幼女エルフの自由旅

命名、そして真実

88

「じゃあ聞くけど、私のいる付近に隠れ家的な場所はある？」
『隠れ家、ですか？』
　
そう、隠れ家
誰にも見つからない家
あの巫女や集落の連中が探し当てる事のできない場所
流石に一生怯えて逃げ回るのは勘弁したいので認識障害的な何かを発していて知られてしまっても容易に侵入を成せない様な場所
　
『それは……』
　
困った様な表情のウ神に、やはり神の制約に引っかかる問題なのだと察する
　
『制約と言うよりは、私だけの判断ではその場所への案内までは出来ないのです』
　
そうだよねぇ、この世界の神はウ神だけでは無い
現在は12柱の神がいてこの世界を切り盛りしているのだったか
流石に全員の神と仲良くなる自信は私にもない
そもそも会えるかどうかも分からないし
　
『……しかし、ヴィエンには精霊魔法の適正がありましたよね？』
　
ん？
あるっちゃあるけど、精霊なんて見えないよ？
　
『では見る努力をなさっては？上位の精霊であれば迷宮ダンジョンを作り出せるのですから』
　
……は？
　
『精霊の作る迷宮ダンジョンは精霊達の住処です、ヴィエンを慕う精霊と契りを交わせば共に住まう事も可能でしょう』
　
え、ちょっと待って
精霊って迷宮ダンジョン作れるの？
　
『上位の者に限りますが作れますよ』
　
迷宮ダンジョンって魔物が出る所でしょ？
そこに住むって安全では無いよね
　
『精霊の作る迷宮は人々の呼ぶ迷宮とは違います、所謂精霊の庭のようなもの……上位の精霊ともなれば住処を作るのは容易ですよ』
　
あ、そう……
でも見る努力って？