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精霊達の土地編
27.称号と私の“日常”
しおりを挟む※物騒な字面注意
光の粒が私に降り注ぐ中ポーンと、聞きなれたゲームの電子音が再び鳴る。
「称号『精霊妃』が取得可能です。取得しますか?」
頼む。
「称号『精霊妃』を取得しました。現在の称号『死神』と取り替えますか?」
死神を付けておいてくれ。後、精霊妃の称号の効果と使用可能になるスキルの説明を。
「現在の称号は『死神』です。また、称号『精霊妃』は精霊に愛された大陸の守護者に与えられる称号です。魔法の威力と範囲が10%上昇し、精霊を使役することが可能になります。
使用可能になるスキルはスキル『認可許可命令』とスキル『精霊樹の管理』スキル『自由移動(空)』です。
スキル『認可許可命令』は自信が契約している精霊に、他者が認識できるように『認可許可』を出すことを命令できるようになります。
スキル『精霊樹の管理』は『精霊樹を枯らす』『精霊樹を成長させる』『精霊樹を芽吹かせる』が行えます。」
了解した。
「マスターどうされましたか?」
「この世界で今代の精霊妃として宣言されたからか、ゲームのシステムが称号である『精霊妃』を獲得するかを問われた。獲得して、説明をしてもらってたんだよ。いろいろ分かった。」
「そんなことできたんだね。急に静かになるからびっくりしたよ……って、それよりも手!大丈夫かい?さっき自分で手のひらを切っただろう、ほら治すから見せて。」
こんなの放っておけば勝手に治るけど……まぁおとなしく治してもらうか。
「なんで切ったんだい?無言の無表情で切っていたから正直不気味だったよ。こんなこと、まさか日常的にやってないだろうね。」
静かに、やや怒りによる威圧(無意識?)をしながら聞くウィール様。
「必要に応じてやってます。今回のは私が想像しやすくするためです。」
「どうしてこんなことを?」
「理由としては4つあります。1に時間を短縮するため、2に変装などをするときに相手にバレにくくするため、3に拷問の耐性を付けるため、4に自死への抵抗を弱くするためです。」
「……拷問に、…………自死……。」
さっきの静かな怒りは消え失せ、呆然とつぶやくウィール様。
この世界に生まれた先代の精霊使い達は、ずいぶんと優しい世界で育ったようだな。
よかったじゃないか、どす黒い世界を知らないで暮らした方がよっぽど幸せに暮らせるよ。
私は元の世界で警官をしていた。
警官の仕事は多いがその中でも一番厄介にされ暴力という力が必要になる、ヤクザや暴力団を取り締まる課に入っていた。
通称「喧嘩係」この名前の通り、ヤクザとの喧嘩が絶えない日々。拳銃の回収先の事務所で喧嘩して、闇金の事務所で喧嘩して、ヤクザの山口組一つ潰して。
そんな日々を送っていれば当然、恨み妬みは買うわけで。これだけでも十分物騒だが、それに加え私と千葉(せんば)と上官は世界中の首相や大統領、総理大臣が認めている公認の殺し屋集団に所属していた。
上官が頭のこの集団「トップ」はそれぞれの二つ名で呼び合い、首相が裁けるような証拠がないが、不正し放題のゲス達を殺してきた。
上官は「魔王」千葉は「ピエロ」私は「死神」。あとは「バード」「シャドウ」「ナイフ」「スナイパー」がいた。
………他にもいた気がするけど、分からん。
国が手を焼くゲスは当然それなりの地位にいるので、手先や部下の数が多い。
実際に行動する奴らは雑魚だけど、そいつらは「誘拐」もしくは「拘束」を命じられてる。理由は当然、本人が持っている情報欲しさに。
上の人間になるほど敵に対して容赦がないので、本人に対する拷問はいい方だ。
家族、友人、恋人を目の前で殺すことや拷問することもある。
拷問も殴るなんて優しくはない。水、火、薬物、性的なものまでありとあらゆる拷問をされる。私的には薬物が楽でよかった。
「拷問なんて!…………ま、さか、実際に…?」
「拷問されたことも恋人が拷問されたこともあります。肌着以外の全裸は当然、焼きごて押し付けられたこともあります。ダーツの的にされたこともありました。」
呆然自失から復活して叫び、絶句するウィール様。
まぁ、経験がある方が珍しいけどな。私にとっては慣れっこのことだ。
誘拐、脅迫、拷問、拳銃に狙撃にナイフに改造されたスタンガン。
わざと誘拐されて、服脱がされて拘束からの拷問。ここまでがワンセットと言われても納得してしまうほどに繰り返し行われた。
改めて、よく私純潔保てたなと考えていると頭を撫でられていた。
「………?アイセン、どうした。」
「姫が前に暗い顔をしていたダーネスをこうしていただろう?今姫が暗い顔をしてるから同じようにしてみた。」
……………私22なんだけどな……。
少し遠い目をしてしまう。私は無意識の内に癒しを求めて、自分のお腹あたりにある緑の頭を撫でる。
撫でられているウィンは僕の場所!と主張するように膝の上に乗っている。来たらすぐにここに乗ったため精霊王の中でも幼い、少女に見えなくもないミカが譲って欲しそうにじっと見ている。
……なかよくな。
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