異世界情報収集生活

スカーレット

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異世界 阿呆の国編

19.契約

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「姫、再び手を。」

フォルじいの声に、先ほどの様に両手を差し出す。
精霊達が、その上にのせるように各自光の玉を作り出す。

アクスは水色。イアは赤。ウィンは緑。アーシェは茶色。フォルじいは茶緑。ミカはオレンジ。アイセンは薄い青。ラトネスは白。ダーネスは黒。

『我らは精霊王。精霊使いに生涯仕えるもの。我らは彼の者と契約を結ぶことを希う(こいねがう)。我らはいついかなる時でも彼の者を心身ともに守り、慈しむことをここに誓う。』

そう彼らが言ったとき、誰かの男の声が響いた。27くらいだろうか。

(「彼の者は其れを望むか?」)

私はそれを望む。
私ができるのは、皆が契約したことを後悔しないように努力することだけだ。

(「じゃあ、復唱して。私が教えるよ。」)

そのまま、頭に浮かんだ言葉を復唱する。

『我が名は千利。異界より帰還した次代の精霊使い。我は彼の精霊達と契約するとこを希う。我はいついかなる時でも主として彼の者たちを守り、慈しむことをここに誓う。』

(「では、彼の精霊達に名を。」)

『四大より水の精霊王アクス、火の精霊王イア、風の精霊王ウィン、土の精霊王アーシェ。五精霊より樹の精霊王リーンフォル、雷の精霊王ミカ、氷の精霊王アイセン、光の精霊王ラトネス、闇の精霊王ダーネス。次代の精霊使い千利の名のもとに、我は彼の精霊達に契約を願う。』

(「彼の精霊達は千利の名のもとにこの名を受け入れ、仕えることを誓うか?」)

『我らは名を受け入れ、生涯仕えることを誓う。』

(「契約はなされた。精霊達に契約をもとに、精霊の力を自身と契約者の間につなげることを、世界樹ウィールの名のもとに命ずる。」)

『我ら精霊王は確かに拝命いたしました。』

(「我が子達に祝福あれ。」)

フワッと感じたことのないナニカが、体の中まで包み込むように流れてくることが分かる。
反射でナニカを拒絶しようとしたら、ダーネスに止められた。

「姫、ゆっくりでいいから受け入れてくれ。これが俺達の力だ、大丈夫。姫を傷つけるものじゃない。」

ダーネスが手を軽くつかみ、落ち着かせてくれる。だが、体は拒絶を示し続ける。

………私の体のくせに私の意志を聞かないとは……ムカつく。

「姫様、深呼吸を。そう、ゆっくり吸って、吐いて。大丈夫です、正しい反応ですよ。一心殿、ニア殿、姫様の手を握ってあげてください。」

ラトネスが深呼吸させてくれても、体のこわばりは治らない。
この間にも、ナニカは流れ込んでくる。………怖い。



怖い。

本当にダーネスが言っていることは正しいのか?真実を言っているのか?

また私は選択を間違ったのか?

また、私の間違った判断のせいで一心やニアに迷惑をかけるのか?

「マスター、大丈夫ですよ。」

「……………………ニア、あなたはマスターの手を握っていてください。フラッシュ状態です。」

…また私のせいで誰かが悲しむのか?
…また私は、大切な仲間を傷つけてしまうのか?
…また私のせいで、一心やニアが苦しむのか?また、また、また。

「精霊王様方、もう力の道は作り終えましたよね?」

「もう少しじゃが、姫はどうしたというのじゃ。」

「いったんマスターを落ち着かせるために中断してくださいますか。このままではマスターの精神に傷がつきます。」

「分かったわ。ミカ、アイセン、いったん中断してくれるかしら。あとはわたくしとあなたたちでしょう?」

「分かりましたわ、姫様が最優先ですもの。」

「分かった。」


(「………愛しているよ、小鳥美。僕の最愛。」)


マタワタシハ、大切ナ仲間ヲ、傷ツケサセテシマウノカ?
アノトキノヨウニ。

突然、視界が暗くなる。後から知ったが、一心に目元を手で隠されたまま、抱きしめられていたらしい。

「マスター、大丈夫です。……今日はもうお休みください。このところちゃんとした睡眠はとっていないところに、面倒なことが次々と起きたんです。護衛は私とニアがやりますから、ちゃんと睡眠をとってください。………明日の朝まで、どうぞごゆっくりお休みください。」






















………次に聞いたのは、朝を告げる一心の声だった。
昨日は何で急に寝たんだっけ?覚えてないや。
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