何度生まれ変わっても愛されないので今生は強気でいきます!

サクラギ

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【1】追放

4・半身 2

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 最後の力を使わせてから1週間が経過している。

 ずっと精霊に守られ、魔法陣の中で眠りについていたのに、その唇は柔らかく、なめらかで、甘い。
 自らの唾液をレティウスの中に注ぐように唇を重ね、舌を絡める。そして唾液が嚥下されたのを感じると、喜びの笑みを浮かべた。
 触れた頬に熱が入り始めたことを知り、レティウスの腹の上に腰を下ろす形で乗り上げ、さらに深く唇を重ねる。

 ゆったりとした呼吸に小さな声が混じり始める。
 ユーリは一端、行為を緩めると、期待を交えた眼差しで、その瞼が開くのを待った。

 銀のまつげが震える。
 ユーリの唾液で濡れた唇から吐息が漏れた。

「おはよう、レティ」

 甘い香りのする首筋に顔をうずめ、レティウスを抱きしめたユーリの背に、レティウスの手が乗る。

「……いったい」

 レティウスは声を取り戻したが、長く眠り続けた為、思うように動けず、体を押し付けて来る者の存在に、どうして良いのかという逡巡をした。

 レティウスが無事に目覚めたことを知ったユーリは、自身の思いを果たすべく行為を進める。
 レティウスの許可なく始めた行為だったが、レティウスは一切の抵抗を見せなかった。

 まずは再度、唇を重ね、舌を差し入れ、レティウスの舌を誘う。そうしながら、緩く纏っているレティウスの衣服をはだけ、まだ冷たく感じる体に手を這わせた。下着はつけておらず、一枚の布をはだけると、レティウスはすぐに裸体になる。腹に乗り上げていた姿勢を太ももにまで下げ、全身に視線を向ける。レティウスの中心はまだ芯を持っておらず、レティウスの感情もまた、凍結したままであるのかと、ユーリはそれに舌を這わせた。

 精霊の守る森の中という清い場所で、その主人を襲ったユーリであったが、その主人は無抵抗でユーリの行為を受けていた。

 ただ、レティウスには疑問がある。

 ユーリにとって世界の全てがフランであった。そのユーリの意識が今はレティウスに向いている。それはレティウスにとって混乱でしかなかったが、ユーリが纏う気配は自身のもの。決して偽装できるものではない。そしてその感情は、レティウスに測れるものではなかった。

 ただ、ユーリの行為の熱と従順さに戸惑いながらも、応え始める自身を遠く感じているだけだった。

「そろそろ良いかな?」

 ユーリは、レティウスを唇で愛撫しながら、慣れた手つきで自身の後部を開いていた。
 実際に他人を相手にするのは初めてだった。過去のユーリはフランを求め、フランとの行為を夢見ていつかは……と思い慰めていた行為にすぎない。それがこんな形で役立つ日が来るとは……。フランを想っていた自分がまるで別の人物のような感覚のユーリは、ただレティウスを受け入れられる体を悦んだ。
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