BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに

澤谷弥(さわたに わたる)

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43.結局スパダリと元腐女子ですか(9)

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 ミシミシと身体が二つに引き裂かれるような痛みに、ジーニアは耐えていた。下半身はぴったりと隙間なく彼と繋がっている。

 ――と、とうとう……。ヤってしまった……。

 後悔とも悦びとも表現できない想いがジーニアの心の中でくすぶっている。
 クラレンスはシリルのものであると思いながらも、クラレンスを受け入れてしまったのはジーニア自身だ。

「こちらに手を回せ」

 クラレンスは首に巻きついているジーニアの手を優しく解くと、背中の方に手を回すようにその手首を取った。

「ジーン。まだ、痛むか?」

「いえ……」

 不思議なことに彼が最奥に辿り着いた途端、痛みは消え去った。さらに、あれほど重いと感じていた体も不思議と軽く感じる。

 ――あぁ……。やっとあの呪いが解けたのね……。って、そしたらもう、終わりでいいわよね。

「あの、レンさま……」
 そこでジーニアはクラレンスの背に回している腕に力を入れ、彼をぎゅっと引き寄せた。
「どうやら、呪いが解けたようです。このように、手足を自由に動かすことができます」
 言いながらジーニアは、足をクラレンスの腰に巻き付けた。自由に動かせるようになったことを、彼に教えるために。
 だが、そうしてしまったことで、ジーニアの中にある肉棒を締め上げてしまったらしい。

「じ、ジーン……。やめてくれ……」

「ですからレンさま。もう、私は大丈夫です……。その、抜いてもらっても……」
 クラレンスはジーニアの呪いを解くために抱いたのだ。だからその呪いが解けた今、これ以上この行為を続ける必要は無いと、ジーニアは言いたかったのだ。

 くっ、とクラレンスの顔は苦悶で歪む。

「き、君は……。どこまで私を翻弄すれば気が済むんだ。もう、遠慮はしない……」

「ひえぇっ」

 クラレンスがジーニアの細腰を掴んだ。

「あっ……、ん、ふぅ……」
 ジーニアの口からは次から次へと甘い声が溢れ出す。繋がった場所はぐちぐちと淫らな音を立てながら、彼の肉棒が行き来している。

 ――う、動いてる……。ひっ、ん、んん……。もう、無理……。

 ジーニアの思考を奪うほど、彼が動くたびに気持ちのいいところを擦り上げていく。
 だが、まだもどかしい気持ちもある。

「なんだ、ジーン。君も腰が動いているじゃないか」
 いつの間にかクラレンスが強気になっていた。目尻に涙を溜めた目で、ジーニアは彼を見上げる。
「それに、君の中が私をきつく締め上げて、放そうとしない」

「あっ……、あっ……、あっ……」

 彼の動きに合わせてジーニアの声も甘くなる。
 次第に腹に埋もれている肉棒の質量が増していき、さらにジーニアの敏感なところを擦り、突き上げていく。

「はぁっ……、ンっ……」
 涙を流し身体を揺らしながら、彼から与えられる悦楽に翻弄されているジーニアの身体を、クラレンスが優しく包み込んでいた。
 だが、クラレンス自身も耐え切れなくなったのだろう。先ほどよりも、腰の動きを速めてくる。
「あっ……、はぅ……ン……」
 パンパンと肌がぶつかる乾いた音。ぐちゅぐちゅと結合した部分から聞こえる淫らな水音。そして、ジーニアの甘い声とクラレンスの荒い息遣い。

 クラレンスの指の腹がジーニアの肉芽に触れ、優しく撫でまわす。

 ――な、何してるの? 一緒はダメだって……

「んっ……。あ、あぁああああああっ……」
 クラレンスが与えてくれた快楽によって、全身が弾けたジーニアは、埋もれている彼をぎゅうぅと締め上げる。

「私も、限界だ……」
 うっと呻いたクラレンスの熱が、ジーニアのお腹の中で放たれた。ぐぐっと二度ほど腰を押し付けてきたクラレンスだが、ジーニアをそっと抱き寄せる。

「ジーン。愛している……。いつも私のことを気にかけてくれた君のことを、私は……っ」
 クラレンスがそこで言葉を止めたのは、ジーニアが彼の口を塞いだからだ。
 ジーニアからの優しい口づけ。それが彼女の出した答え。

 ゆっくりと二人の唇は離れる。

「ジーン……」
「レン様。私もレン様のことをお慕いしております……」

 いつからだなんてわからない。
 気が付けば気になっていたのだ。クラレンスのことが。目の保養とクラレンスが与えてくれる安心感は別物だった。
 クラレンスはシリルのものだというブレーキが、彼女の中で働いていただけ。それが外れてしまった今、クラレンスに本音を隠す必要は無い。

「泣いているのか?」
 クラレンスの言葉でジーニアは自分がぽろぽろと涙を流していたことを知った。
「い、痛かったのか?」
 目の前のクラレンスが焦り始めた。初めては痛いという、それを気にしてくれているのだろう。

「い、いえ……。レン様に自分の気持ちを伝えることができた悦びです……」

 それはジーニア自身が自分の気持ちに気づいた驚き。何しろ、言葉を発することが可能になった時点で、拒否することだってできたのだ。
 だが、それを受け入れたのはジーニア自身による意思。彼とこうなることが嫌ではなかった。そして、どこかでこうなることを望んでいた。
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