はじけろ!コーラ星人 ~残念宇宙人が地球にやってきた~

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第30話 作戦会議

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 先程、ハカセ達から重要な情報がもたらされた。
 未知の敵と戦うリスクを心配していたが、どうやら必要な情報は埋まりつつある。
 私は会議室に緊急招集し、作戦会議を急遽行うこととした。

「ということで、皆に集まってもらった訳だが、ハカセが亡くなった捕虜から情報を読み取ったことで作戦に必要な情報が揃いつつある。タイムリミットも残り少ないところなので今から作戦会議を行う」

 全員、黙って私の話を聞いている。

「まずは作戦の目標を定める。第一目標は敵戦艦の破壊。第二目標は敵勢力の全滅。第三目標は捕虜奪還の優先順位とする」

「捕虜奪還は最優先ではないのですか?」

「カトーの気持ちは理解できる。もちろん奪還には全力を尽くすが、それを成功したとして他の目標が達成できなければ、結局地球は奴らの手に落ちてしまうだろう。捕虜の方々は軍人だと聞いている。きっと彼らもそのような結果は望まないだろうと思う。カトーも軍人なら気持ちは分かるだろう」

「そうですね、そのとおりです。第一目標が敵戦艦の破壊となっている理由を教えてください」

「敵勢力の全滅は当然必要だが、それを達成したとしても地球からはその事実を知ることができない。その結果パニックとなり、戦争を誘発するなどの事態が起きるかもしれないからだ。敵戦艦は現在、地球から見えているのだから爆発して消え去れば脅威が去ったことを理解することができるのだ」

「承知しました。その目標が達成できるよう死力を尽くします」

 さすが、カトー。既に戦う覚悟ができているようだ。

「問題はどうやってそれを行うかだな……船同士で撃ち合うとしてもこちらは軍艦ではないし、捕虜も助からない。やはり内部に入り込むしかないようだな」

「それについては私に案があります」

「サクラの案を聞こうか」

「私が地球側の降伏の使者を装って潜入します。まずは捕虜の安否確認をさせてほしいとお願いをすることで捕虜の元に行って、そこに転送用ビーコンを仕掛けます。その後、私は使者としてゴディの元まで向かいます。私がゴディと謁見するまでの間にカトーが転送ビーコンを使って潜入し、捕虜を救出した後、船に転送帰還して第三目標は達成。その知らせを聞いたら私は敵の船の中で大暴れをします。このときにゴディを討ち取って第二目標も達成。最後にエディが船に爆弾を仕掛けて派手に爆発させて第一目標も達成ということでどうでしょう」

「ふざけるな!危険すぎるだろ、自分一人で全部やろうとするなよ!」

 カトーが大声でサクラに怒鳴りつける。
 だが、サクラは黙ってそれを聞いていた。

「なら、他にいい方法があるのかしら?あなたみたいなゴツい大男が使者だとして、ゴディが油断してくれるとは思えないんだけど」

「そうかもしれないが……それでもサクラだけを戦わせる訳にはいかないんだ。50人の兵士とゴディを1人で相手にするなんて無謀すぎる」

「カトー、あなたゴディが怖いのかしら……」

「ああ、恐ろしいね。あのゴディという男は伝説級の軍人だったんだ。軍人経験者で知らない人はいないさ……」

「戦いの前に負けることを考えるやつは死ぬわよ。ボス、やはりゴディは私がやります」

「いや、ダメだ。ならばこうしよう。救出は俺も手伝うが、船への帰還はイチローがやってくれ。俺はそのまま残ってサクラを追いかけて合流する。その方が戦力を分散できるだろう」

「サクラ、気持ちは分かったが、今回はカトーの修正案を採用する。船への帰還はイチローがやってくれ。ナカマツとハカセは万が一の治療を行うために待機とし、捕虜の方々への健康チェックも行ってくれ」

「分かりました。ボスの判断に従います」

 サクラも分かってくれたようだ。
 全員参加の大作戦だ。絶対に失敗は許されない。

「作戦は明日12:00開始とする。地球人が何か行動を起こす前に片付ける必要があるためだ。今夜はゆっくり寝て英気を養ってもらいたい。今回の作戦の指揮は私、ボスが行うこととし、よって作戦の責任は私が負うものとする」

「承知!」
「承知!」
「承知!」
「承知!」
「承知!」
「承知!」

「では、これにて解散!」

 ――

 その夜……明日の作戦が気になってなかなか寝付けないでいた。
 すると、ドアをノックする音が聞こえたのでベッドを降りてドアを開けた。

 そこには泣きそうな顔をしたハカセが立っていた。

「イチロー、少しだけいいかな……」

「いいよ、俺もなんか眠れなくてさ……」

 俺はハカセを部屋に迎えると、いつものように温かいココアを用意した。

「そういえば、婚約した日もこんな感じだったわよね」

「そうだったな。あの日は本当に驚いたよ……。今日は逆に婚約破棄とか……はやめてね」

「そんなことしないわよ……私をなんだと思ってるのよ」

「一番大切な人だよ」

「私もイチローが一番大事。だから……お願い……絶対に死なないでね……私を置いていったら……絶対に許さないんだから」

 そう言いながら、ハカセは大粒の涙をポロポロと流し始めた。

「そういえば戦場は初めてだな……まあ、比較的安全な任務ではあるので、無理はしないように頑張るよ」

「そうじゃないよ。絶対に帰ってくるって約束して!」

「ああ、約束する。絶対にハカセの元に戻る」

 そう言って、俺はハカセの頬にキスをした。
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