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chapter 4
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リコリスの名前を呼んだら涙が止まらなくて、しばらく抱き締められていた。気が付いたら腹の虫が鳴き、身体を離して背中を倒した。
「……腹減った」
「じゃあ、食事にしようか。リゾットとか、飲み込みやすい方が良いね」
瞬きした直後にはもうその香りが漂っている。自分で身体を起こして食べようとするよりも先に、身体を抱きかかえられた。
「……待て、何を」
「ん」
リゾットをスプーンですくい、目の前で口にして、近付けてきた。
「ったくもう……! んんっ……!」
抵抗する体力もない。悪態をつくだけついて、もう好きにさせる。美味しいは美味しいんだ。なんで口移しされてるのか分からないだけで。
「美味しいかい?」
「……飯は美味い」
――でも、もう無いと気持ち悪い。
すっかり日課のキス。まさか口移しになるなんて思わなかったけど、食事はやっぱり必要だし、逆に今日は流石に無いかと思ってたくらいだ。風邪がうつるんじゃないか、と思ったけど、こいつのことだから大丈夫だろう。
スープ皿が空になったら、僕はそのままベッドに押し倒された。
「どさくさに紛れて、食事かよ」
「物足りなさそうな顔じゃないか」
「……うっせ」
なんで照れてるんだ、僕は。――ああもう、コイツが調子に乗る時の顔をしてる。
「キスの味だって、思い出して貰わないと」
「だから、や、むぐ、んッ――」
こうなったら多分止まらないだろうな、と、どっちの熱だか分からないまま、思考を投げ出した。
「……腹減った」
「じゃあ、食事にしようか。リゾットとか、飲み込みやすい方が良いね」
瞬きした直後にはもうその香りが漂っている。自分で身体を起こして食べようとするよりも先に、身体を抱きかかえられた。
「……待て、何を」
「ん」
リゾットをスプーンですくい、目の前で口にして、近付けてきた。
「ったくもう……! んんっ……!」
抵抗する体力もない。悪態をつくだけついて、もう好きにさせる。美味しいは美味しいんだ。なんで口移しされてるのか分からないだけで。
「美味しいかい?」
「……飯は美味い」
――でも、もう無いと気持ち悪い。
すっかり日課のキス。まさか口移しになるなんて思わなかったけど、食事はやっぱり必要だし、逆に今日は流石に無いかと思ってたくらいだ。風邪がうつるんじゃないか、と思ったけど、こいつのことだから大丈夫だろう。
スープ皿が空になったら、僕はそのままベッドに押し倒された。
「どさくさに紛れて、食事かよ」
「物足りなさそうな顔じゃないか」
「……うっせ」
なんで照れてるんだ、僕は。――ああもう、コイツが調子に乗る時の顔をしてる。
「キスの味だって、思い出して貰わないと」
「だから、や、むぐ、んッ――」
こうなったら多分止まらないだろうな、と、どっちの熱だか分からないまま、思考を投げ出した。
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