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「おい。色っぽい声を出すな」
「だったら、触らないでください」
「無理だ。今、めちゃくちゃにお前に触れたい」
「それ以上触ったら、殿下の殿下が元気になるではありませんか」
「げ、元気にならなきゃ、お前に入れないだろ」
「えっ」

 ざぶんと湯をかけられ、白い泡が流れていく。何度もかけられると、泡はどこかに消えていた。

 やっぱり、彼は最後までやる気なのなのね。いや、期待していなかったと言えば嘘になるけれど、ここまで躊躇いながらも勢いにまかせて言われてしまったら、私が主導権を握るべきか。

 と言えるほど、私に経験などあるわけもなく。

「やっ……、んっ、んん……」

 そんなことを考えているうちに、二つの乳房はレインハルト殿下の手によって淫らに形を変えていた。

「やっ、やめてください」
「無理だ。やめたいのにやめられない。お前の胸が柔らか過ぎて、僕の手に吸い付いて離れようとしない」

 離れようとしないんじゃなくて、離したくないの間違いだろと思いつつも、胸の先端から生まれる熱が、下腹部に溜まっていく。

「やっ……、……ん、んっ!!」
「アンリ、こっちを向け」

 無理矢理顎を捕らえられ、顔だけ彼のほうを向く。すぐさま私の口は封じられ、彼の舌によって口腔内は満たされる。元気のいいピチピチとれたて魚のように、レインハルト殿下の舌が私の中で暴れている。

 乱暴でありながら、どこか優しく感じる熱くて濃厚な口づけ。

 胸をまさぐっていた手は腰に添えられ、それとなく身体の向きを変えさせられる。
 息もできぬほどの激しい口づけに、呼吸を求めようとすれば鼻から抜けるような変な声が勝手に出てくる。

「ん……、ふぅっ……」

 レインハルト殿下に食べられてしまうのでさないかと思えるくらい、彼は私を離さない。いつの間にか向かい合い、彼は私が逃げないようにとがっちりと背に両腕を回していた。

 ぼんやりとしてきた私の頭は、彼が与えてくれる甘い心地に身を委ねようとしていた。

 が!

「ん、んんっ……」

 必死に顔をそらして、口を解放してもらう。彼に確認したいことがある。

「どうした? 僕との口づけは嫌なのか?」
「ち、違います。先ほどから、お腹に固いものが当たって、気になってるのです」

 ニヤリと笑った彼は、私を抱き上げて立ち上がる。

「僕の準備は整ったわけだ。次はアンリの番だな」
「え、ええっ!」

 せっかく乳白色の湯の張った浴槽がすぐ側にあるのに、それに入ることなく連れ出されて、寝台の上に仰向けでぽとんと落とされた。
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