異世界めぐりの白と黒

小望月 白

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第二の世界

小鳥と仔犬

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さて、先程オルが連れてきてくれた小鳥と仔犬。




「やばい……むちゃくそに可愛い………」




うっとりと二つの動物を眺める。小鳥の方はオカメインコの様な立派なトサカがあるタイプの鳥だった。色は身体全体が真っ白でスマートなフォルム。そしてサファイアの様に美しい真っ青なトサカ。瞳は薄い赤色だった。
仔犬は柴犬に似ている。将来結構な大きさになるのだろうか。
ただこちらも日本にいた柴犬とは少し………だいぶ色合いが違い、薄い紫色だった。瞳は茶色くてくりくりとしている。

それからオルがこの子達の世話様にと、ご飯や身の回りのお世話道具を置いていってくれた。



「あれ?まって、でもこれくらい小さい犬って夜中にミルクあげたり夜泣きもするんじゃ無かったっけ………!」



確か日本に居た時に友人が柴犬の赤ちゃんを飼い始めた頃、毎日夜中の授乳と夜泣きが凄くて寝不足だと言っていた気がする。



「ど、どうしよう………」



小鳥は昔家で飼っていてよくお世話もしていたから同じでいいのであれば何となくお世話はできる気がする。羽も生え揃っているしもう普通のエサを食べられる成鳥だろう。




ガコッ





突然の音にびくりとすると、いつも通り研究バカオルトスがいた。





「びっ……くりしたぁ………」



「ああ、わりぃわりぃ。
あのよレイチェル、どうせオルのやつ大した事も伝えずに置いていったと思うから代わりに教えに来たんだけどよ」




「?」




「そいつら両方、もう大人だから世話、そんな手間かかんないぞ」



「なんと!」



それは助かる、かなり助かる。流石に初めての仔犬はちゃんとお世話できるかわからず不安だった。
オルトスはここまでを見越していたらしい。素晴らしきかなオルの幼馴染。




本当に伝えにだけ来てくれたらしく、上からひょっこりと顔を出して世話の方法やこの子達の特徴を教えるだけ教えてくれたらすぐに帰っていった。どうしてそんなに詳しいのかと聞けば呆れた様に「俺が手配したからに決まってんだろ?」と言われた。
一体いつの間に。
というか本当にちゃんとオルの補佐をやっていたのか。




「んー、じゃあ名前を付けなきゃ。何がいいかなー」



























命名


オカメインコ風の小鳥は『オカメ』

柴犬風の犬は『シバ』







覚えやすくて可愛い、はい最高!





























オルがこの子達のお世話の仕方を伝えに来てくれた時に言っていたが、犬を増やしたのは小鳥よりももう少し大きい動物も練習しないといけないだろうから、だそうだ。
オルには「求められた事以上の事をしてみせろ!漢を見せるんだ!」と言って丸め込んだらしい。適当な。
てゆうかオルもそんな感じで丸め込まれていいのか。



















ルームメイトが増えて数日経った。




「よし、今日はこれでおしまいね。3人ともありがとう」



ロギー、オカメ、シバをそれぞれの家に戻す。といってもシバだけはトイレもしっかりできるみたいなのでケージの出入り口を開けておいて好きに出入り出来るようにしてある。



「ロギーも、堂々と出られるようになって嬉しいね」



実はロギー、先日一旦オルトスが持って帰ってオルに「大人しそうな虫が手に入ったからレイチェルにでもやれよ」と言ってオルに持たせてくれたのだ。
なのでもう隠さずに堂々と3人と遊べる。





ーーだいぶ3人に能力をかけるスピードと精度が上がった気がする




ただ困った事に元々人懐っこい種類の動物なのか、オカメとシバが私に懐いてくれる。のはいいのだが、能力で動かせているのか私の言う事を理解して自主的に動いてくれているのかわからない時が出てきた。





ーー可愛い困った可愛い。





「それにしても………」




ふと天井の通気口を見上げる




ーー最近、パタッと来なくなったわね




仕事が忙しくなったのだろうか
それとも何か新しい研究にのめり込んでいるのだろうか




「何かあったんじゃなければいいけど………」





目線を窓際に移すと、#祈りの花__ランカ__が元気に咲いていた。



「土植えにしてよかったな。花瓶じゃどうしても枯れるのが早いから」


ランカの元まで近づいて行く



「可愛いルームメイトができたのは嬉しいけど、やっぱり話し相手がいないと寂しいわ。ねぇ、話しかけても意味は無いってわかってるけど話し相手が欲しい私の為にその身を揺らして私の心を慰めて」



ふっ、と笑ってランカに背を向ける



「シバのブラッシングでもしようかな」



カサ




「?」



何かが擦れる様な軽い音がした




ーーロギーかな?



そう思い辺りを見渡す




カサ カサ




「!」





するとそこには窓が閉まっているにもかかわらずその身を揺らすランカが居た。




「え、え?」




慌てて自分の手足や身体を見下ろす。確かにランカに『その身を揺らして慰めて』
とは言ったが能力は使っていないはずだ。




「んんー?」





こういう時、研究バカオルトスがいれば興味がある事なら飛び付いて色々と考えてくれそうなのに居ないので聞けない。




「他に聞けそうな人……仕方ないか………」





少し迷ったが仕方ない。幼女ヨウショタショータに連絡だ。



そういえば最近新しいルームメイトも出来たし、能力の練習も暇さえあればどんどんやっていた。
なので今考えるとヨウとショータと暫く連絡を取っていない。





ーーずっと放置してたの、何か言われるかな




一応癖でポケットには常に入れるようにしているペンダントチェーンを眺める。オルはまだ暫く帰ってこないはずだ。






「………ふぅ」




深呼吸をして頭に声の衝撃がくるのに備え、ペンダントチェーンを装着する



















「レェエエエイチェルウウウゥウウウウ!」























やっぱり衝撃に備えた所で衝撃は衝撃だった。
頭が暫くグヮングヮンしていた。



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