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33 宴会
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竜族の宴会は海の見える浜辺に設られた、満天の星の元、篝火を焚いてのもので、広いラグの上に座椅子のような物やクッションを置いての寝転びスタイルで集う、なんともゆったりしたものとなっていた。
すでに宴会は始まっている。中央奥の席が上座に当たるのだろう。目の前にいっぱい飲み物や食べ物が置いてあって、給仕が側に付いている。背後には等間隔で警備兵が周辺を警戒して立っているし、楽しげな宴会なのに物々しい雰囲気もあった。
近づいて行けばすぐに案内の者が来て配慮をしてくれる。ハーツの存在を最上礼で受け入れ、ハーツが通り過ぎると元の雰囲気に戻る。
「よく来てくれたハーツェリンド殿下」
「勝手な申し出を受け入れて頂きありがとうございます、サザリンド辺境伯」
ハーツはサザリンドの前に膝をつき、挨拶をしたので、紘伊は少し下がった位置で膝をついた。
「本当に何の影響もないようだな」
サザリンドが紘伊を見る。その眼差しが怖く見えて顔を伏せたけど、ハーツが気遣うように振り返って小さく笑んでくれたから落ち着く。
「不敬に当たるようでしたら下がります」
ハーツに小声で伝える。それがサザリンドに伝わったようで、大きく豪快に笑い飛ばされてしまった。少々呆気に取られて見つめてしまったが、俯いて言葉を待った。
「婚約者と聞いたが、契約はまだなのだろう?」
「そうですね」
ハーツが答える。
「それなのに我らの気に当てられもせず、我を見つめ返すとは」
「失礼しました」
ハーツが膝をついて対応する相手だ。竜は千年生きると聞いたし、サザリンドはハーツよりも身分が高いのだろう。
「いや、謝る必要はない。ハーツの婚約者であればそれくらいの気丈さが無ければ務まらんであろう。ただ気分が悪くなるやもしれん、早めに切り上げた方が良かろう。もし気が向いたらで良いが、我が伴侶と会ってはくれまいか。あヤツはまだ我が種族に慣れんでな、日々憂鬱に暮らしておる」
「私でよろしければぜひお話しさせてください」
そう言って礼をするとサザリンドが機嫌良さげに笑った。ホッとする。ハーツに迷惑がかかるのが一番嫌だ。紘伊の存在が獅子族の不名誉に繋がるのも。
ハーツが移動をしてサザリンドの隣に座する。その横に座って乾杯の杯を受けた。緊張は解けない。竜族の部下たちの意識がハーツに向いているからだ。普通ならもっと従者を伴って来るべき場所だ。それをハーツは警護に2名を伴ってしかいない。気を許した相手だと示す為だろうが、紘伊は気が気ではない。
「酒はあまり飲むな、腹が膨れたら教えてくれ。サザリンドの伴侶の場所へ案内させる」
ハーツが耳打ちをしてくれる。それにうんと頷き返し、給餌が取り分けてくれた食事を取る。それからは周りが獣人語になる。聞き取れない言語の間でとりあえず食べようとフォークを手にした。
海辺だから魚介類の料理が多い。スパイスが効いた魚の唐揚げとか貝のスープとか、少し濃い味付けだけど美味しく感じる。でもこれが人の為に作られた特別な料理だと言う事が、竜族の食べる豪快な肉料理との違いで分かる。ハーツもそちらの料理を口にしている。竜族のはからいかと思えば嬉しく感じた。
すでに宴会は始まっている。中央奥の席が上座に当たるのだろう。目の前にいっぱい飲み物や食べ物が置いてあって、給仕が側に付いている。背後には等間隔で警備兵が周辺を警戒して立っているし、楽しげな宴会なのに物々しい雰囲気もあった。
近づいて行けばすぐに案内の者が来て配慮をしてくれる。ハーツの存在を最上礼で受け入れ、ハーツが通り過ぎると元の雰囲気に戻る。
「よく来てくれたハーツェリンド殿下」
「勝手な申し出を受け入れて頂きありがとうございます、サザリンド辺境伯」
ハーツはサザリンドの前に膝をつき、挨拶をしたので、紘伊は少し下がった位置で膝をついた。
「本当に何の影響もないようだな」
サザリンドが紘伊を見る。その眼差しが怖く見えて顔を伏せたけど、ハーツが気遣うように振り返って小さく笑んでくれたから落ち着く。
「不敬に当たるようでしたら下がります」
ハーツに小声で伝える。それがサザリンドに伝わったようで、大きく豪快に笑い飛ばされてしまった。少々呆気に取られて見つめてしまったが、俯いて言葉を待った。
「婚約者と聞いたが、契約はまだなのだろう?」
「そうですね」
ハーツが答える。
「それなのに我らの気に当てられもせず、我を見つめ返すとは」
「失礼しました」
ハーツが膝をついて対応する相手だ。竜は千年生きると聞いたし、サザリンドはハーツよりも身分が高いのだろう。
「いや、謝る必要はない。ハーツの婚約者であればそれくらいの気丈さが無ければ務まらんであろう。ただ気分が悪くなるやもしれん、早めに切り上げた方が良かろう。もし気が向いたらで良いが、我が伴侶と会ってはくれまいか。あヤツはまだ我が種族に慣れんでな、日々憂鬱に暮らしておる」
「私でよろしければぜひお話しさせてください」
そう言って礼をするとサザリンドが機嫌良さげに笑った。ホッとする。ハーツに迷惑がかかるのが一番嫌だ。紘伊の存在が獅子族の不名誉に繋がるのも。
ハーツが移動をしてサザリンドの隣に座する。その横に座って乾杯の杯を受けた。緊張は解けない。竜族の部下たちの意識がハーツに向いているからだ。普通ならもっと従者を伴って来るべき場所だ。それをハーツは警護に2名を伴ってしかいない。気を許した相手だと示す為だろうが、紘伊は気が気ではない。
「酒はあまり飲むな、腹が膨れたら教えてくれ。サザリンドの伴侶の場所へ案内させる」
ハーツが耳打ちをしてくれる。それにうんと頷き返し、給餌が取り分けてくれた食事を取る。それからは周りが獣人語になる。聞き取れない言語の間でとりあえず食べようとフォークを手にした。
海辺だから魚介類の料理が多い。スパイスが効いた魚の唐揚げとか貝のスープとか、少し濃い味付けだけど美味しく感じる。でもこれが人の為に作られた特別な料理だと言う事が、竜族の食べる豪快な肉料理との違いで分かる。ハーツもそちらの料理を口にしている。竜族のはからいかと思えば嬉しく感じた。
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