18 / 49
【1】追放
18・結果 2
しおりを挟む
お互いの想いはすれ違ったまま。
でもひたすら相手を求め、抱き合い続けた。
一方通行の想いでも、温かな体に包まれていれば、その存在を感じて安堵する。
さんざん抱かれ、想いをぶつけられ、血の飢えと泣かされ疲れた体を抱きかかえられ、湯殿へ連れて行かれた。
湯殿で後ろから抱き締められ、大事なものだと言わんばかりに頬を寄せられ、言葉もなく、ただ存在を確かめられた。
ソファでも後ろから抱き締められ、髪を乾かされた。
いつもの通りの時間が戻って来たが、心の中の怯えはぬぐえない。
レティウスがユーリを見限れば、孤独の死がやって来る。それはユーリにとって最悪な死だった。
怯えを隠すように体勢を変え、レティウスに抱き着く。胸に頬を寄せ、ただそうしている。
レティウスもまた、ユーリの頭に頬を寄せ、背中に手を回してゆるく抱き締めている。
「ごめんなさい」
レティウスを怒らせる気など欠片もなかった。
「いえ、私の方こそ、大人げない態度でした、許してください」
「違うんだ!」
ユーリは顔を上げてレティウスを見る。銀の瞳がユーリを見たが、いつもの愛おしそうにしてくれる気配はない。大人の対応で接していてくれるだけで、失った信頼を取り戻せていないとわかる。
ユーリは混乱してレティウスの唇に唇を重ね、強引に舌を割り込ませた。それは飢えだった。愛して欲しいという飢え。飢えは必要以上にレティウスを求めてしまう。
「ごめんなさい、許して……」
何度も口にしながら、レティウスを抱きしめる。体が震えていた。感情が馬鹿になっている。涙が止まらない。
こんな弱い自分は嫌だと思いながら、レティウスを求め、飢えで狂う。
「いいえ、ユーリは悪くありません。もう二度とこんなことをしないと誓いますから、大丈夫、大丈夫ですから」
抱かれるだけではぬぐえない何か。抱き締められるだけでは足りない何か。
命を繋ぎさえすれば感じずに済む飢えだと思っていたのに、命を繋いだせいで大きくなった飢え。
「愛して欲しい、レティ、傍にいて、離さないで」
「大丈夫ですから、安心してください。ずっとユーリの傍にいますよ。離れません」
ユーリを慰めるための言葉を紡いだレティウスだったが、心から愛することができなくなっていた。
いまでも愛しい存在ではある。でも心から信頼できる相手ではなくなってしまった。
命を繋いでしまったから、7日に一度、口づけをしなければならない。求められれば抱き合わなければならない。ユーリの為に、ただそれだけの為に。
「竜騎士になることも、受け入れますよ、ユーリ。あなたの好きなようにしてください」
ユーリは竜騎士になるという意味を正確に把握した。
レティウスの言葉は、ユーリの愛人になることを受け入れた、ということになる。
ユーリは涙を流しながらレティウスに抱き着き、凍る感情を隠した。
たったひとつの間違いが取り返しのつかない結果を呼んだ。
否定して欲しかった。ユーリの一番でいたいと言って欲しかった。だから竜騎士は許さないと言って欲しかったのに……。気持ちが大きく離れてしまったことに気づき、泣いた。
レティウスに離れられない運命を背負わせてしまった自身を責めた。
でもひたすら相手を求め、抱き合い続けた。
一方通行の想いでも、温かな体に包まれていれば、その存在を感じて安堵する。
さんざん抱かれ、想いをぶつけられ、血の飢えと泣かされ疲れた体を抱きかかえられ、湯殿へ連れて行かれた。
湯殿で後ろから抱き締められ、大事なものだと言わんばかりに頬を寄せられ、言葉もなく、ただ存在を確かめられた。
ソファでも後ろから抱き締められ、髪を乾かされた。
いつもの通りの時間が戻って来たが、心の中の怯えはぬぐえない。
レティウスがユーリを見限れば、孤独の死がやって来る。それはユーリにとって最悪な死だった。
怯えを隠すように体勢を変え、レティウスに抱き着く。胸に頬を寄せ、ただそうしている。
レティウスもまた、ユーリの頭に頬を寄せ、背中に手を回してゆるく抱き締めている。
「ごめんなさい」
レティウスを怒らせる気など欠片もなかった。
「いえ、私の方こそ、大人げない態度でした、許してください」
「違うんだ!」
ユーリは顔を上げてレティウスを見る。銀の瞳がユーリを見たが、いつもの愛おしそうにしてくれる気配はない。大人の対応で接していてくれるだけで、失った信頼を取り戻せていないとわかる。
ユーリは混乱してレティウスの唇に唇を重ね、強引に舌を割り込ませた。それは飢えだった。愛して欲しいという飢え。飢えは必要以上にレティウスを求めてしまう。
「ごめんなさい、許して……」
何度も口にしながら、レティウスを抱きしめる。体が震えていた。感情が馬鹿になっている。涙が止まらない。
こんな弱い自分は嫌だと思いながら、レティウスを求め、飢えで狂う。
「いいえ、ユーリは悪くありません。もう二度とこんなことをしないと誓いますから、大丈夫、大丈夫ですから」
抱かれるだけではぬぐえない何か。抱き締められるだけでは足りない何か。
命を繋ぎさえすれば感じずに済む飢えだと思っていたのに、命を繋いだせいで大きくなった飢え。
「愛して欲しい、レティ、傍にいて、離さないで」
「大丈夫ですから、安心してください。ずっとユーリの傍にいますよ。離れません」
ユーリを慰めるための言葉を紡いだレティウスだったが、心から愛することができなくなっていた。
いまでも愛しい存在ではある。でも心から信頼できる相手ではなくなってしまった。
命を繋いでしまったから、7日に一度、口づけをしなければならない。求められれば抱き合わなければならない。ユーリの為に、ただそれだけの為に。
「竜騎士になることも、受け入れますよ、ユーリ。あなたの好きなようにしてください」
ユーリは竜騎士になるという意味を正確に把握した。
レティウスの言葉は、ユーリの愛人になることを受け入れた、ということになる。
ユーリは涙を流しながらレティウスに抱き着き、凍る感情を隠した。
たったひとつの間違いが取り返しのつかない結果を呼んだ。
否定して欲しかった。ユーリの一番でいたいと言って欲しかった。だから竜騎士は許さないと言って欲しかったのに……。気持ちが大きく離れてしまったことに気づき、泣いた。
レティウスに離れられない運命を背負わせてしまった自身を責めた。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない
上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。
フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。
前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。
声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。
気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――?
周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。
※最終的に固定カプ
【8話完結】勇者の「便利な恋人」を辞めます。~世界を救うより、自分の幸せを守ることにしました~
キノア9g
BL
「君は便利だ」と笑った勇者を捨てたら、彼は全てを失い、私は伝説の魔導師へ。
あらすじ
勇者パーティーの万能魔術師・エリアスには、秘密があった。
それは、勇者ガウルの恋人でありながら、家事・雑用・魔力供給係として「便利な道具」のように扱われていること。
「お前は後ろで魔法撃ってるだけで楽だよな」
「俺のコンディション管理がお前の役目だろ?」
無神経な言葉と、徹夜で装備を直し自らの生命力を削って結界を維持する日々に疲れ果てたエリアスは、ある日ついに愛想を尽かして書き置きを残す。
『辞めます』
エリアスが去った翌日から、勇者パーティーは地獄に落ちた。
不味い飯、腐るアイテム、機能しない防御。
一方、エリアスは隣国の公爵に見初められ、国宝級の魔導師として華麗に転身し、正当な評価と敬意を与えられていた。
これは、自分の価値に気づいた受けが幸せになり、全てを失った攻めがプライドも聖剣も捨てて「狂犬」のような執着を見せるまでの、再構築の物語。
【勇者×魔導師/クズ勇者の転落劇】
※攻めへのざまぁ要素(曇らせ)がメインの作品です。
※糖度低め/精神的充足度高め
※最後の最後に、攻めは受けの忠実な「番犬」になります。
全8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる