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異世界 阿呆の国編
15.精霊妃の役割
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神様の話が終わった。
どうやら知らない間に、色々な神や精霊達に認識されていたらしい。
悪神達にはぜひ「お礼」がしたいものだな。
「千利、お礼参りは止めないけれど人間と神じゃ勝負にすらならないよ。」
「おや、残念ですね。」
「マスター、いつから貴女そんな馬鹿になったのですか。そんなことより神様、マスターは精霊妃としての力を失っている状況なんですよね。力はどうやって取り戻せばいいんですか?」
一心、そんなことよりってひどくない?
「そんなことって………。」
「神様。マスターの疑問は無視してもいいと一心兄上に教えらえられました。なので、無視してかまいません。」
ニア………。ならいいかじゃありませんよ神様。
「精霊妃としての力は簡単に戻るよ、もう地球の神から奪ってきたからね。ただ、そのあとが大変だよ。」
「どういうことです?」
「精霊妃の力は大きく分けて3つ。『精霊達を感知する力』『精霊王を使役する力』『精霊樹(せいれいじゅ)を生やし、枯らし、成長させる力』。その中の精霊達を感知する力の制御が大変なんだ。」
「感知は、どこまで入るんですか。確認できるだけなのか、会話などが可能になるのか。」
「会話も、勝手に話していることも聞こえるようになるよ。だから厄介なんだ。」
なるほど。精霊達は数億いるらしいから、全部見えるとうるさいし正直言って邪魔になるんだろう。
「ふふ。君は本当に賢いんだね、君との話は楽でいいよ。少しの情報を話せばすぐに察してくれる。」
「まさか、買いかぶりすぎでは?私自身の思考回路は美しくも醜くもない人間ですよ。美しい人間達と肩を並べて戦場に出れたら、と何度思ったことか。」
「「マスター……。」」
呆れられたとて、私の夢なんだからしょうがないだろう?一心、ニア。
………贅沢にも、考えてしまう。願ってしまう。
ああ、私が渡した情報で描かれた美しい戦術の上で同志として踊れれば。
「マスター?」
ああ、美しく舞い踊り敵を屠る者たちと肩を並べて戦えれば。
「………私の全てが歓喜で震えるだろうに。」
ああ、想像しただけでゾクゾクするね。
この世界にも美しい人間がいたらいいんだけれど………。
いたらそうだな……。ああでもこうしても………。
「……神様、マスターが返ってきませんので、続きをお願いいたします。」
「いいのかい一心?恍惚とした表情を浮かべているけれど。」
「待っていたらそのうち帰ってきますので、どうぞ続きを。」
「分かったよ。精霊妃としての力は僕が返してあげられる。だけれどもさっき言ったように、制御に時間がかかるから一部を返すよ。」
「では、最初に精霊を感知する力を?」
「そうだよ、この力の一部である『精霊王』を見る力を返す。僕もここには長くいられないから、精霊王達に教わるといいよ。」
「分かりました。私は精霊王達と話は出来ないのですか?」
「そこは千利の頑張り次第。ああ、もう返したからね。」
「おや、いつのまに。」
「じゃあ、僕はもうそろそろ帰るね。一心、ニア、またね。」
「情報提供ありがとうございました、神様。」
「次の時までに、神様のお口に合うお茶を上手に入れられるように私も頑張ります。」
「期待しているよ、ニア。千利もまたね~。」
そう言って、神様は帰ったらしい。クソっ、文句言う前に逃げられたか。
私?頭抱えてうずくまっていますけどなにかぁ?!
どうやら知らない間に、色々な神や精霊達に認識されていたらしい。
悪神達にはぜひ「お礼」がしたいものだな。
「千利、お礼参りは止めないけれど人間と神じゃ勝負にすらならないよ。」
「おや、残念ですね。」
「マスター、いつから貴女そんな馬鹿になったのですか。そんなことより神様、マスターは精霊妃としての力を失っている状況なんですよね。力はどうやって取り戻せばいいんですか?」
一心、そんなことよりってひどくない?
「そんなことって………。」
「神様。マスターの疑問は無視してもいいと一心兄上に教えらえられました。なので、無視してかまいません。」
ニア………。ならいいかじゃありませんよ神様。
「精霊妃としての力は簡単に戻るよ、もう地球の神から奪ってきたからね。ただ、そのあとが大変だよ。」
「どういうことです?」
「精霊妃の力は大きく分けて3つ。『精霊達を感知する力』『精霊王を使役する力』『精霊樹(せいれいじゅ)を生やし、枯らし、成長させる力』。その中の精霊達を感知する力の制御が大変なんだ。」
「感知は、どこまで入るんですか。確認できるだけなのか、会話などが可能になるのか。」
「会話も、勝手に話していることも聞こえるようになるよ。だから厄介なんだ。」
なるほど。精霊達は数億いるらしいから、全部見えるとうるさいし正直言って邪魔になるんだろう。
「ふふ。君は本当に賢いんだね、君との話は楽でいいよ。少しの情報を話せばすぐに察してくれる。」
「まさか、買いかぶりすぎでは?私自身の思考回路は美しくも醜くもない人間ですよ。美しい人間達と肩を並べて戦場に出れたら、と何度思ったことか。」
「「マスター……。」」
呆れられたとて、私の夢なんだからしょうがないだろう?一心、ニア。
………贅沢にも、考えてしまう。願ってしまう。
ああ、私が渡した情報で描かれた美しい戦術の上で同志として踊れれば。
「マスター?」
ああ、美しく舞い踊り敵を屠る者たちと肩を並べて戦えれば。
「………私の全てが歓喜で震えるだろうに。」
ああ、想像しただけでゾクゾクするね。
この世界にも美しい人間がいたらいいんだけれど………。
いたらそうだな……。ああでもこうしても………。
「……神様、マスターが返ってきませんので、続きをお願いいたします。」
「いいのかい一心?恍惚とした表情を浮かべているけれど。」
「待っていたらそのうち帰ってきますので、どうぞ続きを。」
「分かったよ。精霊妃としての力は僕が返してあげられる。だけれどもさっき言ったように、制御に時間がかかるから一部を返すよ。」
「では、最初に精霊を感知する力を?」
「そうだよ、この力の一部である『精霊王』を見る力を返す。僕もここには長くいられないから、精霊王達に教わるといいよ。」
「分かりました。私は精霊王達と話は出来ないのですか?」
「そこは千利の頑張り次第。ああ、もう返したからね。」
「おや、いつのまに。」
「じゃあ、僕はもうそろそろ帰るね。一心、ニア、またね。」
「情報提供ありがとうございました、神様。」
「次の時までに、神様のお口に合うお茶を上手に入れられるように私も頑張ります。」
「期待しているよ、ニア。千利もまたね~。」
そう言って、神様は帰ったらしい。クソっ、文句言う前に逃げられたか。
私?頭抱えてうずくまっていますけどなにかぁ?!
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