異世界情報収集生活

スカーレット

文字の大きさ
上 下
39 / 205
精霊達の土地編

26.精霊妃として

しおりを挟む

「ウィール様、こちらはまだ異世界に来たばかりでこの世界の勉強などに時間を使いたいのです。ご理解の上、精霊達が言っていた『光の柱』を立てる方法の説明をしてもよろしいでしょうか?」

「分かったよ。じゃあ姫、とりあえず精霊の力を手のひらに自分で集めてごらん。」

自分の左手の血管を見て、血液の様に精霊の力が巡っているのを想像する。

……血液、なら手のひらから出血したことを想定して精霊の力を集められるだろう。

…………実際に見えた方が早そうだ。

手のひらを手刀で軽く切る。薄皮一枚だけを切り、ゆっくりと血が半球状になっていく。
…………あとは精霊の力を流れにそって集める………。

「………姫、何を…してるん…だい?」

「マスターは集中しているようなので、邪魔をしないでいただけますか?ウィール様。よくあることですので。」

「分かったけど……あとでしっかり聞くからね。」

「かまいません。」

………直径10cmぐらいになったけど、これ何処まで集めるんだろう?

「ウィール様集まりましたが、これをどうしたらいいのでしょう?」

「それは精霊王達の力が混ざっている状態だから、精霊王たちの力ごとに分けて欲しいんだ。本当は混ざっていてもいいんだけど、人の子の精霊を感知する力が弱くなってるから混ざっていると人の子が判断できないんだ。だから、面倒だけど分けてもらえる?」

「分かりました。」

薄黄色の色をした精霊達の力、これを分ける……。

何となくで、皆の感じがするけど……どうすっかなコレ。
………遠心力で分けるか?いや、何となくでイメージがある属性別の色に分けた方がいいか?

薄黄色の球に色の点が混ざっているのを想像して、色ごとに分けていく。
少しすればきっちり分かれた色とりどりの球が出来た。

思ったよりも簡単でよかった。さっさと済ませて情報集めたいからな。

「……早くないかい?難しいはずなんだけど……。」

「そんなことよりもウィール様、次はどうしたらいいですか。」

「ああ、うん。じゃあそれをもっと大きくして打ち上げようか。そうだね…2mくらいかな。ああ、君が預かってる分じゃ足りないから精霊王達も呼んだよ。もう少し待っ」

「ウィール様呼んだ?」

「ウィール様お呼びでしょうか?」

ウィール様が言い切る前に次々に現れる精霊王達。

気の毒に、ウィール様。楽だから気にしないけど。

「………待つ必要はなさそうだね。皆、姫にそれぞれ力を分けてくれ。姫が思った以上に優秀でね、今日柱を立てるからそのつもりでわけてくれ。」

「「「「「「「「「了解いたしました。」」」」」」」」」

皆から受け取った力をゆっくり球に注ぎ、大きくしていく。

しかし、皆過保護じゃないか?こっちがもどかしくなるほどゆっくり力が送られてくるんだが。

そのまま大きくした精霊王達の力を無意識の内に打ち上げる。

音も無く巨大な虹の光の柱が立ち、世界樹の精霊としての威厳を持ったウィール様が問う。

「今この時より、次代の精霊妃を今代の精霊妃として認める。精霊妃は役割を果たすように。」

自然に浮かぶ言葉で、誓いを立てる。

「精霊妃として、また、一人の人の子として、この精霊妃の役割お受けいたします。」

「存分に励むように。今代の精霊妃に精霊達よ祝福を。」

大きさも色も様々な光の粒子が私とニアに降り注ぐ。おそらく下級精霊や小精霊も混ざっているんだろう。一部どこかへ行ったのは一心あてだろうか。

今この瞬間私は精霊妃として世界に認められたと同時に、情報収集しているだろう一心に怒られることが確定した瞬間でもあった。

私のせいじゃないよ!?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スコップ1つで異世界征服

葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。 その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。 怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい...... ※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。 ※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。 ※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。 ※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります

ベルピー
ファンタジー
幼い頃にラッキーは迷子になっている少女を助けた。助けた少女は神様だった。今まで誰にも恩恵を授けなかった少女はラッキーに自分の恩恵を授けるのだが。。。 今まで誰も発現したことの無い素質に、初めは周りから期待されるラッキーだったが、ラッキーの授かった素質は周りに理解される事はなかった。そして、ラッキーの事を受け入れる事ができず冷遇。親はそんなラッキーを追放してしまう。 追放されたラッキーはそんな世の中を見返す為に旅を続けるのだが。。。 ラッキーのざまぁ冒険譚と、それを見守る神様の笑いと苦悩の物語。 恩恵はガチャスキルだが99.7%はパンが出ます!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

処理中です...