26 / 204
異世界 阿呆の国編
13.精霊妃の最初の試練 神様視点
しおりを挟む
※やや話口調
僕たちは普段、神の領域と呼ばれる所で自分の役目を果たしているんだ。
死者の記憶を消し去るもの。死者を輪廻の輪に導くもの。生まれる前の子供を導くものなど、役割は色々ある。
その中で僕は管理者として、神々をまとめる役割を持っているんだ。
そう、僕意外と偉いんだよ。
僕がまとめる神々は、記憶が消し去られて魂になった存在を別の世界に導くことに関わる神でね。
そのなかでも今回千利が地球に生まれる騒動を起こしたのは、もっとも重要な役割をもつ神。
『精霊使い』となる、生まれる前の人間である魂を世界に導く神。
精霊使いはその大陸に一人生まれる、いなくてはならない存在。
精霊との関係が大切だから生まれる前の、魂の状態のときに精霊王たちが会って選ぶ決まりになっているんだ。魂は性格をうつす鏡のようなものなんだよ。
男ならば、『精霊使い』女ならば『精霊妃』と呼ばれ、大陸の守護者として君臨し精霊使いとしての役割を果たす。
精霊使いになることが決まった魂に、精霊王によって選ばれて精霊使いとしての力を授けられた。それが、生まれる前の千利の魂。
五十年に一度のことだから、未経験者の神も多かった。それが原因で、精霊使い選びが大切だということが正しく伝わっていなかったんだ。
あろうことか千利を導く神は、世界に生まれる魂が並ぶ列に千利を並ばせて、その場を離れた。
生まれる魂が癇癪を起こして、ほかの魂を押しのけて別の世界に生まれることも多いというのにね。
愚かにも大丈夫だと思ったんだろう。
…………そしてまるで予定調和の様に、事態は最悪を進んでいった。
千利の隣に並んでいた別の世界の魂が、千利を押しのけてこの世界に生まれた。
………ここで、千利が精霊妃だと分かれば何も起きなかったのにね。
見ていた神はマニュアル通りに、千利を押しのけた魂の代わりに千利を。
……精霊妃を隣の列の世界に生まれさせた。
すぐに気付いたけれど、もう手遅れでね。千利は別の世界である地球に生まれてしまった。
精霊妃としての力は強大で、別の世界でも影響を及ぼすほどだ。
正しい世界に生まれれば、敬れる力。でも、精霊すらいない世界では『異端』として認識されるだけで。
……生まれてすぐに、千利の人生は苦しい人生になるのが決定された。
元の世界に生まれ直そうとしても、世界を渡るのは多大な負荷がかかる。
世界を渡って生まれ直したら、千利が負荷に耐えられずに死んでしまう。
神々と精霊王達で2年間話し合って決めたのは、負荷に耐えられる20歳になったら神の領域に呼び出して、事情を説明して世界を渡ってもらうこと。
それまでは僕も、地球にいる精霊も何があっても千利に手を出さない。
だから、千利が死にそうになっても手を出さない。…………………………………そう決めた。
精霊使いを自身の子供のように愛する精霊王達は反対したけれど、助けようとするだけで大きすぎる力ゆえに千利まで傷つけてしまう。
時間をかけて、しぶしぶ納得してもらってただ待った。
予想以上に、いや、精霊使いに対する行動と思えば予想通りに、精霊王達は何度も地球に行かせろと言っていた。千利が傷ついているから早く、千利が泣いているから早く、と。
何度も何度も精霊王達を説得して、説得自体に慣れてきたころ、千利は20歳を迎えたんだ。
僕たちは普段、神の領域と呼ばれる所で自分の役目を果たしているんだ。
死者の記憶を消し去るもの。死者を輪廻の輪に導くもの。生まれる前の子供を導くものなど、役割は色々ある。
その中で僕は管理者として、神々をまとめる役割を持っているんだ。
そう、僕意外と偉いんだよ。
僕がまとめる神々は、記憶が消し去られて魂になった存在を別の世界に導くことに関わる神でね。
そのなかでも今回千利が地球に生まれる騒動を起こしたのは、もっとも重要な役割をもつ神。
『精霊使い』となる、生まれる前の人間である魂を世界に導く神。
精霊使いはその大陸に一人生まれる、いなくてはならない存在。
精霊との関係が大切だから生まれる前の、魂の状態のときに精霊王たちが会って選ぶ決まりになっているんだ。魂は性格をうつす鏡のようなものなんだよ。
男ならば、『精霊使い』女ならば『精霊妃』と呼ばれ、大陸の守護者として君臨し精霊使いとしての役割を果たす。
精霊使いになることが決まった魂に、精霊王によって選ばれて精霊使いとしての力を授けられた。それが、生まれる前の千利の魂。
五十年に一度のことだから、未経験者の神も多かった。それが原因で、精霊使い選びが大切だということが正しく伝わっていなかったんだ。
あろうことか千利を導く神は、世界に生まれる魂が並ぶ列に千利を並ばせて、その場を離れた。
生まれる魂が癇癪を起こして、ほかの魂を押しのけて別の世界に生まれることも多いというのにね。
愚かにも大丈夫だと思ったんだろう。
…………そしてまるで予定調和の様に、事態は最悪を進んでいった。
千利の隣に並んでいた別の世界の魂が、千利を押しのけてこの世界に生まれた。
………ここで、千利が精霊妃だと分かれば何も起きなかったのにね。
見ていた神はマニュアル通りに、千利を押しのけた魂の代わりに千利を。
……精霊妃を隣の列の世界に生まれさせた。
すぐに気付いたけれど、もう手遅れでね。千利は別の世界である地球に生まれてしまった。
精霊妃としての力は強大で、別の世界でも影響を及ぼすほどだ。
正しい世界に生まれれば、敬れる力。でも、精霊すらいない世界では『異端』として認識されるだけで。
……生まれてすぐに、千利の人生は苦しい人生になるのが決定された。
元の世界に生まれ直そうとしても、世界を渡るのは多大な負荷がかかる。
世界を渡って生まれ直したら、千利が負荷に耐えられずに死んでしまう。
神々と精霊王達で2年間話し合って決めたのは、負荷に耐えられる20歳になったら神の領域に呼び出して、事情を説明して世界を渡ってもらうこと。
それまでは僕も、地球にいる精霊も何があっても千利に手を出さない。
だから、千利が死にそうになっても手を出さない。…………………………………そう決めた。
精霊使いを自身の子供のように愛する精霊王達は反対したけれど、助けようとするだけで大きすぎる力ゆえに千利まで傷つけてしまう。
時間をかけて、しぶしぶ納得してもらってただ待った。
予想以上に、いや、精霊使いに対する行動と思えば予想通りに、精霊王達は何度も地球に行かせろと言っていた。千利が傷ついているから早く、千利が泣いているから早く、と。
何度も何度も精霊王達を説得して、説得自体に慣れてきたころ、千利は20歳を迎えたんだ。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
【リクエスト作品】邪神のしもべ 異世界での守護神に邪神を選びました…だって俺には凄く気高く綺麗に見えたから!
石のやっさん
ファンタジー
主人公の黒木瞳(男)は小さい頃に事故に遭い精神障害をおこす。
その障害は『美醜逆転』ではなく『美恐逆転』という物。
一般人から見て恐怖するものや、悍ましいものが美しく見え、美しいものが醜く見えるという物だった。
幼い頃には通院をしていたが、結局それは治らず…今では周りに言わずに、1人で抱えて生活していた。
そんな辛い日々の中教室が光り輝き、クラス全員が異世界転移に巻き込まれた。
白い空間に声が流れる。
『我が名はティオス…別世界に置いて創造神と呼ばれる存在である。お前達は、異世界ブリエールの者の召喚呪文によって呼ばれた者である』
話を聞けば、異世界に召喚された俺達に神々が祝福をくれると言う。
幾つもの神を見ていくなか、黒木は、誰もが近寄りさえしない女神に目がいった。
金髪の美しくまるで誰も彼女の魅力には敵わない。
そう言い切れるほど美しい存在…
彼女こそが邪神エグソーダス。
災いと不幸をもたらす女神だった。
今回の作品は『邪神』『美醜逆転』その二つのリクエストから書き始めました。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
タイムリベンジ
マッシー
ファンタジー
唐突に目覚めた場所は天空の崖。13才の少女ミアは記憶を無くし自分の能力、ランクすらも分からず途方に暮れているときにある村に出会う
そしてかけ街のない村の仲間達と歩みロイから様々な知識を教わる。そうしてミアは成長していきいずれからは世界でトップクラスの実力者になる事だろう……
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる