はあるのかな?」
「「……すいませんでした。」」
二人そろって正座してます。
「なんで僕まで……。千利、巻き込まないでくれよ。」ボソッ
「神様が叩くからでしょうに。私こそ巻き込まないでくださいよ。」ボソッ
ボソボソと責任を擦り付け合っていたらブリザードが吹いた。
「うるさいよ?まさか私に聞こえていないとでも?」
ヒュォオオオオオなんてもんじゃない暴吹雪が私達に降りかかる。
「「すいません。」」
「まったく、で?千利はいいとして一緒に騒いでいるのは何でだい?神様?」
何も言わずに沈黙を通す神様に、ウィール様は本題を促した。
「……千利の戦闘能力がこちらの予想以上だったので制限するようにと上位神たちにいわれましてこちらに参りました。」
そういったとたん小精霊を始めとした精霊達が殺気立った。
下級精霊と小精霊達は世界樹ウィール様の感情に同調する。
つまり、彼らが殺気立つ=ウィール様の激怒を表す。
「ふぅん?君たちのミスで精霊妃が20年も遅れて、この世界自体が疲弊したというのにまた君たちが精霊妃を制限するのかい?君たちのせいで20年かけて教えることを1ヶ月で学んだ千利に、君たちがまた、千利に苦労を強いる、と?」
覚悟をしていたのか、はたまた予想していたのか冷静な声で淡々と返す神様。
「その通りです。千利の戦闘能力はこの世界の均衡を崩します。そのために、こちらが用意した制限装置をつけさせてもらいます。これは、最高神様の命令です。」
そのまま私の腕を乱暴にをつかみ、腕輪を付けた神様。
銀の重々しいそれは自身の存在を隠すように透明になり、消えた。
ふと見れば、痛々しい神様の顔と、怒りが突き抜けている様子のウィール様。
なんて顔してるんですか、神様。女である私よりもなよなよしてどうするんです?
ザワザワと怒りを表す世界樹。
神様に攻撃しようと力をためる精霊達。
自身の意志ではないことがすぐに分かってしまう顔をした神様に、問う。
「神様、これは最高神様が言い始めたことですか?」
戸惑いながらも、答える神様。
「?いや、今回のことは他の神が言いだして、最高神に進言したはずだよ。」
「その神の名は?」
「神に名前はないんだけど、確か………知識の番人だったはずだよ。それがどうかしたかい?」
僅かな情報だったが、理解はした。
納得はする訳無いので、行動を起こすんだけどね。
神様のためにその疑問を無視して、一心を呼び出す。
「一心。」
影移動を使い控える一心。ニアも一緒だ。
「今後の予定を変更だ。やることが出来た。一週間でけりをつけるつもりなので、そのつもりで動け。」
重要だと、意義は認めないと伝えるために、命令口調で伝える。
しっかりと悟った一心とニアは「マスターの仰せのままに。」と言って戻っていった。
そのまま二人に向き合い、退出の許可を願い出る。
了承したウィール様は、心配そうに言う。
「何をするつもりか知らないけど、気を付けるんだよ?」
「大丈夫ですよ~ウィール様。死にゃーしませんよ。じゃあ、また来ます。」
「待つんだ千利!」
手を振り歩き出した私に、語気を強めて呼び止める神様。
「何をする気だ。」
神様の口に指を当て、ニッコリとした笑顔で答える。
「あなたが知らなくていいことです。その方が、幸せでしょうし。」
何か言われないように、私は影移動で戻った。
「千利!」
最後になるだろう心配する声に、少し心が温まることを感じる。
…………。
殺し合いたくはないなぁ。
そんなことを考えてから、笑顔を消して一心たちに向き直る。
「何をお考えで?マスター。どうあっても私達はお供しますが。」
「う~ん。とりあえず、精霊王達は消音の結界張って出てくれるかい?」
少し青ざめたラトネスが、恐る恐る聞く。
「やはり我々は信用なりませんか…?」
飄々とした様子を出して返事をする。
「違う違う!ウィール様に知られたくないんだよ。」
「なるほど、それならばわしらは出ておりましょう。御用がありましたら、お声がけください。」
「ありがと、フォルじい。」
彼らを見送った後、一心が再び口を開く。
「その腕輪は制限装置のようですが、いかがされました?」
「最高神様の命令によって、神様につけられた。………うん。やっぱり外せないね。継ぎ目すらない。」
ガチャガチャと動かすが、びくともしない腕輪。
躊躇わずに上半身裸になり、命じる。
「切れ。」
「はっ。」
短い言葉の後には、一心が自分の体から出した刃により腕は消えていた。
普段からつけている死神の称号には、死体を利用した回復スキルがついている。
その効果によって復活した腕には、もう腕輪はない。
腕輪があった時に感じた倦怠感や握力の低下、魔力操作の異常を調べても、もう異常は出ない。それらを確認した後、私は考えを実行に移すことを決める。
…………上げた顔はきっと、隊長としての私の顔になっているだろう。
人を殺すことを躊躇わない、冷酷無比な者の顔に。
「私はこれから、神を殺しに行く。目標は自称女神と知識の番人と呼ばれている神。その二つの死体を土産に最高神に交渉する。これらを念頭に置いたうえで、情報と戦闘の準備をせよ。戦場に立つのは私と一心。後方援護をニア。覚悟はいいな。」
二人は非情な主に跪いた。
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