幼女エルフの自由旅

獣人国オルサの町

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彼等は1月ほど前に訓練兵の合宿中、森の奥深くで、豚猪王オークキングと鉢合わせてしまったらしい
まだ未熟な兵士に豚猪オーク1匹を斃す力があるはずもなく、豚猪王オークキングの率いる豚猪オークの群れに押されていた
そんな時に壮年のエルフ族が弓を引いて助けてくれたのだと言う
しかし、知能の高い豚猪王オークキングは隠れていたエルフを発見して彼の飛び移ろうとしていた木をへし折った
その際にエルフは足を挫いてしまったのだが、矢を武器にして豚猪王オークキングの魔石を砕いた
しかし豚猪王オークキングの最期の悪あがきによってエルフは深い傷を負ってしまった
訓練中の不測の事態に備えて治療士はいたけれども、傷が深すぎたらしい
エルフは多くの訓練兵士を助けて亡くなった
治療士達の延命は数分の会話を可能にしただけだと言う

「サイェン殿が申すには、姪に会ったら目を掛けて欲しいと……」

涙を堪えているのだろうか、声を振るわせて語り終えた白熊
きっと彼もその場にいたのだろう
そうか、叔父は亡くなったのか……

「コレは姪に渡してほしいと……サイェン殿の遺品だ」

そっと差しだされたのは叔父の付けていた腕輪だった
その腕輪にはめてある小さな魔石には確か魔法陣が掘られていたのを思い出す
人目につかない場所で確認するのが一番良いだろう

「それから、夢は覚めぬと……言えば分かると言われた」

夢は覚めぬ……つまり、集落に帰っては駄目だ
まだ巫女代理の彼女は集落にいる
誰にもバレずにその正体を隠しているのだろう