はじけろ!コーラ星人 ~残念宇宙人が地球にやってきた~

文字の大きさ
上 下
6 / 40

第6話 それって某シチューですよね

しおりを挟む
 翌日、俺イチローとカトー氏、サクラ氏はハカセの研究室に呼び出された。
 なんでも、コーラ再現のヒントを得ることに成功したらしいのだ。

 研究室に入ったところ、目隠し拘束された地球人の姿が目に入った。
 え?これはどういうことなの?
 コーラと何の関係があるの?

「ハカセ、その人は一体……?」

 サクラ氏が恐る恐る尋ねた。
 こういう聞きにくい事を空気を読まずに言えるサクラ氏を少し尊敬する。

「この人はコーラ工場の責任者で、秘伝とされるレシピを知っている人なの。これから、この人にレシピを聞いて完全再現しようと言う訳よ」

 得意げに話すハカセ。
 いや、それ科学力とか関係ないじゃん……。完全に拉致じゃん……。
 と思ったが、ハカセの目が怖かったので心に留めておいた。

「さあ、コーラのレシピについて知っていることを洗いざらい全て話して!」

 コーラ工場の責任者に激しく詰め寄るハカセ。
 だが、コーラ工場の責任者は話す雰囲気ではないようだ。

「おい、お前のせいでまたハカセが暴走しちゃってるじゃねえか……どうすんだよ?」

 そう言ってサクラ氏が小声で俺を責めるのだが、これって本当に俺のせいなの?

「黙ってないでなんとかしろよ……ほら、お前が分析する女だとか言うから……ムキになってるんだよ」

 あ、確かに言いましたね。
 やはり俺のせいということになってしまうらしい……。
 理不尽だなと思いつつも……やはりそのままにしておく訳にもいかないだろう。

「ハカセ、ちょっとやりすぎじゃないか?少し冷静になろうよ……もしかしたら、この人レシピ知らないかもしれないじゃん?」

 そう言ってハカセをなだめてみる……。
 ところが……。

「レシピの事は……死んでも話すものか!」
 
 コーラ工場の責任者は唐突にそう叫んだ。
 せっかくフォローしたのに……レシピを知ってるって自分で言っちゃったよ……。

 あ、ほら……ハカセの顔が引き攣ってるよ……。
 また何かやらかさなければいいんだが……。
 
「そんなこともあろうかと……」

 そう言いながら、ハカセは注射器を何本か持ってきた。
 もう嫌な予感しかしない……。

「やはり、このくらいでは口を割らないようね……流石といったところかしら……。ならばここからは私の科学力で勝負よ!」

 そう言って注射器を取り上げる。

「地球で使用されている自白剤の300倍の効果がある薬。その名も【ハキタクナール】!」

 だ、ダセえ……。
 いや、その前に300倍って……。
 サクラ氏とカトー氏もあまりにダサいネーミングに唖然としている。

 だが、そんなことは気にせず、何の躊躇もなく、【ハキタクナール】をコーラ工場の責任者に注射するハカセ……。

「さあ、レシピを話すのよ!」

「ううう……し、死んでも言うもんか……」

 うめき声を上げるが……コーラ工場の責任者はまだ白状しない。
 見事な職人魂としか言いようがない。
 コーラはこのような崇高な職人によって作られていたのだ!

「バ、バカな……【ハキタクナール】が効かないなんて!ならばさらにもう一本……!」

 さらに注射するハカセ。
 ハカセの言う科学力とは一体何なのか……。

「うあああ……はあはあ……」

 コーラ工場の責任者は白目を向いている……。
 そろそろ限界のようだ……。

「ハカセ、それ以上はダメだ!死んでしまう!」

 サクラ氏とカトー氏が必死に止めに入った。
 しかし、ハカセは止まらない。

「さあ、知っていることを全て話すのよ!」

 さすがにこれ以上の薬は打たなかったが、尋問を続けるハカセ。
 怖いんですが……。
 
「ひき肉……たくあん……しおから……ジャム……にぼし……大福……味噌……を煮て、セミの抜け殻……」

 【ハキタクナール】の効果なのか、ついにコーラ工場の責任者がレシピをボソボソ話し始める。
 え?コーラってそんな材料なの?

「ふむふむ……なるほど……これで再現できる!」

 門外不出だったはずのレシピはついにハカセの手に渡ってしまった……。

「この人はもう不要ね……記憶を消して……元いた場所に転送しましょう」

 何事も無かったかのように犯罪の痕跡を消すハカセ……あなた本当に子供ですか?
 大の大人が3人もいて、何も出来ずにただ見ているだけになってしまっていた。

「では、レシピ通りに精製するのでちょっと待ってね」

 そう言ってハカセはレシピを片手にコーラの精製を始めた。
 コーラとは大分違う異様な匂いが漂い出したので、研究室を離れて会議室で待つことにした。

 ――

 俺、カトーは混乱していた。
 ハカセの大暴走を目の当たりにしたからだ……。
 ある意味ではサクラより恐ろしい……。

 とりあえず会議室に避難してきたが、もう一波乱ありそうな予感がしている。

「完成したわよ!」

 意気揚々とハカセが会議室に入ってきた。
 手には黒い液体の入った瓶が握られている。コーラなのだろうか?

「さあ、味見をしてちょうだい。うまいかおいしいかのどちらかよ!」

 思わずイチローの顔を見る。
 同時にサクラもイチローの顔を見ていたらしい。考える事は同じようだな。
 頼む、イチロー……お前が飲んでくれ。

「えっと、俺が飲むのかな?」

 雰囲気を察知し、イチローが反応した。
 そうだ、お前が飲むのだ!

「他に誰がいるのよ!イチローのために作ったんだからね!」

 ハカセにそう言われて……何も言えず、意を決して黒い液体を飲み込むイチロー……。
 そのまま動かなくなり、泡を吹いて倒れてしまった!

「やばいぞ、ナカマツ呼んでこい!」

 イチローの頬を叩きながら、サクラに叫んだ。
 サクラがナカマツを呼びに行ったのを確認しながら、俺はイチローの頬を叩き続けた。

「イチロー……ごめんね……。お願いだから死なないで!」

 ハカセは泣きながらイチローにしがみついていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

毒小町、宮中にめぐり逢ふ

鈴木しぐれ
キャラ文芸
🌸完結しました🌸生まれつき体に毒を持つ、藤原氏の娘、菫子(すみこ)。毒に詳しいという理由で、宮中に出仕することとなり、帝の命を狙う毒の特定と、その首謀者を突き止めよ、と命じられる。 生まれつき毒が効かない体質の橘(たちばなの)俊元(としもと)と共に解決に挑む。 しかし、その調査の最中にも毒を巡る事件が次々と起こる。それは菫子自身の秘密にも関係していて、ある真実を知ることに……。

妖狐

ねこ沢ふたよ
キャラ文芸
妖狐の話です。(化け狐ですので、ウチの妖狐達は、基本性別はありません。) 妖の不思議で捉えどころのない人間を超えた雰囲気が伝われば嬉しいです。 妖の長たる九尾狐の白金(しろがね)が、弟子の子狐、黄(こう)を連れて、様々な妖と対峙します。 【社】 その妖狐が弟子を連れて、妖術で社に巣食う者を退治します。 【雲に梯】 身分違いの恋という意味です。街に出没する妖の話です。<小豆洗い・木花咲夜姫> 【腐れ縁】 山猫の妖、蒼月に白金が会いにいきます。<山猫> 挿絵2022/12/14 【件<くだん>】 予言を得意とする妖の話です。<件> 【喰らう】 廃病院で妖魔を退治します。<妖魔・雲外鏡> 【狐竜】 黄が狐の里に長老を訪ねます。<九尾狐(白金・紫檀)・妖狐(黄)> 【狂信】 烏天狗が一羽行方不明になります。見つけたのは・・・。<烏天狗> 【半妖<はんよう>】薬を届けます。<河童・人面瘡> 【若草狐<わかくさきつね>】半妖の串本の若い時の話です。<人面瘡・若草狐・だいだらぼっち・妖魔・雲外鏡> 【狒々<ひひ>】若草と佐次で狒々の化け物を退治します。<狒々> 【辻に立つ女】辻に立つ妖しい夜鷹の女 <妖魔、蜘蛛女、佐門> 【幻術】幻術で若草が騙されます<河童、佐門、妖狐(黄金狐・若草狐)> 【妖魔の国】佐次、復讐にいきます。<妖魔、佐門、妖狐(紫檀狐)> 【母】佐門と対決しています<ガシャドクロ、佐門、九尾狐(紫檀)> 【願い】紫檀無双、佐次の策<ガシャドクロ、佐門、九尾狐(紫檀)> 【満願】黄の器の穴の話です。<九尾狐(白金)妖狐(黄)佐次> 【妖狐の怒り】【縁<えにし>】【式神】・・・対佐門バトルです。 【狐竜 紫檀】佐門とのバトル終了して、紫檀のお仕事です。 【平安】以降、平安時代、紫檀の若い頃の話です。 <黄金狐>白金、黄金、蒼月の物語です。 【旅立ち】 ※気まぐれに、挿絵を足してます♪楽しませていただいています。 ※絵の荒さが気にかかったので、一旦、挿絵を下げています。  もう少し、綺麗に描ければ、また上げます。  2022/12/14 少しずつ改良してあげています。多少進化したはずですが、また気になる事があれば下げます。迷走中なのをいっそお楽しみください。ううっ。

事故って目が覚めたら自販機だった件

沙々香
キャラ文芸
小説家になろうのリメイク。 ズボラな引きこもりの青年【斎藤陽斗】 そんな彼がある日飲み物を買いにコンビニに行こうとした……。 が!!!しかし所詮はニート、超絶面倒くさがり! 当然、炎天下の中行く気力も無く、自宅のすぐ前の自販機で買おう……そう妥協したのだった。 しかし…………自販機の前まで来た時だった、事件が起こってしまった。 青年はボーッとしていて気付か無かった、車が横まで迫っていた事に……。 目が覚めると動かない、辺りを見渡しふと見た車のドアガラスに映る自分は……自販機?! 自販機になってしまった青年のファンタスティックでちょっとクレイジーな非日常的コメディ!!! ※この小説は、他のサイトと重複投稿しています。

春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる

釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。 他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。 そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。 三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。 新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。   この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

処理中です...