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深夜2時、バイトを終えて外に出ると、一ノ瀬がいる。
「本気でストーカーだろ。しかも飲んでる」
「あれ? わかった?」
「酒くせえよ」
一緒に並んで歩く。
これってお持ち帰りコースなのか?
足を止める。
「ウチ来る気か?」
「うん」
肩を組まれる。体温が暑苦しい。
「俺は、これから風呂入って、飲んで、寝るの」
コンビニの袋を見せる。
ビール2本。一ノ瀬の分はない。
「俺と寝よう?」
一ノ瀬の視線が熱い。発情してる。
頭が痛い。
「今ヤッたら、一回きりかセフレになるだろ? 顔合わせるの気まずくなるし」
「気にする?」
「するだろ」
っていうか、本気とか言ってたのは何なんだ? 結局、ヤれれば誰だって良いんじゃないのか?
散々、悩んでる間、一ノ瀬は俺の肩に腕を乗せて待ってた。じっと横顔を見られてて、変にドキドキするし。
「……わかった。ヤらせてくれるなら良いよ」
ヤらせないだろ。一ノ瀬はタチだ。可愛い子が似合う。
一ノ瀬が笑う。笑って、熱い視線を向けて来る。
「いいよ」
「は? ヤれるの?」
「ヤれるよ。っていうか、おまえ、できるの?」
一ノ瀬相手に。
できるよ。むしろ好みだ。
タチをネコにするの、難しい。
プライドが高いヤツが多い。
俺はそういうヤツが好きではない。
いっしょだろと思うから。気持ちいいの、全部共有できる相手はいない。今までに出会ったことがない。
手を引く。
一ノ瀬を抱く。
いつもカーストトップに立ちながら、それが当然であると周りに興味も示さない男が、俺の手で乱れる。
息が上がる。
興奮する。
古いアパートの外階段を上る。
壁の薄いボロアパート。
でもそんなのどうでも良い。
部屋の中に引き入れて、壁に背を押しつけて、キスをする。荒々しい口付けに、一ノ瀬は黙って応えてくれている。
「……真夜、勃ってる」
「すげえ興奮する」
Tシャツに手を入れて、程よくついた筋肉の手触りを楽しむ。割れた腹筋と筋。思ったよりも細い腰。
「風呂、良いよ、俺、飲みたい」
「ん」
面倒な処理の為の時間。お互いに。
古いアパートの浴室は狭い。
広い浴室だったら一緒にっていうのもできたけど、とりあえず、興奮しすぎの自分に冷却時間が欲しかったのも本当。
ビールのプルタブを開けて、シャワー音が聞こえて来て、ああと思う。
本気でヤるのか? 一ノ瀬と?
抱きたい、けど、一ノ瀬のプライドを折ってまでしようとは思わない。
自分の価値がそれほどでもないと知っている。
何でかなと思う。
出会った時はあれほど嫌だったのに。
今は抱きたいと思っている。
一ノ瀬の普通さが意外すぎて。
本気でストーカー化している一ノ瀬が不思議で、そこに嘘は見えないから余計に、絆された。
「お先に」
ビールを奪われて、飲まれる。
後ろを見ると、腰にタオル一枚の一ノ瀬がいる。
立ち上がり、一ノ瀬にキスをする。
交代で風呂に行く。
本気でヤる気だ。
一ノ瀬の態度全部が俺を本気にさせている。
「本気でストーカーだろ。しかも飲んでる」
「あれ? わかった?」
「酒くせえよ」
一緒に並んで歩く。
これってお持ち帰りコースなのか?
足を止める。
「ウチ来る気か?」
「うん」
肩を組まれる。体温が暑苦しい。
「俺は、これから風呂入って、飲んで、寝るの」
コンビニの袋を見せる。
ビール2本。一ノ瀬の分はない。
「俺と寝よう?」
一ノ瀬の視線が熱い。発情してる。
頭が痛い。
「今ヤッたら、一回きりかセフレになるだろ? 顔合わせるの気まずくなるし」
「気にする?」
「するだろ」
っていうか、本気とか言ってたのは何なんだ? 結局、ヤれれば誰だって良いんじゃないのか?
散々、悩んでる間、一ノ瀬は俺の肩に腕を乗せて待ってた。じっと横顔を見られてて、変にドキドキするし。
「……わかった。ヤらせてくれるなら良いよ」
ヤらせないだろ。一ノ瀬はタチだ。可愛い子が似合う。
一ノ瀬が笑う。笑って、熱い視線を向けて来る。
「いいよ」
「は? ヤれるの?」
「ヤれるよ。っていうか、おまえ、できるの?」
一ノ瀬相手に。
できるよ。むしろ好みだ。
タチをネコにするの、難しい。
プライドが高いヤツが多い。
俺はそういうヤツが好きではない。
いっしょだろと思うから。気持ちいいの、全部共有できる相手はいない。今までに出会ったことがない。
手を引く。
一ノ瀬を抱く。
いつもカーストトップに立ちながら、それが当然であると周りに興味も示さない男が、俺の手で乱れる。
息が上がる。
興奮する。
古いアパートの外階段を上る。
壁の薄いボロアパート。
でもそんなのどうでも良い。
部屋の中に引き入れて、壁に背を押しつけて、キスをする。荒々しい口付けに、一ノ瀬は黙って応えてくれている。
「……真夜、勃ってる」
「すげえ興奮する」
Tシャツに手を入れて、程よくついた筋肉の手触りを楽しむ。割れた腹筋と筋。思ったよりも細い腰。
「風呂、良いよ、俺、飲みたい」
「ん」
面倒な処理の為の時間。お互いに。
古いアパートの浴室は狭い。
広い浴室だったら一緒にっていうのもできたけど、とりあえず、興奮しすぎの自分に冷却時間が欲しかったのも本当。
ビールのプルタブを開けて、シャワー音が聞こえて来て、ああと思う。
本気でヤるのか? 一ノ瀬と?
抱きたい、けど、一ノ瀬のプライドを折ってまでしようとは思わない。
自分の価値がそれほどでもないと知っている。
何でかなと思う。
出会った時はあれほど嫌だったのに。
今は抱きたいと思っている。
一ノ瀬の普通さが意外すぎて。
本気でストーカー化している一ノ瀬が不思議で、そこに嘘は見えないから余計に、絆された。
「お先に」
ビールを奪われて、飲まれる。
後ろを見ると、腰にタオル一枚の一ノ瀬がいる。
立ち上がり、一ノ瀬にキスをする。
交代で風呂に行く。
本気でヤる気だ。
一ノ瀬の態度全部が俺を本気にさせている。
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