18 / 205
異世界に行くまで
7.異世界兼故郷へ
しおりを挟む
……………………
「僕が言うのもなんだけど、大丈夫?」
「ダイジョウブですよ神様。ええ、大丈夫です。」
武器が……武器が手元に来ないなんて。自称女神許さん。
~~数分前~~
「ごめんなさい‼自称女神に邪魔されて武器のいくつかが先に異世界に落とされてしまいました。僕の力でも回収はできません。」
なん、だと…………。いや、まて。籠手。籠手さえさえあればどうにかなる。
「落とされた武器は?」
目を逸らしても無駄ですよ、神様。
「籠手と片手剣と斧です。すみませんでした。」
つまり、私の手元に来るのはレイピアと扇子と鞭と投げナイフ。
全てサブの武器だ。最低一週間はどう頑張っても手に入らないだろう。
私は常識すら知らぬ世界で、メイン武器無しで生き残らなければならないらしい。
あの野郎……今度会ったら問答無用で攻撃してやる。
自称女神の罪を晒したところで戻る。
「こっちを生かす気ゼロですね、自称女神。やっぱり殺すべきでした。」
あはは……と、庇いもしない神様。
「武器は隠しておくといい、どこかの城の中に飛ばすからね。しっかし、全然分からないね。君本当に女性かい?」
「女ですよ。」
今の私は男装している。異世界には兄妹設定で行くことにした。
ちなみにニアにはボディを作ったので人にしか見えないようになっている。切られれば血だって出るよ。
『兄』として妹のニアはしっかり守るさ。
「マスター、準備が終了いたしました。」
「了解、こっちもすぐ終わる。これから俺のことは兄上と呼べ。名前、マスター呼びは無しだ。敬語もいらん。」
「分かった、兄上。」
これから行くのはペカニブルとか言う北のほうの大国。
この世界自体異世界人はよく来るらしく、対異世界人用の扱い方マニュアルもあるらしい。
ただ、神様いわく、北の国の異世界人対応はあまりよくなく、南に移動したほうがいいとのこと。
「良くて人扱い、通常道具扱いって。まったく、どうなってんだか。」
「今回も元々少しおかしいんだよ。転移先が城の中ってことは、禁忌とされている異世界人の召喚した可能性が高い。」
禁忌……か。アホか傀儡だろうな、その馬鹿は。
ニアに手を出したら社会的にも抹殺してやろう。死神をなめたら待つのは地獄だ。
「兄上、悪い顔をしています。」
「問題ないよ、ニア。それと、女性は体を求められる場合がある。強制されそうになったら遠慮なく顔面に拳を叩き込んであげなさい。くっきりと跡が残る位にね。」
「女性は兄上でしょう?」
「この見た目で体を求める人はきっと男色だから、千利は大丈夫だよ。」
「神様の言うとおり、マスターは男性にしか見えませんので安心なさい、ニア。貴女のほうが危険です、気を付けなさい。」
一心、神様少し傷つきますよ私だって。それよりも、と神様。
「禁忌の魔術を使った責任を押し付けられる前に、痕跡消して、証拠を持ってペカニブルを出た方がいい。面倒ごとを押し付けられるよ。」
「分かりました。さっさと証拠と情報集めて逃げます。」
「逃げる国選びに困ったら、南のライミリ、もしくはマルクトリアに行くといい。ライミリの王太子とマルクトリアの国王は根が優しく、有能な人材を見分けるいい目を持っているからね。」
その分厳しいけどね、二人とも。と言った神様。
私の情報収集能力と戦闘能力を評価してもらえれば、飼い殺しはなくなるかな。
なんにせよ、どんなにいい人間だとしても、ニアを道具としか見れない奴とは関わらない。
しっかりと見極めないと。
「大丈夫だよ、千利。そんなにひどい人間ばかりじゃないからね。優秀な異世界人ほどいい待遇になる。きっと平気さ。さぁ、もう時間だ。」
私たちの準備も終わる。神様が用意してくれた転移陣に乗る。
この先は異世界だ。日本も心配だが、日本には上官もいるし何とかなるだろう。
「お別れだ、千利、ニア。3日間とても楽しかったよ。異世界でも君らしく生きるんだよ。異世界に君が持ち込む日本の技術は、僕が消去する。だから他の神に見つからないように、なるべく広めずに利用してね。」
神様からの優しい心遣い。感謝しかない。
「マスター、ニアには私の記憶と技術と知識の全てを詰め込みました。自分の意思で決定もできます。私が完成させた最高傑作に不可能はありません。手足のように使い、寿命以外で死ぬことのないように。」
一心の不器用な心遣い。裏を返せば、死ぬなということだろう。
「了解です。神様、お世話になりました。一心、上官と部下をよろしく。」
「一心兄上、神様、行ってきます。」
シュン、と音がして、視界を埋め尽くす眩しい光に目を瞑る。
「これで…………わ………でしょう…、マ………。」
一心が何かを言っているが、もう、きこえ…ない。
「僕が言うのもなんだけど、大丈夫?」
「ダイジョウブですよ神様。ええ、大丈夫です。」
武器が……武器が手元に来ないなんて。自称女神許さん。
~~数分前~~
「ごめんなさい‼自称女神に邪魔されて武器のいくつかが先に異世界に落とされてしまいました。僕の力でも回収はできません。」
なん、だと…………。いや、まて。籠手。籠手さえさえあればどうにかなる。
「落とされた武器は?」
目を逸らしても無駄ですよ、神様。
「籠手と片手剣と斧です。すみませんでした。」
つまり、私の手元に来るのはレイピアと扇子と鞭と投げナイフ。
全てサブの武器だ。最低一週間はどう頑張っても手に入らないだろう。
私は常識すら知らぬ世界で、メイン武器無しで生き残らなければならないらしい。
あの野郎……今度会ったら問答無用で攻撃してやる。
自称女神の罪を晒したところで戻る。
「こっちを生かす気ゼロですね、自称女神。やっぱり殺すべきでした。」
あはは……と、庇いもしない神様。
「武器は隠しておくといい、どこかの城の中に飛ばすからね。しっかし、全然分からないね。君本当に女性かい?」
「女ですよ。」
今の私は男装している。異世界には兄妹設定で行くことにした。
ちなみにニアにはボディを作ったので人にしか見えないようになっている。切られれば血だって出るよ。
『兄』として妹のニアはしっかり守るさ。
「マスター、準備が終了いたしました。」
「了解、こっちもすぐ終わる。これから俺のことは兄上と呼べ。名前、マスター呼びは無しだ。敬語もいらん。」
「分かった、兄上。」
これから行くのはペカニブルとか言う北のほうの大国。
この世界自体異世界人はよく来るらしく、対異世界人用の扱い方マニュアルもあるらしい。
ただ、神様いわく、北の国の異世界人対応はあまりよくなく、南に移動したほうがいいとのこと。
「良くて人扱い、通常道具扱いって。まったく、どうなってんだか。」
「今回も元々少しおかしいんだよ。転移先が城の中ってことは、禁忌とされている異世界人の召喚した可能性が高い。」
禁忌……か。アホか傀儡だろうな、その馬鹿は。
ニアに手を出したら社会的にも抹殺してやろう。死神をなめたら待つのは地獄だ。
「兄上、悪い顔をしています。」
「問題ないよ、ニア。それと、女性は体を求められる場合がある。強制されそうになったら遠慮なく顔面に拳を叩き込んであげなさい。くっきりと跡が残る位にね。」
「女性は兄上でしょう?」
「この見た目で体を求める人はきっと男色だから、千利は大丈夫だよ。」
「神様の言うとおり、マスターは男性にしか見えませんので安心なさい、ニア。貴女のほうが危険です、気を付けなさい。」
一心、神様少し傷つきますよ私だって。それよりも、と神様。
「禁忌の魔術を使った責任を押し付けられる前に、痕跡消して、証拠を持ってペカニブルを出た方がいい。面倒ごとを押し付けられるよ。」
「分かりました。さっさと証拠と情報集めて逃げます。」
「逃げる国選びに困ったら、南のライミリ、もしくはマルクトリアに行くといい。ライミリの王太子とマルクトリアの国王は根が優しく、有能な人材を見分けるいい目を持っているからね。」
その分厳しいけどね、二人とも。と言った神様。
私の情報収集能力と戦闘能力を評価してもらえれば、飼い殺しはなくなるかな。
なんにせよ、どんなにいい人間だとしても、ニアを道具としか見れない奴とは関わらない。
しっかりと見極めないと。
「大丈夫だよ、千利。そんなにひどい人間ばかりじゃないからね。優秀な異世界人ほどいい待遇になる。きっと平気さ。さぁ、もう時間だ。」
私たちの準備も終わる。神様が用意してくれた転移陣に乗る。
この先は異世界だ。日本も心配だが、日本には上官もいるし何とかなるだろう。
「お別れだ、千利、ニア。3日間とても楽しかったよ。異世界でも君らしく生きるんだよ。異世界に君が持ち込む日本の技術は、僕が消去する。だから他の神に見つからないように、なるべく広めずに利用してね。」
神様からの優しい心遣い。感謝しかない。
「マスター、ニアには私の記憶と技術と知識の全てを詰め込みました。自分の意思で決定もできます。私が完成させた最高傑作に不可能はありません。手足のように使い、寿命以外で死ぬことのないように。」
一心の不器用な心遣い。裏を返せば、死ぬなということだろう。
「了解です。神様、お世話になりました。一心、上官と部下をよろしく。」
「一心兄上、神様、行ってきます。」
シュン、と音がして、視界を埋め尽くす眩しい光に目を瞑る。
「これで…………わ………でしょう…、マ………。」
一心が何かを言っているが、もう、きこえ…ない。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
スコップ1つで異世界征服
葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。
その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。
怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい......
※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。
※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。
※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。
※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる