17 / 31
17 キス
しおりを挟む
「でもおまえの方が可愛いと思ってた」
「はぁ? ありえないよ。あの子と比べてってことでしょ? っていうか比べる価値もないよ」
だいたい男の俺をどういう目で見たらそうなるのか。ろくに話した事ないし、愛想笑いがよそよそしいんだろ?
「絶対怒ると思うけど、おまえあの日、浴衣着てただろ」
「着てたよ。っていうか半分くらいは着てたよね? 普通だよ」
地元の夏祭りだ。浴衣とか甚平とかTシャツに半パンとか、格好なんて好き好きだ。
「おまえさぁ、無防備なんだって。顔隠したくて前髪伸ばしてるんだろうけど、なんかそそるんだよな。それに合わせが乱れてて、チラチラ乳首見えんの、マジでやられたからな、俺ら」
思わず手をクロスして自分の両肩を持つ。カーッと頬が熱くなる。
「俺らって——俺らってなに? 本気で言ってんの?」
「だから怒るなって。仕方ねえだろ? チラチラピンクでかわいい乳首見えてて、色白で足とか腰とか細くてさ。高2の性欲なめるなよ」
「意味わかんねえ、ってかそんな目で見るなよ、ありえないから」
本気で恥ずかしい。あの日楽しくて、浮かれてはしゃいでた。なのにみんなにそんな目で見てたとかイジメでしかない。
肩でため息をつくな。逃げられないようにガッチリ腹でホールドされてるのがすごく嫌だ。
「彼女よりもおまえに触りたかった。ホテル行ってもおまえ抱きたいって——」
「ありえないから、そういうの気持ち悪い。そういうのでここ連れて来たの? それ好きとかじゃないだろ? ただの性欲だろ。昼間のレイプ未遂とかわらないよ!」
「やっぱりレイプだったのか? ごめん俺、もっと早く、最初から着いて行けば良かった」
顔を寄せられた。半身をひねさせられて、頬に手を置かれる。唇が触れる。ちゅって音がした。間近で視線が合う。真剣に見つめられてる。ドキッとする。そんな目で見られたことがない。ふっと笑まれて、今度は深く唇が合わさる。舌でうまく口を開けさせられて、舌が触れ合った。体勢を変えさせられる。隼也の膝に乗って向き合ってキスしている。後頭部を押さえられてて逃げられない。
コーヒー味のキス。それと隼也のムスクの香り。手慣れている。気づいたら服の中に手が入っている。腰から上へ這って行って、乳首に触れられた。
「ん、んんん——や、ヤダ、……ふうっ、ん、んっ」
「俺と付き合おう?」
隼也に触れられて、勃っているのに気づいた。見下ろしたら隼也のも勃ってる。荒い息を吐いて、隼也の膝から降りたいけど、許してもらえない。
「いやだ、付き合わない」
説得力のない言葉なんだろう。隼也の表情が甘く崩れた。
「可愛い、碧」
耳元で言われる。初めて名前を呼ばれた。それも意味ありげに。ずっと佐倉って呼んでいたのは、この機会を狙っていたから? そう思うと恥ずかしすぎる。隼也が佐倉と呼ぶのは、俺の事が嫌いだからだと思っていたのに。
「はぁ? ありえないよ。あの子と比べてってことでしょ? っていうか比べる価値もないよ」
だいたい男の俺をどういう目で見たらそうなるのか。ろくに話した事ないし、愛想笑いがよそよそしいんだろ?
「絶対怒ると思うけど、おまえあの日、浴衣着てただろ」
「着てたよ。っていうか半分くらいは着てたよね? 普通だよ」
地元の夏祭りだ。浴衣とか甚平とかTシャツに半パンとか、格好なんて好き好きだ。
「おまえさぁ、無防備なんだって。顔隠したくて前髪伸ばしてるんだろうけど、なんかそそるんだよな。それに合わせが乱れてて、チラチラ乳首見えんの、マジでやられたからな、俺ら」
思わず手をクロスして自分の両肩を持つ。カーッと頬が熱くなる。
「俺らって——俺らってなに? 本気で言ってんの?」
「だから怒るなって。仕方ねえだろ? チラチラピンクでかわいい乳首見えてて、色白で足とか腰とか細くてさ。高2の性欲なめるなよ」
「意味わかんねえ、ってかそんな目で見るなよ、ありえないから」
本気で恥ずかしい。あの日楽しくて、浮かれてはしゃいでた。なのにみんなにそんな目で見てたとかイジメでしかない。
肩でため息をつくな。逃げられないようにガッチリ腹でホールドされてるのがすごく嫌だ。
「彼女よりもおまえに触りたかった。ホテル行ってもおまえ抱きたいって——」
「ありえないから、そういうの気持ち悪い。そういうのでここ連れて来たの? それ好きとかじゃないだろ? ただの性欲だろ。昼間のレイプ未遂とかわらないよ!」
「やっぱりレイプだったのか? ごめん俺、もっと早く、最初から着いて行けば良かった」
顔を寄せられた。半身をひねさせられて、頬に手を置かれる。唇が触れる。ちゅって音がした。間近で視線が合う。真剣に見つめられてる。ドキッとする。そんな目で見られたことがない。ふっと笑まれて、今度は深く唇が合わさる。舌でうまく口を開けさせられて、舌が触れ合った。体勢を変えさせられる。隼也の膝に乗って向き合ってキスしている。後頭部を押さえられてて逃げられない。
コーヒー味のキス。それと隼也のムスクの香り。手慣れている。気づいたら服の中に手が入っている。腰から上へ這って行って、乳首に触れられた。
「ん、んんん——や、ヤダ、……ふうっ、ん、んっ」
「俺と付き合おう?」
隼也に触れられて、勃っているのに気づいた。見下ろしたら隼也のも勃ってる。荒い息を吐いて、隼也の膝から降りたいけど、許してもらえない。
「いやだ、付き合わない」
説得力のない言葉なんだろう。隼也の表情が甘く崩れた。
「可愛い、碧」
耳元で言われる。初めて名前を呼ばれた。それも意味ありげに。ずっと佐倉って呼んでいたのは、この機会を狙っていたから? そう思うと恥ずかしすぎる。隼也が佐倉と呼ぶのは、俺の事が嫌いだからだと思っていたのに。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる