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バイトの始まる時間まで一緒にいた。
始まる時間、というか、時間ギリギリまで一緒にいて、コンビニの前で別れた、が正解。
だらだら話をして、話しの合間にキスして。
寝不足だから一緒に寝て。
ふつーの男同士の付き合いに、キスを加えた程度の関係。
そんな、悪くない。
思ったより、良いっていうか、煩わしくないと言うか。
話し方もゆったりしてるし、俺が話すタイミングとスピードを待ってくれる。
それがとても自然というか。
大学での一ノ瀬はやっぱり違う。
大学で話したのは、この前の講義中が初めてで、比べることはできないけど。
でもいつも笑ってる。
仲間の中で、輪の中で。
そういうイメージ。
チャラいんだよな、一ノ瀬。
たぶん、季節ごとに髪型や色を変えているし。
服装はなんか雑誌に載ってそうなヤツ。
どっかのブランドとか、そういうの。
女子受けが良いヤツとか。
バイト、夕方は忙しいけど、そんなでもないから、ずっと一ノ瀬のこと、考えてる。
一緒のシフトになった七海は、まだ高校生。
一ノ瀬と一緒に来たところを見て、似合わないと言われた。
タイプが違うとか。
どうせ俺は陰キャなタイプですから。
っていうか、高校生の七海に人として以外に好かれようとは思わない。
一緒にバイトして楽だな~とか、頼りになるな~とか、その程度で十分だ。
「いいな~大学生の彼氏ほしい」
すれ違うたびに言われるんだけど。
「紹介はできません」
そう言うと、肘で脇腹を押された。
「あの人は無理だから別に良いよ。顔、良すぎて落ち着かないし」
「そういうもん?」
「人による」
なるほど。
でもやっぱ女子高生から見ても、一ノ瀬はイケメンなのか。
「ウチの大学、レベル高いから、受験、頑張ってみたら良いよ」
「知ってる、でも女子のレベルも高いんだよ。半端ないよ。イイ女のいるところにはイイ男も集まるんだよ。その点、真夜くんは引き立て役バッチリだね」
親指を立てられ、突き出される。
……ええ、どうせそうでしょうよ。
「あー気分悪い。裏行って在庫管理やって来て」
しっしと手で示すと、いーーーってされた。
七海が休憩室に入って行くと、自動ドアの開く音がする。
見ると、一ノ瀬だった。
品出し中の俺の横に来て、肩をぶつけて来る。
「マジストーカー」
「あと30分くらいだろ」
「……そうだけど」
ちらりとバックヤードへ続く入り口を見る。七海はまだ出て来ない。
「仲良いね」
「七海? 別にふつう」
一ノ瀬の態度が悪い。すげえ睨んで来る。
「俺のだから」
耳元で言われる。
背中がゾクッとした。
「もう、仕事中!」
背中を押す。自動ドアの方へ。
「待ってる」
はいはいと手を振る。
一ノ瀬が自動ドアを潜るタイミングで、奥から七海が出て来た。
やっぱカッコいいね、あの人とか言われる。
俺のだから。
言われた言葉が思い出されて、頬が熱くなった。
始まる時間、というか、時間ギリギリまで一緒にいて、コンビニの前で別れた、が正解。
だらだら話をして、話しの合間にキスして。
寝不足だから一緒に寝て。
ふつーの男同士の付き合いに、キスを加えた程度の関係。
そんな、悪くない。
思ったより、良いっていうか、煩わしくないと言うか。
話し方もゆったりしてるし、俺が話すタイミングとスピードを待ってくれる。
それがとても自然というか。
大学での一ノ瀬はやっぱり違う。
大学で話したのは、この前の講義中が初めてで、比べることはできないけど。
でもいつも笑ってる。
仲間の中で、輪の中で。
そういうイメージ。
チャラいんだよな、一ノ瀬。
たぶん、季節ごとに髪型や色を変えているし。
服装はなんか雑誌に載ってそうなヤツ。
どっかのブランドとか、そういうの。
女子受けが良いヤツとか。
バイト、夕方は忙しいけど、そんなでもないから、ずっと一ノ瀬のこと、考えてる。
一緒のシフトになった七海は、まだ高校生。
一ノ瀬と一緒に来たところを見て、似合わないと言われた。
タイプが違うとか。
どうせ俺は陰キャなタイプですから。
っていうか、高校生の七海に人として以外に好かれようとは思わない。
一緒にバイトして楽だな~とか、頼りになるな~とか、その程度で十分だ。
「いいな~大学生の彼氏ほしい」
すれ違うたびに言われるんだけど。
「紹介はできません」
そう言うと、肘で脇腹を押された。
「あの人は無理だから別に良いよ。顔、良すぎて落ち着かないし」
「そういうもん?」
「人による」
なるほど。
でもやっぱ女子高生から見ても、一ノ瀬はイケメンなのか。
「ウチの大学、レベル高いから、受験、頑張ってみたら良いよ」
「知ってる、でも女子のレベルも高いんだよ。半端ないよ。イイ女のいるところにはイイ男も集まるんだよ。その点、真夜くんは引き立て役バッチリだね」
親指を立てられ、突き出される。
……ええ、どうせそうでしょうよ。
「あー気分悪い。裏行って在庫管理やって来て」
しっしと手で示すと、いーーーってされた。
七海が休憩室に入って行くと、自動ドアの開く音がする。
見ると、一ノ瀬だった。
品出し中の俺の横に来て、肩をぶつけて来る。
「マジストーカー」
「あと30分くらいだろ」
「……そうだけど」
ちらりとバックヤードへ続く入り口を見る。七海はまだ出て来ない。
「仲良いね」
「七海? 別にふつう」
一ノ瀬の態度が悪い。すげえ睨んで来る。
「俺のだから」
耳元で言われる。
背中がゾクッとした。
「もう、仕事中!」
背中を押す。自動ドアの方へ。
「待ってる」
はいはいと手を振る。
一ノ瀬が自動ドアを潜るタイミングで、奥から七海が出て来た。
やっぱカッコいいね、あの人とか言われる。
俺のだから。
言われた言葉が思い出されて、頬が熱くなった。
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