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第二話 ドッジボールの悲劇
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ー神谷良弥sideー
神谷良弥です。…え、なに?他に話すことあんの?えーと…14歳です。…まだ?俺人前で話すとか苦手なんだけど。まいっか。やったほうが早く終わるしな。
「革命を起こそう!」と、ヨロが言った。
起こさんでいい、というのが正直な気持ちだが、あんなヤツに伝わるわけがないので、黙ってはいはいと言った。おかんと魔王がめっちゃ反対してたけど、斉藤は興味ないけど俺みたいに適当にいいんじゃん?だったし、勇者はやる気まんまんだし、その上ヒカ姉に関しては、やってやろうじゃねぇか!と、目がぎらついている。
いやもうこれ止められないだろ。
“学年レクのドッジボール大会で目立って、人気を出すぜ大作戦!”は、今日決行される予定だが、やる気がない人がいる。魔王だ。ヒカ姉も若干自信なさげにしている。
「しょうがなーいさ!やるっきゃない!!」
いやお前が一番不安なんだけどヨロ。俺はバスケやってるから大丈夫だと思うが…勝つだけではなく、目立たなければならない。そしてみんなが忘れないうちにメンバー集めをしなければいけない。これはスピード勝負だ。みんながそれを分かっているのか問題。
「目立てばいいんだね?」
「そう、活躍すればいい。勝ち負けはそんなに関係ないと俺は思う」
勇者とおかんがお互いにやること確認をしている。とにもかくにもまずは、ボールを拾って、カッコよく投げる!うーわ、マジで俺この作戦言わなきゃよかったわ。
「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ」 なんか、怨念聞こえてくるんですけど。
魔王だ。しょうがない。
「おい魔王。これやんないとデモクラシー作戦、うまくいかないんだぞ」
「だからウチ反対したのにー」
まだ魔王は愚痴を零しているが、ホイッスルが聞こえて来てしまった。
「あっやべっ!」
ヒカ姉がボールを取り損ね、背の高い男子と1メートルもない距離に立ってしまった。すかさず離れようとしているが、絶対に間に合わない。大丈夫だ。当たっても活躍すればいいのだから。ただ、相手が悪かった。相手の男子は手加減を知らない。近い距離、しかも小柄なヒカ姉に容赦なく思い切りボールを投げて来て、ヒカ姉の右太ももに直撃した。
「岩城さん大丈夫?」
「ひか~?」
しゃがみ込んだヒカ姉に、おかんと魔王が駆け寄った。さすがはおかんだ。みんなのことをいつも気にかけているだけある。ボールをぶつけた男子はどうしようみたいな顔をしておろおろしている。
「チックソ痛てーわ!」
…え?立ってる。ヒカ姉立ってんぞ!もう復活!?凄くね?
「い…岩城さん…保健室行こう?」
おかんが必死で説得してるけど、こうなったらもう止まらないのがヒカ姉だ。
「おいテメェッ!どでかい図体しやがって、50センチしか離れてねぇよ!なんでんな思いっきし投げんだよ、俺の方はクソ痛てーんだわ!さっさと内野に入りやがれ!すぐ追い出してやっからな、覚悟しとけやコラァ!!」
…こわ!こっわ!ガチギレしてんじゃん!これでとりあえずヒカ姉は最低ラインの目標(ドッジボール大会で目立つ大作戦!)達成じゃね!?はっや!開始まだ3分!すげぇ!
「ひかぁ~…」
諦めろ、魔王よ。
「内野の人間ゼロになるまで行くぜぇ!全部取れよ、サイゴーどん!」
「セゴな!西郷隆盛じゃないから!つーか生きてたら怖い!何回言わせんの!?」
めっちゃやる気まんまん。ウラァ!という低めの女子の声が響き、鬼速いボールが飛んでいく。バシンッと今度はさっきの力加減ができない男子の腰に直撃し、内野に入って早々、外野に出て行ってしまった。
当てる相手が悪かったなあ、かわいそ。
そのあとも、ヒカ姉とおかんの音速キャッチボールが続き、うちのクラスの圧勝で終わった。しかし、歓声が上がった直後…
「ガチでクッソ痛てーんだけど!」
しばらくヒカ姉の右太ももと肩(肩のほうはおかんも)の痛みは治らなかった。
ちなみに、なんにもしてなかったヨロと勇者と魔王、そしてひそらんは、万歳三唱していた。俺も合わせてやっていた。(声は、当たり前だが出していない)
「とりあえず、第一目標達成っと…」
いつの間にそんなやる気になってんだおかんお前…
つい昨日まで反対していたはずのおかんが、“①学年レクのドッジボールで人気を出す!”と書いた紙に赤いマルをつけた。
「ヒカ姉様~♡」
「西・郷・くーん♡」
キモ…なにアイツら…ウワサと出来事に左右されすぎだろ怖いわ。
「きっしょ!なんなんだよお前ら!」
「リスク覚悟で岩城さんと全力キャッチボールした昨日の俺を殴りに行きたいよ…」
「イエーーーーーーーーイイイィ!!!」
Oh…KHAOS。帰りたくなってきた。いやまだ二時間目終わったばっかりなんだけど、もう帰りたくなってきた。
「あのさああのさぁ~2人も今度うちらと一緒にどっか遊びに行かなーい?」
「それいい!ね、どこ行きたいー?」
「行かねぇよ!」
「勝手に決めないで~」
「どこでもいーよね!」
「いーよー」
「良くねぇよ!」
マジでなんなのあいつら……
放課後は、若干キモい人間の気配を感じつつ、みんなで帰った。
次回、
第三話「人気者になりたい!」
勇者side。
To be continued!
追伸 喋んのって疲れるわ…マジで…
神谷良弥です。…え、なに?他に話すことあんの?えーと…14歳です。…まだ?俺人前で話すとか苦手なんだけど。まいっか。やったほうが早く終わるしな。
「革命を起こそう!」と、ヨロが言った。
起こさんでいい、というのが正直な気持ちだが、あんなヤツに伝わるわけがないので、黙ってはいはいと言った。おかんと魔王がめっちゃ反対してたけど、斉藤は興味ないけど俺みたいに適当にいいんじゃん?だったし、勇者はやる気まんまんだし、その上ヒカ姉に関しては、やってやろうじゃねぇか!と、目がぎらついている。
いやもうこれ止められないだろ。
“学年レクのドッジボール大会で目立って、人気を出すぜ大作戦!”は、今日決行される予定だが、やる気がない人がいる。魔王だ。ヒカ姉も若干自信なさげにしている。
「しょうがなーいさ!やるっきゃない!!」
いやお前が一番不安なんだけどヨロ。俺はバスケやってるから大丈夫だと思うが…勝つだけではなく、目立たなければならない。そしてみんなが忘れないうちにメンバー集めをしなければいけない。これはスピード勝負だ。みんながそれを分かっているのか問題。
「目立てばいいんだね?」
「そう、活躍すればいい。勝ち負けはそんなに関係ないと俺は思う」
勇者とおかんがお互いにやること確認をしている。とにもかくにもまずは、ボールを拾って、カッコよく投げる!うーわ、マジで俺この作戦言わなきゃよかったわ。
「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ」 なんか、怨念聞こえてくるんですけど。
魔王だ。しょうがない。
「おい魔王。これやんないとデモクラシー作戦、うまくいかないんだぞ」
「だからウチ反対したのにー」
まだ魔王は愚痴を零しているが、ホイッスルが聞こえて来てしまった。
「あっやべっ!」
ヒカ姉がボールを取り損ね、背の高い男子と1メートルもない距離に立ってしまった。すかさず離れようとしているが、絶対に間に合わない。大丈夫だ。当たっても活躍すればいいのだから。ただ、相手が悪かった。相手の男子は手加減を知らない。近い距離、しかも小柄なヒカ姉に容赦なく思い切りボールを投げて来て、ヒカ姉の右太ももに直撃した。
「岩城さん大丈夫?」
「ひか~?」
しゃがみ込んだヒカ姉に、おかんと魔王が駆け寄った。さすがはおかんだ。みんなのことをいつも気にかけているだけある。ボールをぶつけた男子はどうしようみたいな顔をしておろおろしている。
「チックソ痛てーわ!」
…え?立ってる。ヒカ姉立ってんぞ!もう復活!?凄くね?
「い…岩城さん…保健室行こう?」
おかんが必死で説得してるけど、こうなったらもう止まらないのがヒカ姉だ。
「おいテメェッ!どでかい図体しやがって、50センチしか離れてねぇよ!なんでんな思いっきし投げんだよ、俺の方はクソ痛てーんだわ!さっさと内野に入りやがれ!すぐ追い出してやっからな、覚悟しとけやコラァ!!」
…こわ!こっわ!ガチギレしてんじゃん!これでとりあえずヒカ姉は最低ラインの目標(ドッジボール大会で目立つ大作戦!)達成じゃね!?はっや!開始まだ3分!すげぇ!
「ひかぁ~…」
諦めろ、魔王よ。
「内野の人間ゼロになるまで行くぜぇ!全部取れよ、サイゴーどん!」
「セゴな!西郷隆盛じゃないから!つーか生きてたら怖い!何回言わせんの!?」
めっちゃやる気まんまん。ウラァ!という低めの女子の声が響き、鬼速いボールが飛んでいく。バシンッと今度はさっきの力加減ができない男子の腰に直撃し、内野に入って早々、外野に出て行ってしまった。
当てる相手が悪かったなあ、かわいそ。
そのあとも、ヒカ姉とおかんの音速キャッチボールが続き、うちのクラスの圧勝で終わった。しかし、歓声が上がった直後…
「ガチでクッソ痛てーんだけど!」
しばらくヒカ姉の右太ももと肩(肩のほうはおかんも)の痛みは治らなかった。
ちなみに、なんにもしてなかったヨロと勇者と魔王、そしてひそらんは、万歳三唱していた。俺も合わせてやっていた。(声は、当たり前だが出していない)
「とりあえず、第一目標達成っと…」
いつの間にそんなやる気になってんだおかんお前…
つい昨日まで反対していたはずのおかんが、“①学年レクのドッジボールで人気を出す!”と書いた紙に赤いマルをつけた。
「ヒカ姉様~♡」
「西・郷・くーん♡」
キモ…なにアイツら…ウワサと出来事に左右されすぎだろ怖いわ。
「きっしょ!なんなんだよお前ら!」
「リスク覚悟で岩城さんと全力キャッチボールした昨日の俺を殴りに行きたいよ…」
「イエーーーーーーーーイイイィ!!!」
Oh…KHAOS。帰りたくなってきた。いやまだ二時間目終わったばっかりなんだけど、もう帰りたくなってきた。
「あのさああのさぁ~2人も今度うちらと一緒にどっか遊びに行かなーい?」
「それいい!ね、どこ行きたいー?」
「行かねぇよ!」
「勝手に決めないで~」
「どこでもいーよね!」
「いーよー」
「良くねぇよ!」
マジでなんなのあいつら……
放課後は、若干キモい人間の気配を感じつつ、みんなで帰った。
次回、
第三話「人気者になりたい!」
勇者side。
To be continued!
追伸 喋んのって疲れるわ…マジで…
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