幼女エルフの自由旅

信用と経験

105

しかし、買主は金さえ払えば契約を延長する事もできるらしいが継続するにしても返却するにしても一度は奴隷商に出向き、手続きを行う必要があり、その場で返却する場合は奴隷の一部の記憶が消される
理由は昔、解放された元奴隷が買主だった者を殺害する事件が有ったから、らしい
だから一部とは言っても買主の名前と顔だけ、らしいので奴隷に以前の買主がどのような人物だったかを聞き出してその人物の特定さえ出来ていれば記憶の消去など意味を成さない気がする
もちろん、契約期間中に奴隷に何かしらの損失を負わせた場合はそれ相応の罰がある
処女奴隷が純潔を失った、戦闘奴隷の武器を紛失した等はあってはならない事である
奴隷とは奴隷商に借りている人材であり、返却する際に何かしらの欠品が有ったならば罰、及び罪が発生すると言われれば納得せざるを得ないだろう
もっとも、この情報は色屋で聞いたものと町を行き交う人々の話を統合して得た情報だ
一時的に助けを求めるのは冒険者、継続的に求めるならば奴隷だと、この世界の住人にはそれが常識認識であるようだ
ならば私という長寿種の幼子の付き添いはやはり奴隷が適任であるという常識になる訳だ
　
「奴隷商がこの町にありゃあ良いんだけどねぇ、アタシが隣町まで目利きをしに行く訳にはいかないじゃないか」
　
ん？
　
「何でアマリさんが見る必要があるの？」
「何でってアンタ……信用できるか分からないだろう？」

信用？
徳位のことだろうか
　
「私分かるよ？じゃなかったらライヤさん達を助けて無いし」
「私達？」
「え？だってライヤさん達とあの時の盗賊達の戦いってどっちが勝ってもおかしくない状態だったでしょ？」