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15 本音

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「そういえば、こうやって話すのも初だよな」

「そうだよ。隼也には嫌われてると思ってたから、話したら悪いと思ってて」

「は?」

 えっと、そんなことなかったのかな。また驚いた顔をされてしまった。

「だって面倒くさそうというか、不機嫌っていうか、俺が近くにいると避けたりしてたよね?」

「あーまぁ、してたかもな」

 でしょ? 疎くないよね? 察してたでしょ? 正解して嬉しくなる。でも避けられてたんだ、やっぱり。

「なにそれ、正解して浮かれて落ち込んだ感じ? おまえ普通に表情に出せるんだな。その方が……いい感じだと思うし、愛想笑いはやめたほうがいい。すげえ気を使われてるのわかるといい気はしねえからな」

「……そっか。だからため息つかれたりするのかな。今度から気をつける」

「いや、愛想笑いしてろよ」

「は? どっち? コミュ力高い人のアドバイスじゃないの?」

 隼也と話すと引っかかる部分があって腹が立つ。理解力ないと思ってからかっているのかも。

「別にモテる必要ねえだろ?」

「いやあるよ、恋人欲しいし、友達とうまくやって行きたいし」

 はームカつく。隼也がじーっと見て来る。俺が恋人作りたいって普通の事だろ? そんな呆気に取られたような表情になるのなんで? それでまたため息。

「あれってやっぱり出会い系アプリだったのか?」

「え? あー……」

 というか忘れてた。隼也にスマホの画面見られてたんだった。でもゲイ専用とはバレていなさそうだ。

「別にいいだろ? 自分から声かけるの苦手だから、試しに使ってみただけだよ」

「俺は?」

「は?」

 聞き間違いかと思って隼也を見たら、また俯いて片手で顔を押さえてテレている。え? 本気で言った? 俺は? ってなに?

「おまえは、賢吾と付き合うのかと思ってたんだ。けど迷惑かけてるとか言うし。俺が抱きしめても何の反応もしねえし。つい本音が漏れた」

 は? 隼也なに言ってるの? 理解が追いつかない。

「俺がなんで大学決めたか聞いたよな? おまえがいたからに決まってんだろ? 察しろよ」

 えーっと、これドラマかな? それとも妄想? 隼也って俺の事嫌いって言ったよね? しかもついさっき。

「いやいやいや、冗談だよね? だって俺だよ? 隼也って俺のこと佐倉って呼ぶし、近づくと逃げてたってさっき言ってたよね? 嫌いって——」

「あーもう」

 隼也に手にあったマグカップを取り上げられ、なぜか抱きしめられてる。肩に隼也の頬が乗ってて、ツンツンの髪が頬に触れてる。

「好きなんだって、ずっと、高校ん時から。でもおまえが男が好きとか知らねえだろ? 賢吾と仲良いけどそういうんじゃなさそうだったし。近づくと距離取るし、話せば愛想笑いするし」

 えっと……告白? 好きとか聞こえた。隼也が俺に? 背中押さえられて、肩に頬乗せられて、反対の手、耳横の髪の中に入れられてる。なんかドキドキして呼吸がうまく出来ない。なんだろう、これ。
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