幼女エルフの自由旅

始まりの森

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結果、私は集落を出た
夜逃げの如く、誰にも見つからないように気を遣って……

しかし、叔父が私を見つけ出した
私の置き手紙を読んだのだと言って

手紙と言っても、黒色の枝と巫女の象徴である虹を模した七つの花、首輪を模した木の輪を縄で束ねたものを叔父の部屋に置いてきただけだ

子供のいたずらと片付けられるようなものだけど、束ねるのに使ったのは手作りロープである
束ね方にメッセージが込められているのだ
狩りから戻らない仲間に移動を知らせる時や、見張りが済んでいる場所を示す編み方
そんな編み方をしたロープを木などにくくりつけてメッセージを残すのがエルフの手紙だ
まだ前世の記憶を戻していない今世の私が一生懸命考えたのは

『危険を知ったので逃げる』
という意味ではあったけれど、正確な意味で編めていたのかは分からない
元々叔父は私を気に掛けてはくれていたが追いかけて来てくれるとは思わなかった
そして3年間、叔父と共に隠れて過ごした当時26歳だった私もとうとう29歳になった

エルフ族は30歳の誕生日に名を授かる文化らしく、今の私には名前がない

叔父が名前を付けてくれると言っていた
そんな叔父は集落の様子を見に行くと言ったきり10日間会っていない
7日で帰らなければこの場所を捨てて逃げろと言われた

私は現在前世で死んだ時と同じ年齢の29歳であるが、エルフ族の年齢を人間の年齢で考えると私は5歳ほどである
そんな幼子に一人で逃げろなどと無茶なことを言うものだと今なら思う