ヒロインは放棄します!〜私はお茶を極める!〜

たまち。

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私の言葉に緩み始めていた眉が再び寄る

「君が路上にいる孤児達のまとめ役をしてるんでしょ?」
「哀れんでるのか?それとも俺らが無様に生きてるの見てて面白いか?」

同情か蔑みの2択
どちらでもない、と答えた所で今の彼には届かないんだろう

強い怒りの感情を向けられた事に懐かしく思う
生前……いや、前世か
元彼が浮気癖のある奴で、浮気相手に刺されかけた事がある

それも1度や2度じゃない
警察の人に「またですか……」と呆れられる程に被害者としてお世話になった

今思えばあの頃に死ななかったのは奇跡だと思う

まぁ、そんな経験があった所で今向けられてるような殺意に慣れる事は無いんだけどね

「気に触ったのなら謝る、ごめん」

ある意味ストーカーだもんね
知らないところで観察されてたと聞いて気分を害さない人なんていないか

「私は私の目的の為に君達を利用したい、でも君が嫌ならもう関わらないよ」

そう言って私は彼を背にして立ち去った

本当は食事の為に私を呼び止めるんじゃないかと爪の先程度に期待してしまったのでガックリしたけど……

仕方ない!
彼等を利用出来ないのならば他を考えよう!

えーっと……
ノートや黒板代わりに使いたいと考えていた石と木はダメだったでしょ

今は計算だけを教えてるけど、字を覚えておくのは将来的にも必要だと思う
だけど、前世でも確率問題とか使ってなかった計算式が忘れやすかったのと同じで、日々使わないと忘れると思うんだよね

この世界は本は高級品だし……
日々使う物事と関連付けて教えるとしたら?

孤児院の子供達の主な仕事と言えば家事や育児の手伝い
合間合間に問題を提示するのはどう?

「ぁ!おいブス!」

例えばミルクやり当番に当たる確率とか、客人が来た時の食事配膳の人数とか
男女の人数を分けて全員で何人いるか、みたいなゲームとかなら

「おいお前!」

計算に関して応用は可能そうだけど、文字が問題なんだよなぁ……
そもそも私もこの世界の文字が何文字なのかすら分かってないんだよね

「聞いてんのか!?」

日本語のひらがなの数は50音とは言っても46字、だけど常用漢字だけで2,136字
文章にすると文字数的に多いように見える英語は26字

「おい!!!」
「……グー?」

あれ?
どうしたの?
なんか凄く怒ってない???

「お前……無視してんじゃねぇよ!!」
「無視してた……?ぇ、ごめん!考えに集中してて気づかなかった」

いやぁ、なんか煩いなぁ
とは思ってたけど、町中で私に声掛ける人なんて思い当たらなかったからさ

「ど、何処行ってたんだよ……!」

皆様、彼は怒鳴らなければ喋れない馬鹿ではないんです
ただ、引っ込みがつかなくなると声を荒らげる癖があるんです

「ちょっと広場にね、グーは何処に行ってたの?」
「お、俺は……ちょっとな……」

ぁあ、なるほど
確かグーは私より2歳上の12歳
15歳で孤児院を出なければならない身と言うことは将来の就職先を今の内に見つけなければならない

孤児院を出て暫くは冒険者として生きる道もあるけど、冒険者はまず何処かのパーティに入れてもらって見習いのようなものから始めるらしい

グーの格好を見るに、冒険者達に見習い希望を出して扱かれてきたのだろう
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