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番外編

子作りについて 2

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 僕は階段を駆け上がって、自室に入ると、エリルとジルの存在なんて忘れたように、ベッドにうつぶせて泣いた。
 エリルとジルは驚いて部屋を出て行って、代わりにヴィが来た。

「話を聞いたのか?」

 ヴィは僕のベッドに座って、僕の背中を撫でて来る。

「僕が子どもを欲しがったらダメなの? 幼いから?」

 ヴィのため息が聞こえて、ビクッてなった。

「違うよ、そういう意味じゃない。俺がメイの可愛いところが好きで、まだふたりでいたいだけだ」

「うそ」

 僕はベッドに突っ伏したまま、ヴィの手を避けるように窓際に体をずらした。

「僕じゃちゃんと育てられないから? それとも頼りないから?」

「違うから、起きてこっち見て」

 手を引かれ、ベッドの上に座ってヴィと向き合う。両手を繋がれて、視線を合わせた。

「ただ、俺に覚悟が足りないだけだ。メイが悪いんじゃない」

「どういうこと?」

「顔、見られたくないから」

 そう言ったヴィは僕を抱き寄せた。
 肩にヴィの顔があるから、耳に息づかいまで聞こえる。でも表情は見えない。
 覚悟を決めたのか、大きく息を吐き、話してくれた。

「遺伝子は子種の方が強く出る。だから俺が子を宿した方が、希少種のメイの遺伝子を強く残せる。わかるか?」

 僕はヴィに抱き込まれたまま考える。わかるけど、わからない。

「僕は子どもをお腹の中に宿したいよ?」

 ヴィから体を離して、自分のお腹に手を当てた。

「メイ?」

「あのね、父さまが赤ちゃんを抱っこしているのを見て、いいなって思った。父さまが産んだ子ではないけど、すごく優しい顔で、大好きだよってわかった」

 僕はヴィを見て笑う。ヴィの手を取って、自分のお腹に当てた。

「遺伝子とか、良くわからない。でも僕はここにヴィの子を宿して、大好きだよって赤ちゃんの一番近くにいたいよ」

 ヴィは目をすがめ、泣きそうな顔になると、もう一度僕を抱きしめた。

「ありがとうメイ。愛してる」

「僕も大好きだよ」

 ヴィがキスをしてくれる。
 最近、ヴィとキスをすると、お腹の下の方がムズムズする。でも恥ずかしいからヴィには内緒にしてる。


おわり

ありがとうございました
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