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【3】復帰

12・レティウスの所へ

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「次元が違う」

 ギルバートはユーリを竜王のいる場所に連れて行った。だがギルバートは同席しない。これはもう人の関わる問題ではないと、関わらないことで示した。

「次元ってなに?」

 竜王はいつもの場所に存在している。何もない、ただの空間だ。

「おまえがいるこの場所は私が作り出した次元の一部だ。他の干渉のない別の場所ということになる。同時に、魔の者たちも別の次元を形成している。人の世に干渉せず、独自の世界を創り、独自の理の中にある」

 ユーリは、竜王の力で引き寄せられ、竜王の胴に座らせられ、半身人型の両腕に包まれている。

「もう良いではないか」

 竜王はユーリの頬に口づけをして、髪を撫でて甘やかした。
 ユーリは竜王を見上げ、その愛しむような眼差しに包まれたが、レティウスを諦める気にはなれなかった。

「レティウスのところに行きたい」

 つぶやけば、竜王はユーリの顎を持ち上げて、長い舌でユーリの唇をなめた。

「魔王に望まれ、魔の領域に連れて行かれたのだ。もうユーリの元には戻れないだろう。どのような状態にさせられているのかもわからない。力を抑えられ、このように腕に抱かれ、身動きも取れない状態にさせられる。……その先はわかるな? ユーリはこうして逃れれもするが、相手は魔王だ。逃れられる筈がない」

 竜王は、口を開こうとしないユーリに口づけを求めることをやめ、胴の上のユーリを下におろしてくれた。

「レティウスがどんな状態かなんて関係ないよ。会って話をしたい。魔王がいるっていうのなら、魔王に会ってレティウスを返してもらうよ」

 竜王はじっとユーリを見詰め、ユーリが言うことを聞かないのだと諦めた。

「わかった。私の力の及ばぬ場所へ押し上げてやろう。だが忘れるな、レティウスを選んだそなたは、もう二度とこの竜王の次元には戻れぬ。その覚悟があるんだな?」

 ユーリは竜王の胴に抱きついた。

「竜王さまのお気持ちはすごく有難いです。でもごめんなさい。レティウスがいないと、ダメなんです」

 視界が歪む。
 竜王の姿が消えて行く。
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