6 / 16
006
しおりを挟むはるの誕生日。
朝からはるとデートをした。
はるの好きなことをたくさんしよう!
とサウナに行ったりご飯を食べたり、プリクラを撮ったりした。
そしてカフェでゆっくりしていた時、はるは言った。
「あきと別れることにする」
今の私は作り笑顔の天才だ。
「そっかぁ。気になってる人とうまくいったの?」
と聞いてみた。
するとはるは答えた。
「その人とはダメだったんだけど、ゆきといいかんじなんだ」
語尾に音符がついてるかのような跳ねた声。
私は一瞬、顔を曇らせた。
けれど、その顔ははるにはみられていないだろう。
なんせ私は作り笑顔の天才だ。
その後、詳しく話を聞いた。
気になっていた人は、同じ高校の子らしい。
この夏休みで彼女ができたらしい。
だから諦めたと…。
そして、あきとの相談をゆきにしてるうちに、ゆきのことが気になり始めたらしい。
恋多き女は怖い。
これを悪いことだと思っていないということ。
あきとゆきの友情のことなんかこれっぽちも考えていないということ。
けれど、私は知っていた。
あきのはるへの想いが小さくなっていることに。
だから私はいいんじゃない?
とヘラっとして答えた。
はるもゆきも大切な友達だ。
2人がくっつくのは私としても嬉しいことだ。
あきへのフォローは私がなんとかできる。きっと。
私が1人で背負い込めば、全てうまくいく。
私が悪者になればいい。
そう思った。
そうしてはるは、私の目の前であきに連絡をした。
「別れて欲しい」
すぐにあきから返信が来た。
「わかった。」
2人の恋は呆気なく終わりを告げた。
そして私の携帯が鳴った。
「はるにフラれた」
私はすぐに連絡をした。
「うん、知ってる。ごめんね。
私がはるに別れたら?って言っちゃった。私のせいだ。ごめん。ごめんなさい。」
「赤井のせいじゃない。今日だって、はるの誕生日なの知っていて約束をしなかった。好きなやつと過ごすんだろうなって思って…」
………。
心からごめんなさい。
私です、はるとの誕生日、過ごしてたの私です。なんなら、はる目の前にいます。ごめんなさい。
言葉と共に私の手が動き、言い終わったと同時に送信ボタンを押していた。
あきから電話がかかってきた。
私は出なかった。
はるがいるのに出れるわけないでしょとメールを打とうとした時、
はるに最後に伝えたいことがあるから、電話に出て欲しい。
はるに代わってほしいとメールが来た。
またわたしの携帯が鳴った。
私は出た。
そしてはるに携帯を渡す。
「ん?だれ?」
私に聞いてきた。
「出たらわかるよ」
そう言って私は携帯をはるに押し付けた。
はるは不安そうに電話に出ると焦りだし、私を睨み、涙を流した。
そして携帯を私に返してきた。
まだ繋がってる…
携帯を耳に当てると、あきが鼻をすすった音が聞こえた。
「赤井だけど…話終わった?」
「あぁ、ありがとうな」
そして電話が切れた。
はるはまだ泣いている。
本気で好き合ってたんだな。
ただ、すれ違っちゃっただけなんだなと私は思った。
そして、私ははると2人で泣いた。
なんで私まで泣いているのかわからなかったが泣いた。
はるにもつっこまれた。
なんで泣いてるの?って。
私にもわからないと笑った。
笑いながら2人で泣いた。
はると解散し、あきに連絡をした。
「大丈夫?」
いつも返信が早いあきから、この日連絡が来ることはなかった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる