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出会い

ファミーユ=アミ!

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「私はファミーユ=アミ! 友達になりましょ?」
 つまり……なにが言いたいのでしょうか……? 友達になれって? 
 私の動揺を無視して、ファミーユ=アミと名乗った少女はさらに続けた。
「ここがエレツなのね……。間近っていうか、実際に来てみるとほんとにすっごく楽しそう! なんだかみんなが踊ってるみたいに慌ただしくて、みんながそれを楽しんでそう!」
 どこからそう見たらそう見えるんだろう。

 いや、それよりも。
 なにがどうなってるの! 友達? 友達になりましょ? って言ったよねー! やったぜ! 友達出来た! よく分からないけど!
「私はメーヌリスっていうところから来たの! エレツは初めてだから凄くワクワクしてるんだァ……。そう言えば、あなたの名前は?」
 メーヌリス? エレツ? 
 ってなったけど、私は促されるままに名前を言った。
「私は、橋本友希……です。よ、よろしく……」
「はしもとゆき……? 素敵な名前ね! なんだかよく分からないけど」
 私もなんだかよく分からない。
「よろしくね! 友希!」
「よろしく……ファミーユさん……?」
 私が差し出した手を不思議そうな目で眺めたファミーユさんは、
「アミって呼んでッ」
 放たれた満面の笑みに、私は従うしかなかった。
「よろしく、アミさん」
 もう一度差し出した手をアミはしばらくジロジロと眺めた後、顔をパーっと輝かせてギュッと握りしめた。
「これが友達同士でやるっていう握手ね! うわーッ! 握手握手握手~」
 握手するだけでこんなにテンションが上がるものなのかな……? 
 私も握手なんてお母さんとして以来やったことない。
 ギュッ!
 わかりやすい擬音が全身に伝わってくるくらいの強い握力だった。
「ねぇねぇ友希! 私、あなたの家に行きたい! いいでしょ?」
 いきなりですな……。
 私がずっとオロオロしているので、アミはさらに続けた。
「エレツでは友達を家に呼ぶのは当たり前なんでしょ? だったら、せっかく友達になったんだし家に行ってもイイよね!」
 うぅ……。
 確かにそうなのかもしれないなぁ……。
 友達が出来たことないのでそのへんはよく分からない。

 それに……。

 アミがさっきから言ってる『エレツ』だの『メーヌリス』だの初めて聞く言葉の意味が知りたい。
 初対面の人に挨拶出来てるくらいの凄い不思議な力コミュニケーション能力が発動している今の私なら家に人を呼ぶくらい楽勝のはず!
「えと……分かりました……」
 それを聞いたアミは輝いていた顔をさらに輝かせた。
 眩しいです……。直視できないっ……。
「やったーッ! 友希! あなたと私はこれで親友よ!」
 何故に? ホワイ?
「なにをキョトンとしてるの友希? 友達を家に呼んだってことは、その人とはもう親友ってことなんでしょ? エレツの常識じゃない」
 私こーゆーことよく分かんない。
 なるほど、じゃあお家に彼女を呼んだことがない彼氏ってのはダメ彼氏なのかな? エセリア充ってことかな? 
 エセだろうとそうでなかろうと五臓六腑を撒き散らして死ね! 
 すいませんリア充さん調子乗りました。
「早く行きましょ! 友希!」
 私の脳内謎変換機能の暴走からアミが救してくれた。アミは私の手を引っ張って、
「レッツゴーッ! 友希の家へ!」
 いやいや……。あなた私の家の場所知ってるの?
「そう言えば友希、あなたの家ってどこにあるの?」
 やっぱ知らなかったのか……。
 私はアミに手を握られて、家まで案内した。
 途中で電車に乗るだけでものすごく時間がかかったのはなんでかな。
「だって……だって……。この電車って四角いの……凄く速いし凄いうるさいモン……怖いよ友希ィ……」
 私がホームでビクビクしてるアミに聞いた時に帰ってきた答えが今のだ。
 電車見たことないのかな? よっぽど凄い田舎生まれだったりして。
 同じ理由でタクシーとかもダメなのかな? 
「ぁの……アミさんって、タクシーは大丈夫……なんですか?」
「タクシー? なになに? なにそれ! 面白そうな名前ね! タっクシ~」
 私はホームから見えるタクシー乗り場を指さした。
「えと……。アレがタクシーです。電車程じゃないですけど……速いし……音もうるさいですけど……」
 ……って聞いてない……。
 急いで追いかけると、アミは駅の改札口で首をキョトンと傾げながら駅員さんの話を聞いていた。
「きっぷ? なにそれ! 必殺技の名前かしら? 違うのー? エレツって不思議なところね……」
 駅員さんもキョトンとした顔をしている。
 そりゃ当たり前の反応だよね……。
 私はスグに駅員に頭を下げまくって謝り、アミを連れてそこから逃げるように去った。というか逃げた。
「友希! アレがタクシーでしょ? 楽しみだなぁタクシー!」
 実を言うと、私もタクシーに乗ったことがない。だって運転手さんと話さないとダメだから。
「ワーイタクシー! ねぇねぇオジサン! 友希の家まで連れてって!」
 ぎゃあああああああああ! 
 せめて覚悟を決めてから……。
「あれ? ワープとかしないの?」
 するわけないじゃん。
「ぇぇっと……すみませんすみませんすみませんっ! あの……」
 私は自分の家の住所を勢いのまま運転手さんに告げた。
 初乗り料金もそうだけど、タクシーで私の財布は抉られるようにごっそり取られた。
「へぇーッ! 凄くいい景色! キレイな場所ね!」
 私の家に入ってきた第一声がそれだった。
 私の家は、駅から10分程歩いたところにある坂道の途中にあるマンションの1室だ。そこの最上階が私の住んでる家だ。
「あの……アミさん……。聞きたいことがあるんですけど……」
「なにかしら? 友達として、なーんでも答えてあげるわよ!」
 私は何度か深呼吸して覚悟を決めた。
「ファミーユ=アミさん、あなたは何者なんですか?」
 返事はすぐに来た。
「ンーと……。エレツの言葉で言うと……異世界?」
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