幼女エルフの自由旅

信用と経験

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「一般人とは可笑しな事を言うもんだねぇ、アタシの事はこの町に住む男どもなら嫌でも知ってるもんだと思っていたよ」
　
自惚れが過ぎたみたいだねぇ、と笑うアマリさんに冷え切ったと思っていた室内の体感温度が更に下がる
「せめて闇月様が出た後にしろよ……」「婆さんに目をつけられるとか……この町ではアイツ死んだな」「闇月様とアマリ婆さんを同時に敵に回すなんて……」
ちらほらと同情とも取れる呟きが聞こえてくる
中には関わるまいと静かにギルドを出た者もいるくらいだ
　
「お姉さんって強いの？魔法使い？」
　
まぁ、そんな狐に助け船を出してやらん事もない
恐らく心配して声をかけたつもりなのだろうし、アマリさんに至っては黒豹に便乗して揶揄っているに過ぎない様子
黒豹の地雷を踏んでしまったのは自業自得だけれどこれに懲りたら無闇に他人に絡まない事をお勧めしよう
　
「ん？いや、私はメイスを使っている、ッぁ……取りに戻るが、そこのお前は次から他人を見た目で判断するべきでは無い事を肝に命じておけ！」
「っはひ！」
　
……どうやら武器を置いてきてしまったらしい黒豹のお姉さんは狐を睨み付けると少し焦ったように去っていった
武器って冒険者にとっては命の次に大切な物じゃないの？
間違っても置き忘れるなんて事は……ある、のか？
黒豹が去った後に一目散に逃げ出して行った狐を見ながらアマリさんが度胸が無いねぇと呟いたのは聞かなかった事にしよう
だってアマリさん絶対にからかってただけでしょう？