幼女エルフの自由旅

信用と経験

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「白の月が1回来るまでは持つのかぃ！そりゃぁ……使い切っちまうだろうねぇ」
　
白の月とはこの世界の正月である
1年が300日とされているこの世界で1年近く持つ軟膏は十分かも知れないが、せめて3年はもって欲しいな
物流に時間のかかるこの世界、購入してもらうまでの期間も加算すれば10年ほど欲しいと思うのは贅沢だろうか
……今度は純度を上げて作ってみようかな
薬草を洗って、テカリの果汁と合わせた後はそれを濾過して花蟻の分泌液に加えるとか？
動物の角ではなくて密閉容器に保存するって選択もあるのかな
角を熱湯消毒してコルクっぽい何かで蓋をするか……
満月や新月の日ってのも神聖な感じがする
　
「で、この子は職人ギルドに入れるのかぃ？」
　
いつのまにか私の記入したレシピを手にして穴が開きそうなほど見つめていたギルドマスターに痺れを切らしたらしいアマリさんが尋ねる
　
「ぁ、あぁ…恐らく加入可能だろうが、正式に調べて見ねぇと正確な事は分からん」
「正式にってアンタ、さっき調べてたのはなんだったんだぃ」
「それを調べる為の鑑定だよ……夕の鐘が鳴る頃には終わるだろうから適当に時間潰してきてくれよ」
　
アマリさんの威圧感が凄いのだろう
困り顔で提案するギルドマスターの言葉に私たちは席を立つ