2 / 24
出会い
ファミーユ=アミ!
しおりを挟む
「私はファミーユ=アミ! 友達になりましょ?」
つまり……なにが言いたいのでしょうか……? 友達になれって?
私の動揺を無視して、ファミーユ=アミと名乗った少女はさらに続けた。
「ここがエレツなのね……。間近っていうか、実際に来てみるとほんとにすっごく楽しそう! なんだかみんなが踊ってるみたいに慌ただしくて、みんながそれを楽しんでそう!」
どこからそう見たらそう見えるんだろう。
いや、それよりも。
なにがどうなってるの! 友達? 友達になりましょ? って言ったよねー! やったぜ! 友達出来た! よく分からないけど!
「私はメーヌリスっていうところから来たの! エレツは初めてだから凄くワクワクしてるんだァ……。そう言えば、あなたの名前は?」
メーヌリス? エレツ?
ってなったけど、私は促されるままに名前を言った。
「私は、橋本友希……です。よ、よろしく……」
「はしもとゆき……? 素敵な名前ね! なんだかよく分からないけど」
私もなんだかよく分からない。
「よろしくね! 友希!」
「よろしく……ファミーユさん……?」
私が差し出した手を不思議そうな目で眺めたファミーユさんは、
「アミって呼んでッ」
放たれた満面の笑みに、私は従うしかなかった。
「よろしく、アミさん」
もう一度差し出した手をアミはしばらくジロジロと眺めた後、顔をパーっと輝かせてギュッと握りしめた。
「これが友達同士でやるっていう握手ね! うわーッ! 握手握手握手~」
握手するだけでこんなにテンションが上がるものなのかな……?
私も握手なんてお母さんとして以来やったことない。
ギュッ!
わかりやすい擬音が全身に伝わってくるくらいの強い握力だった。
「ねぇねぇ友希! 私、あなたの家に行きたい! いいでしょ?」
いきなりですな……。
私がずっとオロオロしているので、アミはさらに続けた。
「エレツでは友達を家に呼ぶのは当たり前なんでしょ? だったら、せっかく友達になったんだし家に行ってもイイよね!」
うぅ……。
確かにそうなのかもしれないなぁ……。
友達が出来たことないのでそのへんはよく分からない。
それに……。
アミがさっきから言ってる『エレツ』だの『メーヌリス』だの初めて聞く言葉の意味が知りたい。
初対面の人に挨拶出来てるくらいの凄い不思議な力が発動している今の私なら家に人を呼ぶくらい楽勝のはず!
「えと……分かりました……」
それを聞いたアミは輝いていた顔をさらに輝かせた。
眩しいです……。直視できないっ……。
「やったーッ! 友希! あなたと私はこれで親友よ!」
何故に? ホワイ?
「なにをキョトンとしてるの友希? 友達を家に呼んだってことは、その人とはもう親友ってことなんでしょ? エレツの常識じゃない」
私こーゆーことよく分かんない。
なるほど、じゃあお家に彼女を呼んだことがない彼氏ってのはダメ彼氏なのかな? エセリア充ってことかな?
エセだろうとそうでなかろうと五臓六腑を撒き散らして死ね!
すいませんリア充さん調子乗りました。
「早く行きましょ! 友希!」
私の脳内謎変換機能の暴走からアミが救してくれた。アミは私の手を引っ張って、
「レッツゴーッ! 友希の家へ!」
いやいや……。あなた私の家の場所知ってるの?
「そう言えば友希、あなたの家ってどこにあるの?」
やっぱ知らなかったのか……。
私はアミに手を握られて、家まで案内した。
途中で電車に乗るだけでものすごく時間がかかったのはなんでかな。
「だって……だって……。この電車って四角いの……凄く速いし凄いうるさいモン……怖いよ友希ィ……」
私がホームでビクビクしてるアミに聞いた時に帰ってきた答えが今のだ。
電車見たことないのかな? よっぽど凄い田舎生まれだったりして。
同じ理由でタクシーとかもダメなのかな?
「ぁの……アミさんって、タクシーは大丈夫……なんですか?」
「タクシー? なになに? なにそれ! 面白そうな名前ね! タっクシ~」
私はホームから見えるタクシー乗り場を指さした。
「えと……。アレがタクシーです。電車程じゃないですけど……速いし……音もうるさいですけど……」
……って聞いてない……。
急いで追いかけると、アミは駅の改札口で首をキョトンと傾げながら駅員さんの話を聞いていた。
「きっぷ? なにそれ! 必殺技の名前かしら? 違うのー? エレツって不思議なところね……」
駅員さんもキョトンとした顔をしている。
そりゃ当たり前の反応だよね……。
私はスグに駅員に頭を下げまくって謝り、アミを連れてそこから逃げるように去った。というか逃げた。
「友希! アレがタクシーでしょ? 楽しみだなぁタクシー!」
実を言うと、私もタクシーに乗ったことがない。だって運転手さんと話さないとダメだから。
「ワーイタクシー! ねぇねぇオジサン! 友希の家まで連れてって!」
ぎゃあああああああああ!
せめて覚悟を決めてから……。
「あれ? ワープとかしないの?」
するわけないじゃん。
「ぇぇっと……すみませんすみませんすみませんっ! あの……」
私は自分の家の住所を勢いのまま運転手さんに告げた。
初乗り料金もそうだけど、タクシーで私の財布は抉られるようにごっそり取られた。
「へぇーッ! 凄くいい景色! キレイな場所ね!」
私の家に入ってきた第一声がそれだった。
私の家は、駅から10分程歩いたところにある坂道の途中にあるマンションの1室だ。そこの最上階が私の住んでる家だ。
「あの……アミさん……。聞きたいことがあるんですけど……」
「なにかしら? 友達として、なーんでも答えてあげるわよ!」
私は何度か深呼吸して覚悟を決めた。
「ファミーユ=アミさん、あなたは何者なんですか?」
返事はすぐに来た。
「ンーと……。エレツの言葉で言うと……異世界?」
つまり……なにが言いたいのでしょうか……? 友達になれって?
私の動揺を無視して、ファミーユ=アミと名乗った少女はさらに続けた。
「ここがエレツなのね……。間近っていうか、実際に来てみるとほんとにすっごく楽しそう! なんだかみんなが踊ってるみたいに慌ただしくて、みんながそれを楽しんでそう!」
どこからそう見たらそう見えるんだろう。
いや、それよりも。
なにがどうなってるの! 友達? 友達になりましょ? って言ったよねー! やったぜ! 友達出来た! よく分からないけど!
「私はメーヌリスっていうところから来たの! エレツは初めてだから凄くワクワクしてるんだァ……。そう言えば、あなたの名前は?」
メーヌリス? エレツ?
ってなったけど、私は促されるままに名前を言った。
「私は、橋本友希……です。よ、よろしく……」
「はしもとゆき……? 素敵な名前ね! なんだかよく分からないけど」
私もなんだかよく分からない。
「よろしくね! 友希!」
「よろしく……ファミーユさん……?」
私が差し出した手を不思議そうな目で眺めたファミーユさんは、
「アミって呼んでッ」
放たれた満面の笑みに、私は従うしかなかった。
「よろしく、アミさん」
もう一度差し出した手をアミはしばらくジロジロと眺めた後、顔をパーっと輝かせてギュッと握りしめた。
「これが友達同士でやるっていう握手ね! うわーッ! 握手握手握手~」
握手するだけでこんなにテンションが上がるものなのかな……?
私も握手なんてお母さんとして以来やったことない。
ギュッ!
わかりやすい擬音が全身に伝わってくるくらいの強い握力だった。
「ねぇねぇ友希! 私、あなたの家に行きたい! いいでしょ?」
いきなりですな……。
私がずっとオロオロしているので、アミはさらに続けた。
「エレツでは友達を家に呼ぶのは当たり前なんでしょ? だったら、せっかく友達になったんだし家に行ってもイイよね!」
うぅ……。
確かにそうなのかもしれないなぁ……。
友達が出来たことないのでそのへんはよく分からない。
それに……。
アミがさっきから言ってる『エレツ』だの『メーヌリス』だの初めて聞く言葉の意味が知りたい。
初対面の人に挨拶出来てるくらいの凄い不思議な力が発動している今の私なら家に人を呼ぶくらい楽勝のはず!
「えと……分かりました……」
それを聞いたアミは輝いていた顔をさらに輝かせた。
眩しいです……。直視できないっ……。
「やったーッ! 友希! あなたと私はこれで親友よ!」
何故に? ホワイ?
「なにをキョトンとしてるの友希? 友達を家に呼んだってことは、その人とはもう親友ってことなんでしょ? エレツの常識じゃない」
私こーゆーことよく分かんない。
なるほど、じゃあお家に彼女を呼んだことがない彼氏ってのはダメ彼氏なのかな? エセリア充ってことかな?
エセだろうとそうでなかろうと五臓六腑を撒き散らして死ね!
すいませんリア充さん調子乗りました。
「早く行きましょ! 友希!」
私の脳内謎変換機能の暴走からアミが救してくれた。アミは私の手を引っ張って、
「レッツゴーッ! 友希の家へ!」
いやいや……。あなた私の家の場所知ってるの?
「そう言えば友希、あなたの家ってどこにあるの?」
やっぱ知らなかったのか……。
私はアミに手を握られて、家まで案内した。
途中で電車に乗るだけでものすごく時間がかかったのはなんでかな。
「だって……だって……。この電車って四角いの……凄く速いし凄いうるさいモン……怖いよ友希ィ……」
私がホームでビクビクしてるアミに聞いた時に帰ってきた答えが今のだ。
電車見たことないのかな? よっぽど凄い田舎生まれだったりして。
同じ理由でタクシーとかもダメなのかな?
「ぁの……アミさんって、タクシーは大丈夫……なんですか?」
「タクシー? なになに? なにそれ! 面白そうな名前ね! タっクシ~」
私はホームから見えるタクシー乗り場を指さした。
「えと……。アレがタクシーです。電車程じゃないですけど……速いし……音もうるさいですけど……」
……って聞いてない……。
急いで追いかけると、アミは駅の改札口で首をキョトンと傾げながら駅員さんの話を聞いていた。
「きっぷ? なにそれ! 必殺技の名前かしら? 違うのー? エレツって不思議なところね……」
駅員さんもキョトンとした顔をしている。
そりゃ当たり前の反応だよね……。
私はスグに駅員に頭を下げまくって謝り、アミを連れてそこから逃げるように去った。というか逃げた。
「友希! アレがタクシーでしょ? 楽しみだなぁタクシー!」
実を言うと、私もタクシーに乗ったことがない。だって運転手さんと話さないとダメだから。
「ワーイタクシー! ねぇねぇオジサン! 友希の家まで連れてって!」
ぎゃあああああああああ!
せめて覚悟を決めてから……。
「あれ? ワープとかしないの?」
するわけないじゃん。
「ぇぇっと……すみませんすみませんすみませんっ! あの……」
私は自分の家の住所を勢いのまま運転手さんに告げた。
初乗り料金もそうだけど、タクシーで私の財布は抉られるようにごっそり取られた。
「へぇーッ! 凄くいい景色! キレイな場所ね!」
私の家に入ってきた第一声がそれだった。
私の家は、駅から10分程歩いたところにある坂道の途中にあるマンションの1室だ。そこの最上階が私の住んでる家だ。
「あの……アミさん……。聞きたいことがあるんですけど……」
「なにかしら? 友達として、なーんでも答えてあげるわよ!」
私は何度か深呼吸して覚悟を決めた。
「ファミーユ=アミさん、あなたは何者なんですか?」
返事はすぐに来た。
「ンーと……。エレツの言葉で言うと……異世界?」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる