幼女エルフの自由旅

たまち。

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始まりの森

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子供の足とはいえ、あの日は1日もほぼ夜通しで歩き続けたのだから随分遠くまで来ただろう
前世を思い出してから1ヶ月ほど経つので一人というものにも慣れた
最近までは周囲を警戒しながら先を急いで進んできたけれど追っ手が来ている様子も無い
最も、魔物の脅威の方が今の私には身近なので物音がすればじっと静かにやり過ごす日々だ
木の上に糸を張る森蜘蛛フォレストスパイダーは昼は動かない物なので木渡りの練習も始めた

いつの間にか眠りにつき、目が覚めた時には空が明るくなり始めていた

「んー……!」

大きく伸びをして木を降りる
そろそろ人里に辿り着きたい頃合だが、いかんせん人の通る道すらも見つけていない
道に迷わないように、一番高い木に登って太陽が沈む方向に向かいながら人里を探して進んではいるものの……
実は前世から若干極度の方向音痴である私にとって一番の課題であるかも知れない
そもそも向かうべき方向も分かっていないので方向も何も無いのだけれど
この世界の地理も分からないのであるのだから未だに森の中にいることは不思議ではないだろう

「そろそろ拠点を探すべきかなぁ」

しかし、昨日はとうとう青鉱熊ブルーベアを見たのだ
青鉱熊ブルーベアは木に体を擦りつけて縄張りを示していた
つまりこの辺り一帯は本格的に寒くなるのが確定してしまった
頭上を鳥が飛ぶ度に警戒して確認してはいるが、今のところ空気鳥エアークックは見ていない
即ちでは冬の山火事の危険は無いのだろう
ただ、警戒するのが自分しかいないと言う事は問題である
毛皮を被って寝るのもあと10日が限界だろうか
本格的な寒さを迎える前に人里を見つけたいのだけれど……
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