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11.それはスパダリ攻めと誘い受けですね(1)
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とうとうやってきてしまった学院の卒業パーティ。これで、ジーニアの運命が決まるといっても過言ではない。学院の卒業パーティであるため、面倒くさいエスコートなどは不要。ジーニアは、この卒業パーティのために新しく仕立ててもらったドレスに身を包んでいた。
「ジーン、そのドレス素敵ね」
そう声をかけてきたのはもちろんヘレナ。
「ありがとう。この日のために、お父さまが新しく仕立ててくれたみたいで」
「ジーンのお父様って、あれよね。花形の第一騎士隊の元隊長」
「すごいわね、ヘレナ。よく知ってるわね」
「それがね、騎士団の入団試験で、歴代の隊長の名前って聞かれるのよ」
「えー。歴代の? よく、覚えたわね」
「えぇ、簡単よ。カップリングにしていけばいいのだから」
なぜかヘレナは楽しそうに笑っていた。歴代の隊長をわかっていないジーニアには彼女がなぜ楽しそうなのかがよくわからない。だがカップリングという時点で、隊長と副隊長あたりで受け攻めを設定しているのだろう。
「ああ、ヘレナ。私、緊張してきたわ」
会場に向かいながら、ジーニアはつい心のうちを漏らしてしまった。
「大丈夫よ、ジーン。私がついているから」
けしてGでLではない。ここにあるのは女の熱い友情である。BでLという魅力に捕らわれた女性同士の。
「いい? ジーン。わかっているとは思うけど。まず、あの方にあのグラスのものを飲ませてはだめよ」
「だけど、私。どれがどのグラスかっていうのを覚えていないのよ」
「大丈夫よ、私は覚えているから。とにかく、シリル様が持っているグラスの中身は安全なのよ」
「すごい、ヘレナ。よく覚えているわね。そうね、シリル様ね」
ジーニアは頭の中でメモメモと呟く。
「あの扉をくぐったら、あの中は戦場なのよね。私が生きるか死ぬかですもの」
「ええ、だけど絶対にジーンは死なせない」
そのヘレナの熱い思いだけでうるっと涙ぐんでしまいそうになる。だから、急に声をかけられて思わず全身を震わせてしまった。
「おい、ジーン。……。何もそんなに驚くこと、無いだろ?」
「あっ。お兄さま」
ジーニアがあまりにも激しく身体を震わせてしまったため、声をかけた当の本人も驚いてしまったようだ。
「急に声をかけられたら、誰だってそうなります」
「すまない、すまない。ジーンを見つけて、つい、嬉しくて。そのドレス、とてもよく似合っている」
「ありがとうございます、お兄さま。そうでした、紹介が遅れました。こちら、私の大親友、心の友のヘレナです」
突然、話を振られたヘレナも少し動揺したが、これは名前を売るチャンス、ではなく、あのカップリングに近づくチャンスだと思い、簡単に名を名乗る。
「ヘレナ嬢の噂は聞いている。今までの入団試験の女性のトップの記録を塗り替えたとか……。ぜひとも、我が第五隊にとも思っていたのだが、やはり優秀な人間は第一にとられてしまう。恐らく、ヘレナ嬢はアマリエ様付きの護衛騎士だろうな」
「そうなんですか」
と声をあげたヘレナは少しがっかりした様子。
「ですが、ジェレミー様と共に仕事をできる日を楽しみにしております」
ヘレナが言えば、ジェレミーも照れたかのように「お、おお、そうか」なんて言っているのだが、ジーニアはこんな兄を見たことがない。
「ジーン、そのドレス素敵ね」
そう声をかけてきたのはもちろんヘレナ。
「ありがとう。この日のために、お父さまが新しく仕立ててくれたみたいで」
「ジーンのお父様って、あれよね。花形の第一騎士隊の元隊長」
「すごいわね、ヘレナ。よく知ってるわね」
「それがね、騎士団の入団試験で、歴代の隊長の名前って聞かれるのよ」
「えー。歴代の? よく、覚えたわね」
「えぇ、簡単よ。カップリングにしていけばいいのだから」
なぜかヘレナは楽しそうに笑っていた。歴代の隊長をわかっていないジーニアには彼女がなぜ楽しそうなのかがよくわからない。だがカップリングという時点で、隊長と副隊長あたりで受け攻めを設定しているのだろう。
「ああ、ヘレナ。私、緊張してきたわ」
会場に向かいながら、ジーニアはつい心のうちを漏らしてしまった。
「大丈夫よ、ジーン。私がついているから」
けしてGでLではない。ここにあるのは女の熱い友情である。BでLという魅力に捕らわれた女性同士の。
「いい? ジーン。わかっているとは思うけど。まず、あの方にあのグラスのものを飲ませてはだめよ」
「だけど、私。どれがどのグラスかっていうのを覚えていないのよ」
「大丈夫よ、私は覚えているから。とにかく、シリル様が持っているグラスの中身は安全なのよ」
「すごい、ヘレナ。よく覚えているわね。そうね、シリル様ね」
ジーニアは頭の中でメモメモと呟く。
「あの扉をくぐったら、あの中は戦場なのよね。私が生きるか死ぬかですもの」
「ええ、だけど絶対にジーンは死なせない」
そのヘレナの熱い思いだけでうるっと涙ぐんでしまいそうになる。だから、急に声をかけられて思わず全身を震わせてしまった。
「おい、ジーン。……。何もそんなに驚くこと、無いだろ?」
「あっ。お兄さま」
ジーニアがあまりにも激しく身体を震わせてしまったため、声をかけた当の本人も驚いてしまったようだ。
「急に声をかけられたら、誰だってそうなります」
「すまない、すまない。ジーンを見つけて、つい、嬉しくて。そのドレス、とてもよく似合っている」
「ありがとうございます、お兄さま。そうでした、紹介が遅れました。こちら、私の大親友、心の友のヘレナです」
突然、話を振られたヘレナも少し動揺したが、これは名前を売るチャンス、ではなく、あのカップリングに近づくチャンスだと思い、簡単に名を名乗る。
「ヘレナ嬢の噂は聞いている。今までの入団試験の女性のトップの記録を塗り替えたとか……。ぜひとも、我が第五隊にとも思っていたのだが、やはり優秀な人間は第一にとられてしまう。恐らく、ヘレナ嬢はアマリエ様付きの護衛騎士だろうな」
「そうなんですか」
と声をあげたヘレナは少しがっかりした様子。
「ですが、ジェレミー様と共に仕事をできる日を楽しみにしております」
ヘレナが言えば、ジェレミーも照れたかのように「お、おお、そうか」なんて言っているのだが、ジーニアはこんな兄を見たことがない。
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