王子なのに戦場の聖域で好き勝手ヤってたら獣人に飼われました

4・獣人国余暇

　獣人のテント内には、暇を持て余す兵たちが、隊長であるイシュを中心に集い、酒を飲んでいる。彼らは夜行性の者が多い為、他国の軍よりも楽に任務に当たっている。

「隊長そろそろ飽きませんか？」

　熊の獣人は飽き飽きしたという態度で息を吐く。

「3日に一度は行って、しかも同じ相手だ、すっげーいいんだろ？」

　ハイエナの獣人が卑下た笑みを見せた。

「あれは格別だ」

　イシュが思い出すような表情でそう言えば、奥にいた虎の獣人が苦笑する。

「他国の王子を好き勝手に抱き、虜にさせる悦びはわかるが、深入りしすぎるな」

「まだ獣の姿で抱いたことはないからな。いつか 聖域エール以外で会う事があれば、逃さぬつもりだ」

「それは国家間の争いになる。俺はそれでもかまわねえけど」

　ハイエナが暗い笑みを漏らすと、イシュは頬を引き上げて笑む。
　イシュの笑みを受け、虎が喉で笑う。

「やめておけ、お前の欲に国の者が傷つくのは許せん。まあ、合法的に連れ去ると言うのなら、王位を譲る条件で請け負ってやっても良いが？」

「あれはもう逃げられん。俺の熱を何度も受ければ忘れられるはずもない。後宮に住まわすくらいは可能だろ？」

「おまえ、他国の王子を囲う気か？」

「いっそ喰いたいくらいには気に入っているからな。そばに置くのも悪くない」

　王者の風格に誰もが黙る。

　イシュが言い出したら聞かない、我儘が許される立場であることは誰もが知るところだ。

　狙われた相手を不憫に思う兵たちだった。