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彼の式典用の立派な上着の鉤を外し、丁寧に畳んで籠の中に入れる。できれば吊しておきたい上着だけど、この際だから仕方がない。シャツにも手をかける。彼が興奮しているのが、よくわかる。落ち着こうと必死に、呼吸を整えようとしている姿も愛おしい。
シャツを脱がせ、下着も両腕をあげて脱がせると、彼の筋肉質な身体が目に飛び込んできた。思わず凝視する。
私とは違う、厚く引き締まりしなやかな身体。
触れてみたい欲求に掻き立てられ、思わずその胸板に手を伸ばす。
「んっ。なんだ、積極的だな」
レインハルト殿下は困惑しながらも、私の手を取った。
「先に、風呂だろう? あまり僕を煽るな」
と言われていたにもかかわらず、私の片手は彼のトラウザーズに伸びていた。
「おい。何をしている」
「何って、脱がないと風呂には入れませんから。脱がせようかな、と」
「そこは、自分でやる。いいから、お前は先に入ってろ」
顔を真っ赤にしながら、私に下半身を守っているものをずり下げられないようにと、必死に手で押さえている。
レインハルト殿下がこういったことに慣れているのかいないのか、全くわからない。ただ、私が護衛していたかぎりでは、娼館に行くような素振りもなかったし、馴染みの娼婦がいるのかもわからないような状態。
教育は受けているだろうということしかわからなかった。
じっと彼を見つめていると恥ずかしがるから、私はくるりと彼に背を向けて、先に下着をぽいぽいと脱ぎ去った。
「では、先に入ってお待ちしております」
手元にあったバスタオルを手にすると身体にくるくると巻付けてから、浴室に続く磨りガラスの扉を開けた。
浴槽にはたっぷりの乳白色のお湯が張られていた。お肌すべすべになる入浴剤まで入れられているのだろう。肌が透けないから、これなら一緒に入っても恥ずかしくない。多分。
扉の向こうで、ガタッと派手な音が聞こえたけれど、何かあったのだろうか。助けに行くべきか悩んだが、先に入ってろと言われた以上、その言葉に従うのみ。
私はかけ湯をして、レインハルト殿下の身体を洗うためにいろいろと準備をする。
扉が開く音がして振り返ると、腰にタオルを巻付けたレインハルト殿下が、少し恥じらいながら入ってきた。
「背中をお流ししますね」
洗い場に座った彼の背に優しく湯をかける。
「熱くないですか?」
「あぁ、ちょうどいい」
それから私は石鹸を泡立てて、殿下の背中を洗う。
「頭どうしますか? 前のほうは?」
「ま、前は自分で洗う。少し、恥じらいを持て」
「はいはい。では、頭を洗いますね。そのすきに、前をお好きにどうぞ」
くそっ、と彼の呟きが耳に届いた。もしかして、怒らせてしまったのだろうか。
「はい、お湯をかけますよ。目をつぶってくださいね」と言えば、その言葉に従うし、素直ではある。
かけられた湯をぶるぶると首を振る姿は猫のようにも見える。
シャツを脱がせ、下着も両腕をあげて脱がせると、彼の筋肉質な身体が目に飛び込んできた。思わず凝視する。
私とは違う、厚く引き締まりしなやかな身体。
触れてみたい欲求に掻き立てられ、思わずその胸板に手を伸ばす。
「んっ。なんだ、積極的だな」
レインハルト殿下は困惑しながらも、私の手を取った。
「先に、風呂だろう? あまり僕を煽るな」
と言われていたにもかかわらず、私の片手は彼のトラウザーズに伸びていた。
「おい。何をしている」
「何って、脱がないと風呂には入れませんから。脱がせようかな、と」
「そこは、自分でやる。いいから、お前は先に入ってろ」
顔を真っ赤にしながら、私に下半身を守っているものをずり下げられないようにと、必死に手で押さえている。
レインハルト殿下がこういったことに慣れているのかいないのか、全くわからない。ただ、私が護衛していたかぎりでは、娼館に行くような素振りもなかったし、馴染みの娼婦がいるのかもわからないような状態。
教育は受けているだろうということしかわからなかった。
じっと彼を見つめていると恥ずかしがるから、私はくるりと彼に背を向けて、先に下着をぽいぽいと脱ぎ去った。
「では、先に入ってお待ちしております」
手元にあったバスタオルを手にすると身体にくるくると巻付けてから、浴室に続く磨りガラスの扉を開けた。
浴槽にはたっぷりの乳白色のお湯が張られていた。お肌すべすべになる入浴剤まで入れられているのだろう。肌が透けないから、これなら一緒に入っても恥ずかしくない。多分。
扉の向こうで、ガタッと派手な音が聞こえたけれど、何かあったのだろうか。助けに行くべきか悩んだが、先に入ってろと言われた以上、その言葉に従うのみ。
私はかけ湯をして、レインハルト殿下の身体を洗うためにいろいろと準備をする。
扉が開く音がして振り返ると、腰にタオルを巻付けたレインハルト殿下が、少し恥じらいながら入ってきた。
「背中をお流ししますね」
洗い場に座った彼の背に優しく湯をかける。
「熱くないですか?」
「あぁ、ちょうどいい」
それから私は石鹸を泡立てて、殿下の背中を洗う。
「頭どうしますか? 前のほうは?」
「ま、前は自分で洗う。少し、恥じらいを持て」
「はいはい。では、頭を洗いますね。そのすきに、前をお好きにどうぞ」
くそっ、と彼の呟きが耳に届いた。もしかして、怒らせてしまったのだろうか。
「はい、お湯をかけますよ。目をつぶってくださいね」と言えば、その言葉に従うし、素直ではある。
かけられた湯をぶるぶると首を振る姿は猫のようにも見える。
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