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1章

7 付き合い方の考慮

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 ここは大人ぶった年上を演出するか、仲の良い兄弟を目指す為に普段を見せるか、悩む所だと、夕食として作った魚のフライとサラダと付け合わせの根菜の煮物、味噌汁を前に悩んでいる。ネコ科と知って魚にしたのだが、獣人はすでに人と同じ生活をして長い。玉ねぎも甘い物も辛い物も食べる。ただ好みはあるのだろう。

「熱いのダメ?」

 味噌汁をふーふーしてるのも可愛いと思わず笑ってしまったら、食べるのを諦めてしまった。ごめん。

「ごめんなさい」

 しゅんと耳があれば垂れていそうな表情をして、サラダを口に運んでいる。

「元は何の種族?」

 ネコ科だ。猫か虎かライオンか。種族によって大きく違う。

「ミックスです」

「猫?」

 それはそれで可愛い。

「いえ、黒豹の系統が強く出ていますが、いろんな種族の混血です……人も」

 そうだよね、と志津木は額を押さえた。希少種の獣人が数百年に渡り生き永らえて来たのだ。同種で繁殖など無理な話で、いくら人と交わる事で子どもが出来にくいと言っても、出来ない訳じゃない。

「質問が酷だったね、ごめん」

「いえ、大丈夫です」

 食べるのが異常に遅い。一切口に入れてはフォークを置き、視線を下げて咀嚼して、飲み込んで志津木の様子を伺う。じっと見て、何か判断して、またフォークを持つを繰り返している。まるで幼い子だ。親の機嫌を伺う子ども。そう思い、自分の食事に同席させる事の罪深さを知る。家族なら普通の行動が、獣人には苦行になる。次からは自室に用意してあげようと思う。せめて今は席を外すべきかと、志津木は皿をそのままにして、風呂へ行くと席を立った。

「好きに食べていて良いよ、片付けもしなくて良い。食べ終わったら自室に戻ってシャワーを浴びて、寝る服に着替えてソファで待機だ、わかった?」

「はい」

 志津木が席を立った為か、ニアも席を立ってキチンと体を志津木に向けて頷いて見せた。奥の部屋に志津木が向かうのを見送ってから、椅子に座り、さっきとはまるで違うスピードで掻き込み始めた。腹が減っていたのだろう。食事は口に合ったようだ。ただ志津木に遠慮していた。なるほど、お互いの在り方を学んで行かなければならない。

 志津木の私室内にあるバスルームで座り込む。本気で可愛いのだ。何日経てば慣れる? あれは毒だ。慣れたら酷く扱ってしまいそうな予感と、そうはならないという自尊心が闘っている。いや、どうせもうすぐ仕事が入る。ニアを連れて行くべきか、ゴードンにお願いするべきか、次の仕事が舞い込む前に決めなければならない。
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