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本編
2 将来のこと
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父さまは、街の役所で会計の仕事をしている。定時に出て定時に帰って来て、一定の給料を貰って来る。父親としてはとても良いとは思うけど、すごい、憧れるってことはない。と思っていた。
「えええ? 父さまってあの騎士さまと知り合いだったの?」
僕は15歳になった。
騎士さまに憧れて、学術と剣術の学校で勉学に励み、理想の体躯を手に入れる為に頑張った。成績はまぁそこそこ。想像では首席! 最優秀! って思ってたけど現実は厳しい。
「あの子は役所の側にある孤児院にいた子だよ。名前は確か……リフィエル、リフィと呼ばれていたよ」
「リフィエル、さま」
あの時もらったネックレスは今も僕の胸にある。定期的に洗浄する以外は片時も外さず身に付けている。
「強くなりたいと言うから、国境の門兵の仕事を紹介したんだが、まさか銀獅子部隊にまで出世しているとは思わなかった」
「すごいね! どこに行ったら会えるかな? まずは国の騎士養成学校に通うのが早いかな?」
気持ちが逸る。早くあの人に会ってネックレスのお礼が言いたいし、あの筋肉を間近で見たい。
「……そのことなんだが」
父さまが不穏な空気を出して来た。なんだよ、怖いよ。
「国の騎士養成学校は殆どが貴族なんだ。庶民が通うとなると、強力な後ろ盾を持っているか、相当な素質を持っているかが必要になる。残念だがメイ、ウチにはそんな後ろ盾はない」
ああ、そうだよね。父さまに優秀な騎士の知り合いがいても、勤勉で優しいいい人だとしても、庶民は庶民。それ以外になれるような資金も功績もない。
「そんなの父さまのせいじゃないよ。僕が優秀じゃないから仕方ない。でもそっか。国の騎士養成学校には行けないんだね」
ふうむと考える。でも確かにそうだ。僕は筋肉が好きであって、この国の為とか、大きな志とか一切ない。そんな邪な僕が騎士を目指すなんてあってはいけないことだった。
「わかった。僕も門兵になるよ。父さま、僕に門のお仕事を紹介してください」
僕がそう言うと、父さまはしゅんとする。えええ? 何か落ち込ませるようなこと、言ったかな?
「メイ、父はまだメイと暮らしたいよ。そんなに早く大人にならないでくれ」
そうだった。僕は父さまと二人暮らしだった。僕が家を出れば父さまが一人になってしまう。
母親は生まれた時からいない。父さまと僕に血の繋がりはない。僕は誰から生まれたのかも知らない拾い子だった。その話は近所の人の噂話から知った。最初はショックを受けたけど、父さまは愛情いっぱいで僕を育ててくれているし、何も不自由をしたこともない。だから感謝してる。
「メイがいなくなると思うと……。父はこの先どうやって生きて行けば良い?」
泣き出しそうな父さま。ちょっとかわいそう。
「そうだ! 二人で引っ越せば良いんじゃない? 父さまもここにこだわる必要ないと思うけど」
安いアパートの二階角部屋。何のしがらみもない土地。ただ父さまの職場に近いってだけで住んでいる。
「なるほど名案だ。まずはメイの就職先を探して、その近くに引っ越せば良いな」
「うん、そうしよう」
とても名案だ。いずれ僕は家を出る。その時までに父さまにイイヒトが出来ていれば良い。長く住んでいるこのボロアパートの近くに父さまのイイヒトは見当たらないから、いっそ場所をかえて出会いを求める方が良い。一石二鳥だ! と僕は密かに思っていた。
「えええ? 父さまってあの騎士さまと知り合いだったの?」
僕は15歳になった。
騎士さまに憧れて、学術と剣術の学校で勉学に励み、理想の体躯を手に入れる為に頑張った。成績はまぁそこそこ。想像では首席! 最優秀! って思ってたけど現実は厳しい。
「あの子は役所の側にある孤児院にいた子だよ。名前は確か……リフィエル、リフィと呼ばれていたよ」
「リフィエル、さま」
あの時もらったネックレスは今も僕の胸にある。定期的に洗浄する以外は片時も外さず身に付けている。
「強くなりたいと言うから、国境の門兵の仕事を紹介したんだが、まさか銀獅子部隊にまで出世しているとは思わなかった」
「すごいね! どこに行ったら会えるかな? まずは国の騎士養成学校に通うのが早いかな?」
気持ちが逸る。早くあの人に会ってネックレスのお礼が言いたいし、あの筋肉を間近で見たい。
「……そのことなんだが」
父さまが不穏な空気を出して来た。なんだよ、怖いよ。
「国の騎士養成学校は殆どが貴族なんだ。庶民が通うとなると、強力な後ろ盾を持っているか、相当な素質を持っているかが必要になる。残念だがメイ、ウチにはそんな後ろ盾はない」
ああ、そうだよね。父さまに優秀な騎士の知り合いがいても、勤勉で優しいいい人だとしても、庶民は庶民。それ以外になれるような資金も功績もない。
「そんなの父さまのせいじゃないよ。僕が優秀じゃないから仕方ない。でもそっか。国の騎士養成学校には行けないんだね」
ふうむと考える。でも確かにそうだ。僕は筋肉が好きであって、この国の為とか、大きな志とか一切ない。そんな邪な僕が騎士を目指すなんてあってはいけないことだった。
「わかった。僕も門兵になるよ。父さま、僕に門のお仕事を紹介してください」
僕がそう言うと、父さまはしゅんとする。えええ? 何か落ち込ませるようなこと、言ったかな?
「メイ、父はまだメイと暮らしたいよ。そんなに早く大人にならないでくれ」
そうだった。僕は父さまと二人暮らしだった。僕が家を出れば父さまが一人になってしまう。
母親は生まれた時からいない。父さまと僕に血の繋がりはない。僕は誰から生まれたのかも知らない拾い子だった。その話は近所の人の噂話から知った。最初はショックを受けたけど、父さまは愛情いっぱいで僕を育ててくれているし、何も不自由をしたこともない。だから感謝してる。
「メイがいなくなると思うと……。父はこの先どうやって生きて行けば良い?」
泣き出しそうな父さま。ちょっとかわいそう。
「そうだ! 二人で引っ越せば良いんじゃない? 父さまもここにこだわる必要ないと思うけど」
安いアパートの二階角部屋。何のしがらみもない土地。ただ父さまの職場に近いってだけで住んでいる。
「なるほど名案だ。まずはメイの就職先を探して、その近くに引っ越せば良いな」
「うん、そうしよう」
とても名案だ。いずれ僕は家を出る。その時までに父さまにイイヒトが出来ていれば良い。長く住んでいるこのボロアパートの近くに父さまのイイヒトは見当たらないから、いっそ場所をかえて出会いを求める方が良い。一石二鳥だ! と僕は密かに思っていた。
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