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第二の世界
小人族
しおりを挟む祈りの花の花壇に着くとランカをじーーっとひたすら観察したり、何かをメモしている人物がいる。
「あら、こんな所に子供が迷い込んでいるわ。貴方大丈夫?」
私が話しかけるとその人物はゆっくりと立ち上がり、こちらを見てニヤリと笑う
「おやおやこれは。護衛騎士を使ってか弱いご令嬢虐めに勤しんでいる次期王妃様じゃあないですか」
「ちょっとその情報古いわよ。今は『自分以上に美しい女は居ない。だからこの国の男は全て私のものよ』って言い回っているのよ」
「へえ、それは知らなかったな。次から覚えておくよ」
「ふふ。いつも研究の事しか考えてないから新しい情報が耳に入っていかないのよオルトス」
「へっ!ほっとけ」
この男はオルトス・ルード。ヴォルフのお目付役であるシナールと、私がお世話になっている王宮図書館の司書であるスークの一人息子でオルの悪友である。
ちなみにもう立派に成人しているのだが小人族故か普通に子供に見える。なのに口が悪い。ギャップが凄い。
騙された感がある。
ちなみに初対面は私がお城の庭散策途中に見つけた研究棟前にある余り人が近寄らない林前だ。林の中には様々な動植物があり、危険な物も少なくないので余り近付かない方がいいのを知らずに私が入ろうとし、それを止めてくれたのだがいかんせん言い方がきつかった。
なのでてっきり嫌われているのかと思っていたがどうやらこういう性格らしい。
ていうか普通は初対面で舌打ちされれば嫌われたのだと思うと思う。
まあ初対面の事を言えば「正直また鬱陶しい女が増えたかと思っていた」らしいので、嫌われていたのはあながち間違いではないかもしれないが。
なのに何故今こうして軽口を叩き合う仲になったかと言うと、丁度3カ月程前に遡る。
なんとオルトス、私が嫌がらせを受けるきっかけになったレイチェルvs令嬢3人の出来事をまるっと全部目撃していたらしい。
初めは「ああ、またヴォルフ目的の鬱陶しい女共がしょうもない事をやっているな」と思って見ていたらしい。王族と親交があるオルトスにもツテを求めたりとそういった話はよく来る。
本当ならさっさと研究棟に帰りたかったが絡まれているのがオルの言っていた「悪友が増えたぞ!」のレイチェルだとわかって帰ろうか助けに入るべきなのかを考えていた。
「あの面倒そうな3人にお茶会の開催を強要されればしない訳にはいかなくなるか」そう思い成り行きを見守っていると私が物凄くどうでも良さそうな顔をしていたので少し興味が湧いた。そしてそのままはっきりと断っていた。この国では知らぬ人が居らぬくらい有名な人物の子供ら直々のお願いだ。
まさか断るとは思わなかったらしい。
ーー顔には出してないつもりだったんだけど
それで、話し掛けてみるかなーと思ったらしい。丁度ランカの異常成長・増殖に関しても研究したい所だったからな、とは言っていたが私は絶対に研究が本命だったのだと思っている。
と、いう訳で話す様になった訳だがオルトスは私の淑女らしくない態度に。私はオルトスの気さくな態度に好感を持ち、あっという間に友人となった。
「ランカの研究はな、前々からやりたいと思ってたんだけどこの辺りじゃ手に入りにくくて断念してたんだよ。」
「厳しい環境の中で育つらしいものね」
「ああ」
2人で並んでランカを眺める。相変わらずワサワサ生えている。
「いやーここがレイチェルの物になってよかったよ。思う存分研究ができる」
「だからってブチブチ引っこ抜いて全部無くならしたりするのはやめてね。私もこれ気に入ってるんだから」
「わかってるわかってる」
ーー本当かな
「まあもしそうなっても元に戻してやるよ」
「おいこら」
全くもって信用できない発言ばかりするオルトス友人はふと思い出した様に言う。
「そういえば」
「なに?」
「さっきも絡まれてたな」
「……見てたの?」
助けろよとは思わないが何故そういつもいつも目撃されているのか。
「女ってめんどくせぇな」
「人間が面倒なのよ。男でも女でもああいう事をする人はある程度いるわ」
「あー………な。」
ガシガシと頭をかくオルトスも、もしかするとこういった人間関係が煩わしくて研究に打ち込んでいるのだろうか。
いや、多分違うな。多分オルトスは変人パターンだ。
「まあ、気をつけろよ」
「ありがとう」
「なんかやばそうなら言えよ。オルに」
「そこは『俺に言えよ』じゃないの?」
「やだよめんどくせぇ」
「最低か!」
「まあ話くらいなら聞いてやるよ」
「ふふ、ありがとう」
こういう奴なのだ。
「そういやレイチェル、オルと最近会ったか?」
「んー少し前にナーニャさんのお茶会に顔をだしてたからその時会ったけどそれっきりね。何かあった?」
「あ?ああー………んーまあな。所でレイチェル、お前王族の方々から能力に関してなんか言われたか?」
「え?いや特に何も」
「そうか。わかった」
そういうとオルトスは花壇を指差す
「また何本か研究用に貰ってっていいか?」
ーーなんか誤魔化された?
「どうぞ」
「ありがとな」
慣れた手つきでランカを採集するオルトスを見ながら思う。
ーーとりあえずヴォルフオルかナーニャさんに話を聞いた方が良さそうね
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