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神々編
41.異世界の蜘蛛
しおりを挟む門番に開けてもらい、魔獣の場所を下級精霊に聞きながら行く。
門番には心配されましたともええ!主に真っ赤な顔をね!
「どうされました?」
ってきかれたとも!もう片方の門番は
「………お気を付けて。相手は異世界の魔獣ですので。」
って言われたさ!
絶対「………」の部分は察したな!察したんだろう!
まぁいいさ!この怒りごと魔獣にぶつけてやる。
下級精霊達に「こっちー」と言われてきたのは世界樹があるところから西の方。
だんだんと美しい森がズタズタの森になっていた時に、見つけたのは熊と蜘蛛。
「「キャー」」
と言って逃げてくる下級精霊。小精霊は走って逃げるので遅れているようだ。
「皆乗りなさい!」
そう勇ましく言っているのは中級や上級精霊。上級精霊の一人がこちらにやってきて言う。
「姫様、異世界の魔獣は全部で3体ですわ。熊と蜘蛛、後ろの方に兎がおりました。お気を付けて。」
……見え張っちゃってまぁ。健気だねぇ。
「ありがとう。皆を頼んだよ。」
震える体を隠して心配してくれた上級精霊にそう言うと、一礼して逃げていった。
「さて……。」
改めてお相手を見ると3~ 5mはありそうな熊に、高さ2m奥行き2mくらいの蜘蛛。兎はまだ見えないので分からな
「……あ。いた。」
今一瞬だけど茶色い物体が見えた。おそらく兎だろう。
熊はむしゃむしゃと果物を食べているので後でいいとして、兎は飛んで乱入してくる可能性が捨てきれない。
と、なると…………。
「キッシャアアアアアアアアアアアアア!」
と叫んでいる蜘蛛が最初の相手だろう。
私という餌を見てすぐに警戒をあらわにした蜘蛛は体を持ち上げて叫び、周りから次々と小さな(50㎝位)蜘蛛を呼んだ。
「さて、どうするかな~。」
今持っている武器はアーシェが作ってくれた片手剣とレイピア。
いつでも取り出せる倉庫の中には斧と投げナイフ、鞭、大鎌がある。
とりあえず片手剣を持ち、倉庫からレイピアの代わりに投げナイフを腰に下げて構える。
余談だが、ゲームの時に使っていた手持ちのアイテムがしまってあるアイテムボックス(ボックス)と場所さえ指定すればいつでも取り出せる倉庫がある。
残念ながらその中にあったゲーム時のアイテム数億は無くなっていたが、新たに入れることが可能なので存分に利用している。
そんなときもこちらの準備中など知らぬ、といわんばかりに、蜘蛛は呼び出した小さめの蜘蛛を投げてきた。
「シャアアアアア!」
「シャアアアアアアアアアア!」
叫びながら来る特攻隊は剣で切り捨てることで対応していくも、情勢はこちらが少し不利だ。
原因は蜘蛛特有で、見えにくーいアレ。
「おわっと。あっぶね!」
蜘蛛が吐き出す糸だ。これが透明っぽいので地味にキツイ。
後ろには殺しきらなかった小さい蜘蛛。前には無傷の蜘蛛。
目を細めて嬉しそうにする蜘蛛。そんな蜘蛛に一言。
「…………なぁんちゃって。」
バキバキとボウボウといった真逆なものを連想する音がすると、小さな蜘蛛は皆
「ギィイイイイイイイイ!」
「ギュイイイイ……。」
「ギイイイイイイイイイイ!………。」
断末魔を残して死んでいった。
即座に私に蜘蛛の巣になっている糸を出す蜘蛛。しかしイアの炎を纏わせた剣には効果が薄い。
「ん?どうした?ご自慢の特攻隊はいなくなったぞ?ついでに…逃げ場もな?」
先ほどの余裕はどこへやら。
燃え始めている木に糸を出して空中へと逃げ、押しつぶそうと落下する蜘蛛。
蜘蛛の居るところは私の真上。そのまま糸を出して足で切り裂くつもりなのだろう。
そのまま後ろに飛び、待ち構えていた足を剣で受け止める。
ガキィイイイとおよそ足と剣が交わっているとは思えない音。
そのまま投げナイフで切り落としたいが、両手で剣を支えているので出来ない。
(思ったよりも足の力が強いな。)
そのまま受けきるのを諦めていなす。そこから始まるのは足の攻撃のラッシュ。
右上から、左下から、右、右、左、左フェイントの右。左フェイントの真下。
フラフラとふらつく様に受け流すと蜘蛛の右足が浮くのが分かった。
(チャンス!)
左に飛ぶフェイントを入れて、大きく右に飛ぶ。
飛んだ隙を狙って蜘蛛も攻撃しかけるも、防御魔法を足場にさらに飛んだ私には当たらない。
飛んだ先は蜘蛛の真上。そのまま大きな胴体と頭を繋げる隙間に剣を突き刺す。
プシュゥウウウウウウと勢いよく飛び出す体液と同時に
「ギィイイイイイイイイイイイイ!」
と断末魔を上げた。
ついでに高く飛び上がり、兎を確認すると異変に気付いてこちらへと向かってくるのが見えた。
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