異世界情報収集生活

スカーレット

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異世界に行くまで

5.一心

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家の部屋に置いてある一心の全機械がドスッと来る。
ブゥンと音がして、モニターに黒髪の男の顔が映る。
そして久しぶりに会った愛しい息子の一心は主に

「マスター?一体ここはどこなんですか?というか貴方、無事生きていたんですね。連絡ぐらい入れたらどうです?」

毒舌をくらわす。
おおぅ。相変わらずのようで。私こんな性格で作ってないはずなんだけどな。

何がどうしてこうなったんだろう。謎だ。

「マスターの考えていることが手に取るように分かりますね。大方、こんな毒舌に作った覚えはないと思っているんじゃありませんか。」

ギクッ 顔に書いてありますよと、言われた。

「確かに、私の性格と口調を決めたのは私です。ですが、それらを好きにさせたのは貴女でしょう。」

「……確かにそうだけれども。」

「やあ、君が一心かい?君の主である千利は、異世界に行くことになったんだ。だから千里と一緒に付いて行く人工知能を、ここで作ってほしいんだよ。」

神様ナイス!話題逸らし。本題に行かないところだった。お、固まった。

「…………マスター、追加の説明を求めます。」

「その人、神様なんだけどね。その人が創った世界に、もともとは生まれる予定だったんだってよ。私。」

「なぜ20年近くたった今更、マスターが呼び出されているんです?」

「私が生まれなかった影響で異世界の化物とか、来る予定のなかった異世界人が来ているらしくてね。神様の世界の人間では対処できないらしい。」

とたん、一心から出るはずのない黒いオーラが出る。

「神様。我がマスターは異世界人の尻拭いに異世界に行くというわけですか?」

ふ ざ け る な。と、目で言っている。
ま、まぁ分かるけども。

「一心落ちつけ、神様のせいじゃないからね。自称女神が勝手に呼び出したんだよ。」

「へぇ……なるほど…………。神様、その自称女神をここに連れて来てもらえますか。神様なんだからできますよね?」

オーラがより黒くなっていく。怖い、怖いよ一心!。

「しなくていいです、神様。一心、人工知能造るよ。ほらほらやるよ。」

強制連行ならぬ強制操作権強奪。一心の基礎プログラムをコピーする。

「マスター操作を停止してください、自称女神に文句を言わないとやってられません。」

「わかるけれども、時間が無いんだ。阿呆に文句を言っている時間も惜しい。」

「しかし!、主をとぼされたも同然です。黙っていられません。許可を、マスター。」

私をとぼしたことへの怒り、憎悪が、一心を動かしている。
こんな時なのに、顔がニヤけてしまう。

「…マスター?とうとう完全に狂いましたか?」

「狂ってないよ、嬉しくてね。人工知能らしくないじゃないか、感情的な行動なんてさ。」

一心も言われて気がついたらしい。私も感傷的になってしまう。

「改めて一心、人工知能作りを手伝ってくれ。自称女神にさく時間は無い。異世界に行った後の私の生死を分ける大事な人工知能だ。私と一心で最高傑作に造らないとね。一心のように感情豊かな人工知能にしよう。」

はぁ。と溜息を吐き、いつもの真面目で自信満々な黒い一心に戻る。

「もちろんですよ、マスター。最高傑作以外に何ができるんです?」

一心の基礎プログラムのコピーが終わる。
さて、やりますか。
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