異世界情報収集生活

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異世界に行くまで

3.神様(本物)

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先ほどの空間とよく似たこの場所には、殺気交じりの怒気が支配していた。
あたりを見渡すと、先ほどの自称女神(あんな勝手な奴を神とは認めない)が白髪の少年?に土下座していた。
心なしか、震えているようだ。

「強敵は…いないのか……」

「ああ!無事に来れたんだね。よかった、安心したよ。って、どうかしたかい?」

「いえ、何でもありません。それより貴方はどなたでしょうか。」

「私かい?私は、君が生まれる予定だった世界の、神だよ。今回はこの女神のせいで苦労をかけて、すまないね。」

また神か。強敵がいないのは残念だが、仕方がない。
元の世界に帰れるように交渉してみよう。

「き、強敵を期待していたのかい!?ここは神の領域だから悪神位しかいないんだけどな。」

神様の金色の目がまん丸になる。子供のようだ。それよりも、

「声に出していないはずなのですが。」

「一応、神だからね。考えていることはわかるよ。あと、元の世界には帰せないんだ。この女神が無理に空けてくれた空間は歪なせいで一方通行なんだ。」

ねぇ?と、冷気を出しながら自称叡智の女神の頭を踏む神。

「わた、私はただ、貴方様が、異世界からの異物で困ってると聞いて。それで!生まれる予定だった者を、元の世界に戻るかわりに、駆除させればいいと思いまして!だから!」

「本人の意思も聞かないで、首輪をつけて、別の世界に落としたと?」

呆れた言い訳だ。第一、あの高さから落とされたら着地で死ぬぞ。

「知識しかないのに無理に世界と世界をつなぐ空間を空けるからこうなるんだよ。彼女の言うとおり、君は『自称』女神で十分だよ。」

くすくすとわらう神様。チョットコワイデス。
………どうやら、なかなかにいい性格をしていらっしゃるようで。
目が笑ってませんよ神様。おかげで緊張は解けたが。

「まずは、繰り返しになってしまうかもしれないけど、今回の説明をさせてもらうよ。」

「分かりました、今度はしっかり聞きますよ。」

「とりあえず、長くなるからこっちで座りな。立ってたら疲れちゃうよ。それに、もっと普通に話していいよ。君が元の世界にいた様子を見ていたからね。」

神様が手を軽く振ると自称女神が消えて、机と一人用ソファーが二つ出る。
おお、神様っぽい。ソファーもフカフカだ。
それにしても見られてたのか。なら、普通に話していいかな。

「神様っぽいって…神様だからね。ああ、首輪は外したから安心して。」

あれ、ホントだ。いつのまにやら首輪が無い。
こうして二人、ソファーに座って話し合い(確認)が始まる。
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